小説むすび | 著者 : 深山ちひろ

著者 : 深山ちひろ

薔薇の伯爵とワルツを薔薇の伯爵とワルツを

地味で冴えない付添人のフィーには誰にも言えない秘密があった。今シーズン、ロンドンじゅうの母娘を色めき立たせている戦場帰りの伯爵ネイサン・キャラウェイー彼はフィーの夫なのだ。5年前、動乱のスペインで彼と出会い、請われるまま結婚した翌朝に彼の恋人を名乗る美女が現れ、傷ついたフィーは逃げだしたのだった。だがある日、彼女が身を寄せる親友の屋敷を偶然ネイサンが訪れる。隠れ見た彼の麗しく精悍な姿に、フィーの胸は痛いほど高鳴った。あの人の腕に抱かれたいーせめて、もう一度だけ。親友の手で謎めいた美女に変身し、フィーは仮面舞踏会に赴いた。彼に正体を見破られ、領地に連れ去られるとは夢にも思わずに。妻が逃げた理由を知らないネイサンに激怒され、さらに深く傷つくフィー。一途な想いを告げられぬまま、二人は再び生き別れて…。引き裂かれた愛、運命の再会、忘れ得ぬ情熱ー密やかな恋の微熱が伝わるような、切なくも美しいリージェンシー・ロマンス。

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