小説むすび | 著者 : 松尾当子

著者 : 松尾当子

孤高の富豪と花摘み娘孤高の富豪と花摘み娘

夢の一夜を過ごした2カ月後、彼女は泣いた。 彼の正体と双子の妊娠が判明したことで。 ロザンナは、両親が内装を手がけたビルの開業記念パーティで、 ブロンズ色の肌の警備員らしきスーツ姿の男性と恋におちた。 黒いブラウスとスカート姿のせいで給仕係と勘違いされても、 構わなかった。いつも体のラインを隠す服を両親に着せられ、 恋に臆病な彼女だったが、彼に純潔を捧げて幸せだった。 夜闇が背骨の曲がる病も手術痕も隠してくれたから……。 そして互いに名も知らぬまま別れた2カ月後の、偶然の再会ーー 彼こそあのビルのオーナー、実業家のレオ・キャッスルだった! 衝撃のあまり倒れたロザンナは、彼の手で病院に運ばれた。 「ご懐妊、おめでとうございます。しかも双子です」 医師の診断に呆然とする彼女に、結婚を申し込むレオ。愛のない結婚でも、彼と一緒になりたいーー私の背中の醜い傷にキスしてくれた人だから。それでも本当の愛がほしいロザンナはためらい……。

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