著者 : 柏田道夫
県民の4人に1人、20万人が犠牲となった沖縄戦。絶望的な状況のなか、自らの命を懸けて県民の保護に尽力した沖縄県知事・島田叡と警察部長・荒井退造。戦火に翻弄されながらも必死に生きた沖縄県民。それぞれの苦悩と奮闘する姿を描きながら、戦争がリアルになった時代に「いのち」の重さを問う1作。ミニシアターランキング9週連続トップ5入り作品をノベライズ。
江戸は水の都だった。そして、水際にはたくましく生きる市井の人々の暮らしがあった。夜鷹を運ぶ船頭、橋を渡ることを禁じられている質屋の息子、母を失い船宿で働く幼い娘、水茶屋に売られて船宿の主に囲われた女…。『武士の家計簿』『武士の献立』の脚本家で小説家でもある著者が水にまつわる人々の物語を描いた七編を収録した心を打つ一冊。
あたいは三毛の福にゃんこ。神田の生まれでチャキチャキ江戸猫、煮干しと昼寝が大好きで、お祭り騒ぎも後の祭りも、まーるいお目々でお見通しー。愉快で気ままでときどきホロリ、名前はなくとも誇りはある。映画『武士の家計簿』脚本家・柏田道夫が贈る傑作ねこ時代小説シリーズ、感動の最終巻!
名人と言われる四代目松井源水を父にもつ曲独楽師「ひらがなげんすい」ことお駒は、おきゃんで一本気な十五歳。前髪を垂らし、茶筅形に束ねた総髪の男装で舞台に立つ。ある日お駒は、怪しい二人連れに後を尾けられる。折しも江戸では香具師殺しが立て続けに起きていた。狙いは母の形見の鬼の根付らしい。生前掏摸の名人だった母親譲りの鮮やかな手口で男から巾着を盗んだが…。
このごろお江戸で流行るもの。女蚤取り、猫小僧。タマにニャロ吉、猫忍クロ。白猫志乃の妖術に、侍四人が倒れ伏す。愛猫さもじに別れを告げる、西郷どんの目に涙ー。愉快で気ままでときどきホロリ、名前はなくとも誇りはある。映画『武士の家計簿』脚本家・柏田道夫が贈る、福招く傑作時代小説シリーズ第二弾!
拙者は猫でござる。あちきはねこでありんす。あっしはネコでござんすーお江戸の猫は知っている。生きる喜び、生きる悲しみ、さだめの苛酷さ、この世の情け。愉快で気ままでときどきホロリ、名前はなくとも誇りはある。映画『武士の家計簿』脚本家・柏田道夫が描く、心がモフッと温まる傑作時代小説シリーズ第一弾!
病に伏せる命の恩人、切腹した父、生き別れた母、縁を切った妹、別れた亭主、憎き敵、いつも優しかった幼馴染…。人にはそれぞれに想いのある料理がある。鰻丼、天ぷら、鉄火巻きから大根飯、しじみ汁、きんつばまで、涙、怒り、笑いを江戸の味にのせて調理された「掌の小説」。『武士の家計簿』『武士の献立』の脚本家が描いた二十一の超短編集。
かわら版は江戸時代の新聞であり、その記者を当時は矢立屋と呼んだ。寺子屋師範にして矢立屋の顔も持つ柿江新平太は、お上の許可を得ずに出版するもぐりのかわら版専門。大ネタであればあるほどよく売れるのだが、ネタに鼻が利く性分ゆえに、次々と事件に巻き込まれてしまい…。市井の人々との温かな交流とともに、泥棒、殺人という江戸の闇までをも描く、新感覚時代ミステリー!
曲独楽師・お駒は名人といわれた四代目源水の娘で修業中の身。ある日、風体の怪しい二人連れに尾行された。彼等の狙いは母の形見らしい。仕返しに母親譲りの手口で掏った巾着には、黒い陰謀を暗示する書き付けが入っていた。お駒は途方もない事件の渦中に巻き込まれる。そして、背後には意外な大物が!?平成の“戯作家”登場!時代小説ロマン。