著者 : 河邉徹
大ファンだったアーティストの担当になったものの、努力が結果に結びつかず苦悩する若手レコード会社社員、上司の期待に応えようとするあまり、知らないうちに心身を壊してしまった40代手前の女性、久しぶりの恋の予感にときめくカメラマン、合唱コンクールで伴奏と曲のアレンジを任された女子高生、海辺の町のリサイクルショップで壊れた物を修理し続ける男性ー。時に慰め、時に励まし、彼らの人生の岐路に寄り添っていた一つの曲が、場所や時間を超えて広がっていく奇跡を、ミュージシャンとしての経験を持つ著者がみずみずしく描いた連作短編小説。
“普通であること”に悩むミュージシャンד普通でないこと”に悩む元声優二人が、人生の岐路で恋をしたー『流星コーリング』『蛍と月の真ん中で』の著者が贈る共感必至のラブストーリー!
写真館を営んでいた父の影響で、カメラマンを目指すようになった匠海。父の死後、母との関係性が悪くなった匠海は,逃げるように東京の大学に入学し、写真を学び始める。しかし、待っていたのは、学費と生活費を稼ぐだけで精一杯の毎日。「これを乗り越えれば夢に近づける」と自分を奮い立たせていたが、ある出来事をきっかけに、休学を決める。実家にも帰れず、衝動的に向かった先は長野県・辰野町ーかつて父が蛍の写真を撮影した場所だった。なんの計画もなく訪れた匠海を出迎えてくれたのは、父が愛した美しい景色。そして、それぞれの事情により辰野で暮らす人々との出会いが、彼の心を変えていくー。自分の居場所を見つける物語。
これは、現代のミュージシャンが綴る魂の叫び。ピアノロックバンド「WEAVER」の文学脳・河邉徹が、四作目にして初めて書き切った待望の“純正バンド小説”。SNSの時代に音を奏でる意味を言葉にした、渾身の意欲作。
2020年に現実に流されるという人工流星をテーマに、その舞台となる広島で繰り広げられる青春SFストーリー。広島県廿日市中央高校の天文部に所属するりょう。人工流星の話を聞き、当日見に行くのだが…。その日を境に、りょうは、“明日”に進むことができなくなる。これは、“人工流星”という自然に逆らった事柄のせいなのか。なぜ時空がずれたのか、何度も訪れる同じ日の中で、りょうは、その理由を探し続ける。そして、物語は衝撃のラストへと進む…。
「夢を修正することにより現実を変えられる」という力を持つ「夢工場ラムレス」。その夢工場を訪れた人たちが手に入れたものとは…。バンド名に“音楽を紡ぐ人”という意味が込められているWEAVER。そんなWEAVERの河邉徹がドラムスティックをペンに持ち替え“紡いだ”人間ドラマ。「未来の夢」「過去の夢」「理想の夢」「他人の夢」「管理人の夢」。5人の物語を通じて、誰もが持つ“優しさ”“後悔”“欲望”“希望”を描いた長編小説。