著者 : 李承雨
李箱文学賞受賞作「心の浮力」を含む最新短編集。 喪失と疎外、自責と愛などをテーマに、家族や介護、格差など同時代の社会問題を通して現代人の生を描く。 「言葉の届かない場所にあるはずの、人の心の複雑な薄闇に、李承雨は言葉で見事に光をあてる。精緻きわまりない八編。」--江國香織 「僕が感じてきたように、母も常に感じてきた、そうでなくてもいつか感じることになる深い後悔と罪悪感については思いが及ばなかった。喪失感と悲しみは時とともに和らぐが、後悔と罪悪感は時が経つほど濃くなることに、喪失感と悲しみはある出来事に対する自覚的な反応だが、後悔と罪悪感は自分の感情への無自覚な反応で、はるかにコントロールが難しいということに気づけなかった。」 母は僕を、もうこの世にいない兄の名前で呼ぶようになった。 夢を追い不器用に生きた兄と、堅実に歩む僕。兄弟と老いた母の愛の形を描いた李箱文学賞受賞作「心の浮力」を含む最新短編集。
冷酷な現実を舞台にした8篇の“神話”。待望の邦訳、江國香織さん賞嘆!「人間を知るには、彼の作品を読めばいい」とノーベル賞作家ル・クレジオに評される韓国人作家、李承雨。本書は彼の代表作である短編集。八篇を通じて神話のダイナミズムを基調にした「人生という過酷な迷宮」が描かれ、それぞれに鮮やかな結末が用意されている。「生きることのミステリー」を存分に味わえる、〈東アジア文学〉の傑作。 冷酷な現実を舞台にした8篇の“神話”。 待望の邦訳、江國香織さん賞嘆! 「人間を知るには、彼の作品を読めばいい」とノーベル賞作家ル・クレジオに評される韓国人作家、李承雨。本書は彼の代表作である短編集。八篇を通じて神話のダイナミズムを基調にした「人生という過酷な迷宮」が描かれ、それぞれに鮮やかな結末が用意されている。「生きることのミステリー」を存分に味わえる、〈東アジア文学〉の傑作。 目次 「香港パク」 「宣告」 「首相は死なない」 「迷宮についての推測」 「白い道」 「太陽はどのように昇るのだろうか」 「日記」 「洞窟」 あとがき 訳者解説
職を失い妻も出て行った私に、古い友人が怪しい投資話を勧める。死海の泥は美容に良い、世界中から客が来る。その開発を一緒にやろうというのだ。執拗な友人の電話を聞きながら、消えた妻の真摯な姿と気持ちを思いやる。