著者 : 江波戸哲夫
「粗大ゴミのように私を放りだそうとしたのはあなたじゃないか」経営不振を乗り切るための組織改革で昇進したはずが、実は“社内失業者”と化していた三矢不動産部次長の大下。彼の許に突然届いたのは「解雇通知」だった。自分を引き抜いた常務の裏切りを痛感した大下は、「日本管理職組合」に復職を訴えるが…(表題作より)。非情で身勝手な企業に挑む男たちを描く傑作短編集。
経済誌編集者・大原史郎。創業社長五十嵐岳人が亡くなり、夫人が会長に、息子の隼人が社長に就いた。一匹狼の大原は窓際に追いやられる。囲碁仲間のとりなしで、扱ってきた経済事件を掘り下げることを決意する。重電メーカー元会長失脚事件。病床の元会長から本音を引き出し真相に迫れるか!?
長引く低金利時代にメガバンクはのたうちまわっている。富裕層を相手にするPBの旗手・高梨優。シングルマザーのFA南野治子。リーマン・ショックに揺れる東西銀行で、対照的な二人の銀行員が出会ったことで、新たな鉱脈は見つかるのか。激動の新時代に、生き残りをかけるバンカーたち!
同期のライバルも立て直しに失敗した三友銀行最難関の支店、飯田橋支店の新支店長を副頭取に命じられた片岡史郎。そこは、吸収合併した信用金庫の旧本店だった。社風も目標達成への厳しさもなにもかも違うところで、闘う支店長として銀行マンとして自ら先頭に立ち、押し寄せる難題に立ち向かう片岡だが!?
社内で無能の烙印を押された五十人がひとつの部署に集められた。三有不動産首都圏特販部。その本部長を命じられたのが、篠田洋だった。不動産不況の中、売り捌けるはずのない物件と到底不可能な販売目標を押しつけられ、解雇の瀬戸際にまで追い込まれた五十人を守れるか。篠田の絶望的な闘いが始まった!
上司の逆鱗に触れ定年待合室へ追いやられた、大手百貨店の敏腕営業マン大和田は、妻のガン宣告を受け50代で早期退職をする。妻を喪ったあと、ふとしたきっかけで“人助け”に手を貸し始めるのだが、その中で出会った経験も人脈も豊富なその道のプロたちは、それぞれの職場でそれぞれの鬱屈を抱えていたー再起をかける男たちを描いた、痛快経済小説。
スマホが便利になるなんて小さい小さい!「技術開発こそ生命線だ」という創業者の言葉を胸に、大手電機メーカーで新技術の研究に没頭してきた真崎直人。景気後退により自らの夢とも言える「見えないガラス」完成への道を閉ざされた彼は、進境著しい韓国メーカーの誘いに乗り、単身現地に身を投じる。日本では実現済みの「低反射フィルム」開発から手がけた真崎だったが、社内での反発や経済風土の違いに苦しめられ、次第に追い詰められてゆくことに。
百年に一度の金融危機リーマン・ショック。富裕層のオーダーに応えるPBの旗手、顧客から逃げないFAレディ。長引く不況と経済のグローバル化に傷つきながらも、メガバンク東西銀行の行員たちは懸命にそれぞれの道を模索していた。金融動乱に立ち向かうバンカーたちの“誇り”を描くドキュメント・ノベル。
世界が認めた名経営者盛田昭夫。町工場だった東京通信工業を皮切りに、テープレコーダー、トランジスタラジオなど常に時代の先頭を走り続け、ソニーを世界ブランドに成長させたその手腕。製品開発、アメリカ進出、商標裁判…笑顔で壁を次々に越えていく盛田の隣には、居並ぶ一騎当千の強者たちがいた。
情熱を込めた語り口は周囲の人を動かし、最前線を歩き回る行動力が、やがて“安かろう悪かろう”だった日本製品のイメージを払拭していった。財界人となってからもマーケットの創出に心を砕いた盛田昭夫。経営、販売、開発に関わるすべての人に、困難を乗り切る知恵と勇気をもたらすドキュメント小説1700枚。
バブル崩壊後、大型プロジェクトが打ち切られ、出世コースからも外れた不動産会社部長の森田は、早期退職制度に応募して再起に賭けていた。独立して、三十年間やってきたこの不動産業界で、もう一旗揚げるのだ!ところが退職の夜、妻子が失踪し、起業資金が消えた。自分の身に、いったい何が起こったのか?サラリーマンにとって、家族とは、仕事とは何なのか。家族の絆を問い直し、自分を見つめ直してゆく、再生の物語。
盗聴破り、錠前破り、いじめバスターズ、アリバイ屋、夜逃げ屋、名簿屋、インターネット詐欺師。およそ、人殺し以外はなんでもやるという平成の闇商売。でも、リストラ全盛のこの時代、全てが儲かるというものでもないようだ。そんな裏ビジネスの裏も表も明らかになる。小説の形で現代の世相を斬る今様のビジネス往来。小説に教えてもらうお金儲けのノウハウ。オリジナル作品。
日本企業に死刑を宣告する海外の格付け社会。自主廃業した証券会社を辞めた元社員が格付け見直しに賭ける。これからの日本企業の未来を照らし出す様々な(可能性)の数々。
三田麻衣子は、広告代理店「北斗七星」四大卒入社五年目の二十八歳。今期の社内異動で社内最強軍団といわれる大原チームへの所属が決まった。配属早々、ドラゴンビールの経営する青山店オープニングのプロデュースと運営への参画を申し渡された。ドラゴンビールの宣伝に憧れて入社した麻衣子だったが、イベントまでわずか八ヵ月しかない。
「粗大ゴミのように私を放りだそうとしたのはあなたじゃないか」大下は常務に怒りをぶつけた。組織改革によって“社内失業者”と化していた三矢不動産部次長・大下の許に届いた、突然の「解雇通知」。自分を引き抜いた常務に対し、裏切りの気持ちを抱いた大下は、「日本管理職組合」に復職を訴えるが…(表題作より)バブル崩壊後の苛烈な企業の実態を描く、傑作七編。
ヤクザのダミー会社との巨額の取引を警察が内偵との情報に、おびえ浮き足だつ銀行会長。この不祥事を契機に一挙に会長一派の追放を仕掛ける頭取派。会長の懐刀で、銀行の暗部を担当し実力をつけた“高卒”専務を通して、不良債権という「ババ」が抉り出す、銀行首脳の抗争を描く、衝撃的な長編経済小説。