著者 : 板倉俊之
鬼の御伽鬼の御伽
赤鬼は指のない右手の平で、桃太郎を弾き飛ばした。背中から地面に激突し、そのまま勢いよく後ろ向きに転がり、やがて仰向けになった。いっしょになって飛ばされたらしく、切断した片方の角が、近くで固い音を立てた。痛みすら感じなかった。肉体はもはや、感覚を失いつつあった。「桃太郎」の凄惨なまでに苛烈な戦いを描いた傑作『パーフェクト太郎』の他、1編を収録。
月の炎月の炎
異変は、皆既日食から始まったー町で発生した連続放火事件。犯人は誰なのか?「真相」を追う少年がたどり着いたのは、想像を絶する切ない「真実」だった…。異色の芸人が物語の才を開花させた快作!ラスト30頁、急転直下の展開に感涙必至。ハートウォーミング・ミステリーの極致!
蟻地獄蟻地獄
二村孝次郎は、親友の修平と共に一攫千金を目論み、裏カジノに乗り込む。大金を手に入れたかと思いきや、イカサマは見破られていた。5日後までに300万円を差し出さなければ、人質にとられた修平は殺される。金をつくるため、孝次郎が向かった先は、青木ケ原樹海。19歳の青年は奔る!地獄から生還するためにー。圧倒的筆力で読む者を欺く、超弩級ノンストップ・エンタテインメント!
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