著者 : 泉由梨子
カーリーが大富豪の夫ステファノの浮気に耐えきれず家出をした直後、妊娠がわかった。密かに産み育てた娘が大病を患い、一刻も早く手術をと焦るカーリーは、やむなく莫大な治療費を貸してほしいとステファノに願い出た。娘の存在を初めて知った彼は、妻に究極の選択を迫るー再び結婚生活に戻るか、娘の親権を彼に渡すか。-(情熱のとき)村の外れで幼い息子と暮らすネルの前にある日、ふらりと現れた男が気を失って倒れたーそれは5年前に死んだと聞いた夫のカールトンだった!ネルは憧れの子爵だった彼と結婚したものの、夫とその家族から財産目当てといじめ抜かれた。あげくのはて、生まれた息子を自分の子とは認めぬまま失踪した彼が、なぜここに…?-(帰ってきた子爵)両親の死後、幼い自分を引き取ってくれたおじに、アリアドネは感謝していた。だが23歳になった今、見知らぬギリシア大富豪に花嫁として売られることを知り、彼女は未来の夫セバスチャンとの対面の瞬間に怯えた。意外にも若くて精悍な彼はしかし、黒い瞳を氷のように冷たく光らせている。私にこの人の妻が務まるかしら…?(ためらいの花嫁)
実業家アレクシスに秘書として雇われたシエナ。ギリシア彫刻のように美しいボスをひと目見た瞬間から、彼のそばで働けることが嬉しくてたまらず、天にも昇る心地だった。やがてアレクシスに誘われて出かけた週末旅行で、シエナは愛の言葉とともに身も心も捧げ、幸せをかみしめたーアレクシスが、シエナの兄に傷物にされた妹のため、今度は自分が彼女の純潔を奪ってやるつもりだった、と告げるまでは。だが、失意のシエナが故郷の村に戻ると、再びアレクシスが現れた。彼から逃れようとシエナが家から飛び出したそのとき、走ってきた車にはねられた彼女は、すべての記憶を失った…!
カリーナが事故に遭い、記憶を失ってから1年が経った。実業家であるフォードの豪奢な屋敷で暮らしているが、彼がフィアンセだということは、いまだに思い出せない。こんなにもハンサムで、優しくて、お金持ちな人が婚約者だなんて。事故以前のように愛し合いたいと情熱をあらわにするフォードには強く惹かれているが、いつも記憶のない罪悪感のほうが勝ってしまう。そんなある日、カリーナに瓜二つの女性が現れ、激しく非難される。「私がフォードの婚約者。あなたは偽者のなりすましよ」このとき初めてカリーナは悟り、そして打ちのめされた。フォードを愛している。けれど彼が愛したのは、私ではなかった…。
「お願い、助けて」母と兄の懇願に、ジョスリンは動揺した。兄が父から受け継いだ会社が経営難に陥っているという。融資を頼めるのはただ1人、ラーフ・アンダースンしかいない。彼は裕福な経営者であり、かつては彼女の夫でもあった。姑にうとまれて彼女が孤立したとき、夫は冷たくあしらうだけで、愛から始まったはずの結婚生活はやがて破綻を迎えたのだった。3年ぶりに会う元夫に、ジョスリンの心はいまなお熱くなったが、一方のラーフは冷たい口調で、融資の交換条件を持ち出した。それは、彼女に跡継ぎを産ませるための再婚だった…。
カーリーは夫ステファノの浮気に耐えきれず家を出たが、その直後、妊娠していることに気がついた。それから7年、娘のアンーマリーは今や何よりも大切な存在だ。だがキャリアも積み、ささやかな幸せをかみしていた矢先、娘の病気が発覚して莫大な費用が必要となってしまった。一刻も早く手術を受けさせたいと焦るカーリーは、顔も見たくないはずのステファノを訪ねる決意を固める。彼は子どもの存在を知ったらどんな反応をするかしら?そして私は…彼と再会したらどうなってしまうのだろう?
リアーンは、4歳になる息子ジョナサンをひとりで育ててきた。公営アパートに住み、パートタイムの事務の仕事をしながら。今、リアーンは固い決意を胸に息子を連れてレブドン荘園をめざす。荘園を相続した著名な実業家ブリン・ソーンリイに会うためだ。観光客にまざって屋敷を見学している途中、こっそり“プライベート”と標示されたドアを抜けて奥に進む。5年ぶりに会ったブリンはリアーンのことを覚えておらず、「どこで会ったかな?」といぶかしそうな表情を浮かべた。「5年前、マンチェスターのパーティーで。あの夜私、妊娠して」自分の息子の存在を知って、ブリンは驚愕の表情を浮かべた。
ロンドンの病院で外科病棟の看護師長をしているメガンは、同じ病院に勤務する医師と半年前に婚約した。熱烈な恋愛でなくとも、彼とは安定した家庭を築けると思っていたが、この頃、本当に私は彼が望むような女性なのだろうかと不安になる。というのも、田舎に住む家族と引き合わせたとき、彼はどうやら内気で従順な妹のほうを気に入った様子だったのだ。ある晩、メガンが婚約者の心ない言動に傷ついていると、病理学部のファン・ベルフェルト教授がさりげなく慰めてくれた。なんて優しい人。勤務中のクールで厳しい教授とは別人みたい…。だが、そのとき恋が芽生えたことに、メガンはまだ気づいていなかった。