著者 : 水沢秋生
「動かしてみようよ、ゴールデンラッキービートル!」小学6年生のジュンペイとヨータは、とあることをきっかけに、クラスから浮いた存在の女子・ヒナと仲良くなった。3人は、学校帰りにいつも立ち寄る秘密基地に捨てられている廃車を動かそうとするが…。交錯する過去と未来。一度離れた友情が再び交わる瞬間を描いた傑作小説。第7回新潮エンターテインメント大賞受賞作を文庫化。
1990年。色々なことがあった。でも、僕にとって大切なことはたったひとつだけ。僕は、彼女に出会った。でも、それを僕が知るのはずっと後。本当に、ずっと後のことになる。男女の出会いから約30年間を描いた、甘さ・苦さ・切なさの詰まったラブストーリー。
眠りから覚めるたびに別人になってしまう。年齢も性別もバラバラ、つながりがあるのかどうかもわからない。そもそも、「俺」はいったい誰なんだー?事態の打開を試みる俺は、「カップル連続惨殺事件」についての週刊誌の記事に猛烈にひきつけられる。俺がこの事件に関係している?事件について調べ始めた俺は、何者かに襲われて…。傑作ジェットコースター・エンターテインメント!!
駅のホームの端に立ち、風にスカートを翻す少女。彼女は、まっすぐにこちらを見ていたー。喧嘩した親友に転校を告げぬまま夏休みを迎えてしまった少年。地味な同級生がバンドをやっていると聞き、心がざわつく女子高生。様々な思いを抱える人の前に少女は現れ、心の奥に隠した本当の声を聞く。青春の記憶を紡ぐ物語の先に驚きと感動のラストが待つ、六篇の傑作。
大学生の片倉希は高台の上にある、赤い屋根の古い二階家に、翻訳家の祖母と二人で暮らしている。両親はものごころつく前に事故で死んだと聞いているが、写真すら残っておらず、顔も知らないままに生きてきた。希の部屋の隣には母親が使っていたという部屋があるのだが、希はその部屋が少し、怖い…。平凡で平穏な日常を送る希だが、彼女を捜し回っているという男の出現をきっかけに、大きな変化が訪れようとしていたー。
転校を控えた高校2年の夏休み、始発電車に乗って学校に向かった少年は、駅のホームで同じ学校の制服を着た少女と出会った。あんな子、乗ってたか?そもそも、この駅で降りたのは自分ひとりだけだったはずだー。(「始発電車の彼女」)田舎町の小さな駅のホームにあらわれる制服姿の少女。見える人にしか見えない彼女が、出会った本人も忘れたい、心の奥に隠した本当の声を聞く。そのとき…。あり得たかもしれない自分。二度と帰れないあの日。驚きと感動のラストに、青春の残酷さと美しさを知る。
掃除当番で放課後の旧校舎に集められた「底辺」の生徒たち。「強者」によって支配される校内には、彼らの居場所はなかった。いつも誰かに怯えている彼らだったが、一人の少女の出現によって変わっていく。少女の教えてくれた“おまじない”をすれば、「なりたい自分になれる」と信じて。しかし、それは復讐劇のはじまりだった。やがて“おまじない”は全校生徒を侵食し、学校は静かに壊れていく…。
「きみの世界の終わりを、見ててあげる」自殺を決意した戸野宮毬は、飛び降り直前に天使のような青年・人百合と出会う。彼との出会いが彼女の世界を変えていくが、世間では通り魔事件、食品への薬物混入事件、意味不明のフラッシュモブなど不穏な事件が頻発し始める。それは、積み重なった人々の悲しみと怒りが爆発する前兆だったー。切なさと高揚感でページを捲る手が止まらない、青春「暴動」小説。
フツーの小学六年生だった俺。“未来に夢を抱く”ことなんて諦めていた。あいつらと出会うまではージュンペイとヨータの秘密基地には、「ゴールデンラッキービートルの伝説」と名付けた廃車のワーゲンがある。ある日ヨータは、ジュンペイがウサギ殺しの犯人と疑うクラスメートの女子・ヒナが、そのビートルから何かを持ち出すのを目撃する。河原に向かったヒナが手にしていたのは、挙銃だった…。少年少女の一瞬の友情を描く、希望にみちた青春小説。第7回新潮エンターテインメント大賞受賞作。