著者 : 橘外男
橘外男による、単行本未収録を中心に入手困難な作品を3つのテーマで編纂した、3冊連続刊行企画・第三弾 満洲残影篇。 壮絶な引揚体験と焦土の東京が幻視させた、夢想の大殿堂。 皇帝溥儀(ラスト・エンペラー)は二人いた? 元宮廷女官が発表した謎の手記をめぐり大胆な綺想を展開した未完長篇(表題作)はじめ、傀儡国家の盛衰に運命を翻弄された人々を描く作品集 皇帝溥儀 灯は国境の町に消え 東條元首相の横顔 大僧正と天使 明けゆく道
日本文学史上稀有の国際的スケールと型破りのジャンル混淆的ロマン性によって、コロナ禍の今こそ再評価されるべき作家・橘外男の、主な単著未収録作品を三つのテーマで編纂した、3冊連続刊行企画・第2弾。自伝物語篇。 類い稀なるストーリーテリングと、類人猿(ゴリラ)への異常な愛情。 軍人の父に放逐された文学好きの不良少年は、芸妓と出逢い一大改心。貿易商のかたわら小説デビューし、あれよという間に直木賞。しかしその回想はいつも微妙に食い違う……虚々実々に彩られた怪作家の人生を辿る自伝物語篇。(解説=川口則弘) 春の目覚め:学校と家を追い出された外男少年は年上の女性歌人に誘われ…… 若かりし時:叔父がトップを務める札幌鉄道局に勤めた外男少年は貧苦のあまり……(「青春の尊かりし頃」「わが青春の遍歴」改題、再録) 懐し金春館時代:関東大震災で焼失した映画館への懐旧…… 結婚とは:知人の披露宴で突如祝辞を求められた橘氏は…… 予は如何にして文士となりしか:小説家として再デビューするきっかけは…… 人生は六十五歳から:若き日にゴリラ言語学の道を諦めた橘先生が立てた老後の生活設計とは……(「人生は常に若く」改題、再録) 資料編(日本書院時代の新聞広告集/有島武郎「『太陽の沈みゆく時』序」/第7回直木賞選評/並木行夫作「小説・橘外男」他) 解説:川口則弘(直木賞研究家)
「悽愴、怪奇、愛慾、冒険! これぞ真に大人の読むべき小説だ!」 直木賞受賞作「ナリン殿下への回想」の続編的内容である表題作はじめ、「MR・タチバナ」が語る数奇な物語の数々。著者が最も得意とする「創作実話」の観点から、未収録作品を精選した秀作集。 地獄への同伴者 亜米利加からの手紙 燃える地平線 五十何番目の夫 解説:谷口基
澁澤龍彦が「人獣交合の描写のエロティシズムとグロテスクぶりにかけては、この橘外男の『陰獣トリステサ』以上のものは、まだ世界のどこの文学にも現われていないようだ」と絶賛した表題作ほか、綺想の傑作『青白き裸女群像』『妖花イレーネ』を一挙収録。
身の毛もよだつ怪奇譚や、実録風怪異現象をエキゾティシズムと猟奇趣味の混合した耽美的な文体で描いた、橘外男。特異な経歴をもち、様々な職に就きながら小説の筆を取った異色作家の、「聖コルソ島復讐奇譚」「怪人シプリアノ」など「実話」と銘打ったグロテスクな海外怪異譚と、「蒲団」「逗子物語」などの日本的怪談10篇を収録。