著者 : 水城雄
南洋に浮かぶ孤島で夕季が見たものはー。時は1943年夏、日本軍の暗号解読に成功していた連合軍は、要人を乗せた日本軍機が飛び立ったことを知るとすぐさまそれを追撃した。撃墜された日本軍機に同乗していたのは可令官の父を訪れていた少女、夕季であった。不時着から夕季を助け出したのは、南洋に浮かぶ謎の孤島に住む少年、ベン。その島とは。そして夕季が見たものは。エンターテイメントの鬼才、水城雄が放つ冒険SFの会心作。
スーパーコンピュータがイメージ処理するネットワークの奥深く、システムを設計した“教授”が眠っている。彼を覚醒させるべく、コンタクトステージへとアクセスする美緒たちイメージ・オペレーター。しかし彼女たちを待ち受けていたのは、悪意に満ちた罠であった。自らを毎日のようにネットワーク空間に遊ばせる、水城雄が描き出した電脳小説の決定版。
“鶴ケ峰市長選で、死人が出る。現市長は東亜観光より多額の政治資金を…”加賀放送に寄せられた一通の投書。殺人予告か、いやがらせか。同市長選はリゾート開発をめぐり推進派と反対派が激しく闘っている。報道番組部の出雲路幹彦は先輩の女性カメラマン花巌美也、アルバイト学生の田中一平と組んで取材開始。現市長の親戚筋にあたる一平から「すごい情報が入りそうです」-。幹彦と美也が駆けつけると、大事な情報源は無惨な姿に…。著者渾身のサスペンス・アクション。
コンピューターメーカー・東洋電気と警察庁が、ある目的のためコンピューターによる“個人監視システム”を極秘に完成させた。しかし天才ハッカーを擁する秘密組織がこのことを察知、「二日以内に百億ドルを用意せよ」と警察庁を脅迫する。協力を要求された東洋電気は、システムの開発者・長我部萌子にハッカー対策を要請。だが、長我部はなぜか突如失踪、二日間のタイムリミットが迫る中、長我部を求め、彼女の同僚・吾妻圭介が必死の追跡を行なうが…。巨悪の殺意が吾妻を襲う。疾る戦慄、溢れるスピード感、期待の大型新鋭が抉る情報社会の裏面。新感覚ニューウェイブ・ハードサスペンス書下ろし力作。
深夜、リサーチ会社に勤める磯見史郎のもとに一本の電話がかかった。郷里・奥越高原のQ市で一軒宿を営む、高校時代の友人・岩井純一からだった。「ある調査を頼みたい」と告げた後、電話は不意に切れた。翌朝、史郎は、岩井が事故死したとの報を受ける。彼の岩が野山荘は、リゾート開発のため、ダムの水没地域に指定されていた。開発利権をめぐる市長と業者の黒い噂を探っていた岩井は、重大な秘密をつかんでいた。10年ぶりに故郷に飛んだ史郎を待ち受けていたものは…。俊英が描く迫真のスーパー・サスペンス。
八橋進介は司法研修所を出たての新米弁護士。正義感に燃える進介は検事一家に育ちながら、検事正である父の反対をおしきり、人権派の代表的存在、舟本守道弁護士事務所に居候することになった。学生時代の憧れの先輩で守道の娘・美波子と、彼女のライバル・晶という二人の美人弁護士に囲まれて、毎日が緊張の連続。そんな彼が初めて担当したのが殺人事件の弁護だった。被告は中学校の女教師。教え子の父親との不倫がバレて、口論のすえ夫を殺害したとされている。公判初日。誰もが情状酌量のセンで争うものと思っていたが、進介は突如「被告人は無実ッ!」と主張する。騒然とする廷内。果たして進介に勝算はあるのか。TBS金曜ドラマの小説化。
饗庭仁-瞬発力を秘めたしなやかな筋肉と褐色の肌をもつ泥棒の段取屋。組織がらみの仕事は一切請けない主義だが、それが災いして、現在は文無しだ。ホテルの古美術展を襲う仕事も、たった1人の少年に目の前で鮮やかに獲物を攫われる。そして妖しい美女、葉子の色香に惑わされ、組織の仕事を請負わざるをえなくなってしまった。しかしそれが、あの少年との再会につながろうとは!妖精と呼ばれるその少年こそ、ベルフォールの宇宙生体工学研究所から逃げだした狂気のクローン・サイボーグだったのだ!気鋭が描く会心のフューチャー・アクション。
限定核戦争によって、壊滅状態となった東京は、浮遊都市として驚異的な復興をなしとげた。日本最大の宇宙産業グループKPDの若きトップ・九条俊一郎は、宇宙都市P1の市長の娘・レイチェルとのロマンスを実らせようとしていた。一方、凶悪なスラムと化した保護区では、リョウの率いるグループが勢力を伸ばしていた。おしのびで保護区に遊びに来ていたレイチェルは、スラム内の抗争に巻きこまれ、リョウに掠奪されてしまう。陽のあたる道を歩いてきた俊一郎と闇の世界を牛耳るリョウ…同じ女性を愛してしまった二人には悲劇的運命ともいえる秘密が。