著者 : 永田千奈
フランス人のローズは、一度も会ったことのない日本人の父が他界したという報せを受け、京都にやって来た。美術商だった父のアシスタント、ポールと出会い、恋に落ちるがーー。ひとりぼっちだった女性が、古都に癒され自分を見つめ直し、人生の意味を見出す。
ロシア革命の不安を背景に現れる美貌の密偵と放浪インテリ乞食集団……奔放過激な幻想や黒いユーモアが爆発する幻視的予言の書『世界を駆けるヴィーナス』。夜と海と砂丘の探偵小説『北の橋の舞踏会』。推理小説の要素を兼ね備えた傑作長編2編に、澁澤龍彦が短編『マドンナの真珠』の藍本とした幽霊船綺譚『薔薇王』を併録。
翻訳文学を求める熱心な編集者に告げておく。ピエール・マッコルランは、現代に復活させてしかるべき作家である。マッコルランを出す勇気と機略のある編集者がいたら、私はそのひとに敬意を表するだろう。--澁澤龍彦 アントナン・アルトー、レイモン・クノー、ボリス・ヴィアンらも熱愛してやまなかったフランスの小説家ピエール・マッコルラン。 奇妙で、ファンタスティックで、ユーモアに溢れるその傑作を集大成した、本邦初の3冊本選集がついに刊行。 第1回配本は、奇妙な笑い病のパンデミックがこの世を滅亡させる、世界終末論的疫病小説『黄色い笑い』。マルセル・シュネデールがマッコルランの最高傑作と絶賛したマンドラゴラ幻想小説『悪意』。長編2編を収録。ともに本邦初訳。
19世紀末、パリ。少女ウジェニーは「霊が見える」と告白したために、家族に勘当され精神病院に入れられた。そこでは女性の苦悩やトラウマが「狂気」と診断されていた。病院で行われた公開講義や舞踏会の史実を元に、社会から排除された女性たちを描いた小説。
戦後フランスを代表する作家ロマン・ガリ(一九一四ー八〇)が、自殺する直前に遺した最後の長篇小説(原著一九八〇年刊)。稀代の凧揚げ名人を叔父にもつ主人公の少年リュドは、ポーランド人の令嬢リラに恋をするが、対ナチス戦によって2人は引き裂かれる。リラへの思いを募らせるリュドは、凧がふたたび自由に空を舞う日を取り戻すためにレジスタンスへと身を投じるが、それはフランス=善/ナチス=悪という図式が崩壊してゆく過程でもあった…。日本でも再評価著しい作者の遺作。
パリの社交界で金持ちの貴族を相手に奔放な日々を送る美貌の高級娼婦マルグリット。彼女はある日、青年アルマンと出会う。初めて真実の愛に目覚めた彼女は、これまでの享楽的な生活を捨て、パリ近郊の別荘で二人は暮らし始めるのだが、そこへ訪ねてきたのはアルマンの父だった…。
フランス宮廷に完璧な美を備えた女性が現れた。彼女は恋を知らぬままクレーヴ公の求婚に応じ人妻となるが、舞踏会で出会った輝くばかりの貴公子に心ときめく。夫への敬愛、初めて知った恋心。葛藤の日々に耐えられなくなった夫人は、あろうことかその恋心を夫に告白してしまう…。
貧しい親に捨てられたり放置されたりしている子供たちをさらうことで自らの「家族」を築き、威厳ある父親となったビグア大佐。だが、とある少女を新たに迎えて以来、彼の「親心」は、それとは別の感情とせめぎ合うようになり…。心優しい誘拐犯の悲哀がにじむ物語。待望の新訳!
俺たちバルトラングは、サーカスの裏方だ。テントの設営と解体が俺たちの仕事。華やかな舞台の陰で、興行が無事にすむように汗水たらして働いている。ある日、テントにやせこけた灰色の犬が迷い込んできた。シェパと名づけたその犬は、俺たちのアイドルになった。だが、それだけではなかった…。実はシェパは、ショーのために生まれたような天才犬だったのだ。シェパをスターにして、俺たちのサーカスを作ろう!バルトラングの男たちの夢が始まった。年間最優秀作品とフランスの文学界が絶賛!!カルフール・サヴォワール新人賞、2003年シネレクト賞受賞。