著者 : 村木哲史
「大化の改新」は、西暦645年の蘇我入鹿の暗殺に端を発する。この戦略的な暗殺は皇極天皇、中大兄皇子、中臣鎌足、蘇我石川麻呂を含む反蘇我派が計画・実行し、蘇我蝦夷の自害によって決着をみた。蘇我入鹿の専制的な政治体制に反発したこれらの人物たちは、新たな政権への布石を打ち、後に壬申の乱が発生し、天智天皇の後を巡って大海人皇子と大友皇子が争い、大海人皇子が勝利した。この時期を通じて、多くの権力者が暗殺、敗死し、または自害に追い込まれた。天武天皇として即位した大海人皇子により、日本の中央集権化が進み、飛鳥浄御原令は天皇という称号を、また藤原不比等らによる大宝律令は日本という国号を制定した。さらに近江大津宮への遷都や新たな時代の幕開けとして、持統天皇による平城京への遷都などが行われた。これら一連の出来事によって、日本の古代史における重要な基盤が形成された。この激動の時代を生きた人々の中には、権力争いに翻弄されながらも、たくましく生きた女性たちや悲劇的な結末を迎えた人物も多くいた。騒乱が続く中で、辛酸をなめながらも新しい体制を築くために尽力したのだ。この時代は、現代日本の基礎を築いた古代の重要な転換期といえる。「大化の改新」を機に、旧体制が一新され、様々な制度が整えられた。現代日本の基礎を築いた古代の重要な転換期を描いた歴史小説。 消された野望/それぞれの思惑/疑惑の陰謀/深い苦しみ/苦渋の決行/作為の謀反(むほん)/妹との愛/まやかしの和解/計画された裏切り/悲しい恨み/衝撃の連鎖/欺瞞の企て(ぎまんのくわだて)/決戦へ/苦悩の敗戦/倭国の存続(わこくのそんぞく)/煩悶(はんもん)のとき/兄弟の決別/盟友の死/空虚な日々(くうきょなひび)/新時代へ
古代の日本、この時代に日本国に何が起きていたのか。その一瞬、その瞬間、その時代の人達は何を求めて生きていたのか。権力をほしいままにしている蘇我一族と敵対する中臣鎌足と中大兄皇子(後の天智天皇)は、蘇我氏を倒すためにクーデターを計画。鎌足と中大兄皇子の部下によって蘇我入鹿を暗殺。次に入鹿の父、蘇我蝦夷を討つ機会を狙うが、入鹿暗殺の翌日に蘇我蝦夷は自分の屋敷に火を放ち、自害してしまう。こうして、権力をほしいままにしていた蘇我氏は滅亡した。その後、新政権が発足し、「大化の改新」が進められることになった。1400年の時を隔てて、今よみがえる古代日本のカタチ。「大化の改新」前の激動する日本。蘇我一族の暗躍と滅亡にいたる過程を描いた古代歴史小説! 罵りあい/深まる対立/決断/独裁/野望/騙す/血のつながり/失意/哀しみ、そして悩み/厩戸皇子(聖徳太子)の死/別れ/二人の死/傀儡/恐怖政権/暴走/滅亡/命の危機/暗殺計画/乙巳の変/夜明け