著者 : 江波戸哲夫
企業舎弟、仕手筋、飛ばし、粉飾決算、インサイダー取引、横領、詐取、乗っ取り、怪文書、経歴詐称、土地・絵画転がし、不正報告、セクハラそして引責自殺。ビジネスマンはいともたやすく犯罪者になる。
ワシントンの情報屋から送られた極秘ファクスは、蔵元、高原、外岡の3人の総理大臣秘書官に、次期支援戦闘機開発をめぐる政界疑獄の発生を告げていた。彼らは、腐敗した政治家を放逐し、新たな政治理念に依って政界再編の道を切り開くべく、決然と行動を開始したー。恋人との別離や愛妻の死など、それぞれに苦悩しつつも繰り広げられる、誇り高き平成の官僚たちの熱い闘いは今。
泥に塗れても政商になる。若き野心家・高川吾一の“黒い野望”が弾けたとき、何が起こったか。政治を壟断し、巨利を窺う東大卒エリート。彼の仕掛ける〈悪の網〉に、誰がからめとられたか。永田町を震わせる日が近づく。ありとあらゆる手段を弄し、政商に成りあがろうとする男と仲間たちを描く悪漢小説。
大蔵省事務次官・冬村国治は、財政再建に不可欠として、大型間接税の導入に意欲を燃やし、大蔵の決意を示すため、次の事務次官に異例の人事を用意した。が、冬村の構想に、前首相の梅里が反対の意向を表明した。人事権は官僚の牙城であった。全局長の辞表を携えて直談判におよんだ冬村に、梅里は意外な条件を出してきた(「大蔵省次官室」)。第一線で苦闘する管理職達を描いた異色作品集。
ワンマン会長に懸命に抵抗する頭取、銀行離れをしようとする大企業に、必死に食いつく法人営業部ー。厳しい環境下で喘ぐ巨大銀行の内幕を描く。不良債権の回収に振りまわされる支店長の悩み、融資をめぐるライバルとの苛烈な競争など、生き残りに賭ける都市銀行のリアルな実態を浮きぼりにした経済小説。
大手スーパー「ドライブ」が狙う、次の標的は中堅の「白梅」。社長の二本柳太郎は、ニヒルな男・平尾剛に密命を下した。手段を選ばず、どんなことをしてでも乗っ取れ!スーパーマーケット戦争が始まった。生きるか喰われるか、攻めるものと守るものの虚々実々の駈け引き、激烈な舞台裏を描いた経済小説。
逓信省として発足した郵政省はかつては現在の運輸省・通産省の一部をも所管範囲とする有力な官庁であった。しかし、昭和18年の機構改革、24年の分割で、3つの現業、電波監理部門のみと弱体化してした。情報化へと動く時代状況の中、霞が関、郵政省官僚は総力を上げ、電気通信政策局の設置、NTTの誕生、郵便貯金を梃子にした大蔵省との力関係の改善をはかった…。長篇ドキュメンタリー・ノベル。
美人国際政治学者と秘かなくつろぎの時をすごす総理大臣秘書官の部屋に、1通のファクスが送られてきた。日米経済摩擦下で演じられたFSX(次期支援戦闘機)開発汚職…。産軍複合企業と利権の実態…。旧体制派の一掃を謀ってきた若手官僚グループは、凛然と平成維新の計画に立ち上がった。
FSX(次期支援戦闘機)開発汚職は日米の国際疑獄事件へと発展した。すみやかに揉み消しの強手を放つ旧体制派。身辺にうごめく怪しい視線…。厳しい攻防は偵察用軍事通信衛星の予算査定の場へともつれこむが…。テロの波紋。恋人との別離。愛妻の死。そして誇り高き高級官僚の闘いは今-。
総合商社で展開される人員削減計画の中で、同期入社の2人を襲った苛酷な運命の行方は?鉄鋼第1課長から通称“植物園”に左遷された北野一生と、“企業内職安”の設置を特命された人事課長の早川浩が、それぞれに抱く葛藤と友情の機微に分け入り、最後に下した商社マンの決断を爽やかに描く経済小説。
次期通産省次官の椅子を狙う産業政策局長・長尾浩一は、電気通信事業をめぐる通産省と郵政省の熾烈な主導権争いの渦中にあった。規制緩和に傾く通産省、強化を図る郵政省。事態は暗礁に乗り上げた。その頃、長尾がかつて秘書を務めた元首相・田上に縋ったとの噂が流れた。航空機疑獄で告発された後も政界に隠然たる力を保つ田上だったが…。政官財三つ巴の第二次VAN戦争を活写する迫真の問題長篇。
海原投資研究会の主幹・海原大介には、かつて業界最大手・大田黒証券に在職中、K電機とY建設株の暴落から顧客に恨みを買い、妻子を焼殺された辛い過去があった。事件後、退職した海原は自棄の生活を送っていたが、ふと飲み屋で手にした証券新聞でその二つの株の値上がりを知り、自分の読みの正しさを確信、再び“現代最高の戦場”兜町へと勇躍、戦いを挑むのだった。株式投機の裏面を活写する長篇経済小説。
厳しい環境下で喘ぐ巨大銀行。会長と頭取の暗闘、不良債券の回収に振りまわされる支店長、融資をめぐるライバルとの苛烈な競争。サバイバルに賭ける都市銀行の苦悩と変貌を活写する渾身の経済小説。