著者 : 池上冬樹
東京で生活する美しいがごく普通の女性が名もなき人々を標的に狙撃を繰り返す「狙撃者がいる」、アメリカの食堂で働く少年を通し銃を射つ崇高さを描いた「心をこめてカボチャ畑にすわる」、体験主義の作家が夫の鍵から推理を重ねる「彼女のリアリズムが輝く」他、日常に突如表出する不条理な暴力と謎を鮮烈に捉えた全8篇を収録。スタイリッシュでクール、独創性に満ちた片岡ハードボイルドの傑作を精選。
寛政の江戸を跋扈する悪党どもに立ち向かう、若き火盗改・近藤重蔵。猿遣い名人、お高祖頭巾の大年増、鍵言葉に突っ転がし、さらに、重蔵なじみの飯屋に因縁の謀が。世を騒がせる怪事件を、冴え渡る推理で解決する。そして、重蔵の身辺に忍び寄る女の影…。痛快無比、大評判の傑作時代小説シリーズ第三作。
犯罪組織「クライン」の独裁者君国の愛人はつみの身体と、女刑事明日香の精神を持つアスカは、己だけを信じて決死の囮を演じていた。組織は警察内部の通報者を使い、次々と殺戮の罠を仕掛けてくる。アスカを守るのは、明日香の元恋人・仁王こと古芳ひとり。だが、古芳はアスカの精神が明日香であることを知らない。一方、アスカは古芳が組織の内通者である疑いを捨てきれない。不協和音が生じた二人にさらなる刺客が…!!息もつかせぬアクション、巧みな構成、想像を絶する展開。感動と興奮を呼ぶエンターテインメントの真髄。
働き者の平凡なトラック運転手と思われていたポール・マイヤーズは、深夜誰に頼まれ、何を運んでいたのか?運転中、崖から転落死したと思われたポールが、何者かの仕掛けた爆発物で命を絶たれたと知ったピナクル保険は調査員デイヴ・ブランドステッターに事件の背景を探るよう依頼した。彼はまず、保険金を請求した未亡人アンジェラに話を聞きに出かけた。彼女は、夫の仕事については何も知らないという。が、そういう彼女の顔は何者かに殴られ、怯えた様子だった。ポール殺しの容疑者はあがってはいた。シレンシオ・ルイス-チンピラグループのもとリーダー格で、ポールの証言により強盗の罪が確定し、保釈になったばかりの男だ。彼の意趣返しかもしれないが、その行方は杳として知れなかった。そのうち、妙な事実があきらかになった。ポールに仕事を紹介した運転手オシーも、やはり変死を遂げていたのだ。しかも、オシーの死亡診断書を書いた人物は偽医者らしい。その上、オシーの妻子も何者かに怯えて逃げ出していた。事件関係者を脅かす謎の人物とは何者なのか?そして、真夜中のトラック便に絡む怪事件の意外きわまる真相とは?