著者 : 泉川紘雄
フォークランド紛争の英雄でヨットマンのニックは、海運王カソーリから恐るべき依頼をもちかけられた。外洋レースに出場するニュースキャスター、バニスターの艇に乗り、彼を誤った海域に導けというのだ。バニスターはカソーリの娘を殺害したと噂されており、洋上で何かが起きることは間違いない。依頼を断わったニックは、陰謀を阻止すべく愛艇で激浪の海域に急行する。英国冒険小説の新旗手が放つ傑作冒険サスペンス。
フォークランド紛争で重傷を負い、ビクトリア十字勲章を授与されたニック・サンドマンは、二度と自力では歩けないと宣告された。だが、彼には絶対にあきらめきれない夢があった。唯一の生きがいである愛艇〈シコラクス〉に乗り、広大な南の海へ船出するのだ。ところが、〈シコラクス〉を繋留しておいたデボンへ帰ってみると、岸壁には別の船が繋がれ、〈シコラクス〉は装備を略奪されて陸上に無残な姿をさらしていた。繋留位置を占領していたのは、テレビの人気ニュースキャスターで有名なヨットマン、トニー・バニスターだった。彼はまた、海の悲劇に遭った男としても知られていて、外洋レース中の事故で妻を失っていた。だが、バニスターの妻は父親である海運王ヤシア・カソーリは、この事故が殺人ではないかと疑っていた。海を愛し自由を愛するヨットマン、ニックが捲込まれた洋上の陰謀と、不自由な体での不屈の闘いを描く、疾風怒涛の海洋冒険サスペンス。
カムチャツカ半島北方のカバツニャに、ソ連のレーザー基地が設置された。その怖るべき威力により、アメリカの偵察機RC-135と偵察衛星、さらに新型大陸間弾道ミサイルが一瞬のうちに消滅した。脅威を感じたアメリカは国連安全保障理事会を召集、ソ連の行為を非難してレーザー基地の封鎖を図る。だが、その試みは失敗した。そんな折り、ネバダ州の空軍基地から飛び立った一機の爆撃機があった。B-52“オールド・ドッグ”-B-52Hを全面改装して最新電子機器と強力なミサイルを搭載、レーダー波を吸収する金属で覆ったステルス爆撃機である。卓越した技術と不屈の魂を持つレーダー航法士のマクラナハン大尉、その相棒の航法士ルーガー中尉、重傷を負いつつも操縦輪を握り続けるエリオット将軍、副操縦士のオーマック中佐、そして二人の女性、電子戦オペレーターのウェンディと銃手のアンジェリーナ。彼ら六名の搭乗員が、死力を尽くして息づまる航空戦を展開する。元航法士が最新情報を駆使して描く軍事スリラーの超話題作。
マンハッタンのエアロビクス・スタジオが覆面をした男たちに襲われ、従業員が殺害された。一見平凡な強盗事件と思えたが、殺人課のロスとエルナンデスは、死体に空手による打撃の跡を発見する。続いて起こった三つの殺人事件の犠牲者からも空手の痕跡が見つかった。実は事件の背後には、日本人ビジネスマン待島が率いる浪人集団の存在があったのだ。だが忠臣たちは待島の手を放れ、暴走をはじめようとしていた。ロスとエルナンデスに彼らを止める術はあるのか?アメリカ探偵作家クラブ最優秀ペイパーバック賞候補の異色ポリス・アクション。