著者 : 深水黎一郎
ドミニク・アングル「グランド・オダリスク」:パリ、ルーヴル美術館でスリに遭った主人公におこった不思議(「後宮寵姫」)。ハンス・バルドゥング・グリーン「女の三段階と死」:転校生の夏姫は、新しいクラスメイトから、よくある学校の怪談を聞くのだが(「旧校舎の踊り場」)。藤田嗣治「つばめと子供」:取材で訪れた見知らぬ土地で、公園で遊ぶ女の子たちと知り合った私だったが(「六人姉妹」)。架空の美術館(本書)に収蔵された、13の絵画と小説。
築30年の「大泰荘」で8人の大学生が共同生活を送っていた。ある朝、マッチョな男性住人が鍵のかかった自室において遺体で発見される。深夜には建物の玄関にチェーン錠がかけられるため、たとえ鍵を持っていても中には入れない二重の「密室」で誰が彼を殺したのか?住人の誰もが怪しく、誰にも動機が…。「7つの選択肢」から犯人を選んで下さい。先行読者投票の結果も収録!
集中豪雨で崩壊、全滅した山村にただ一人生き残った男を、テレビカメラとレポーターが、貪るようにしゃぶりつくす。遺族の感情を逆撫でし、ネタにしようと群がるハイエナたちに、男は怒りが弾け、暴れ回る。怒りの引き金を引いた女性アナウンサーは業界を去り、男は彼女もまたマスコミの犠牲者であったことに気づく。その二人が場末の食堂で再会したのは、運命だったのか、それともー。強烈な皮肉と諧謔が、日本に世界に猛威を振るっている「第四の暴力」マスコミに深く鋭く突き刺さる!日頃抱いているギョーカイへの疑問と怒りが痛快に爆発する問題作、激辛の味付けで登場!!
春夏秋冬と不審死が発覚!四人の人物がいずれも“完全犯罪完全指南”という裏ファイルに従い、物的証拠を残さずに遺恨ある相手を殺害したのだ。警視庁捜査一課・海埜刑事の聴取にも、物証がなければ捕まらないと否認を続ける犯人たちだが、海埜は丹念に真相を探っていく。完全犯罪を目論んだ隠蔽工作の結末は…。
嵐で孤立した館で起きた殺人事件!国民的娯楽番組「推理闘技場」に出演したミステリー読みのプロたちが、早い者勝ちで謎解きに挑む。誰もが怪しく思える伏線に満ちた難題の答えは何と15通り!そして番組の裏でも不穏な動きが…。多重解決の究極にしてミステリー・ランキングを席巻した怒涛の傑作!!
創立十五周年記念公演を目前とした名門バレエ団に公演中止を要求する脅迫状が届いた。海外の要人が鑑賞を予定していることが判明し、海埜警部補が専従班として警護に当たることに。芸術知識と推理力で数々の事件を解決してきた甥の“芸術探偵”瞬一郎と通し稽古に向かうと、演目の『ドン・キホーテ』は危険なシーンばかり。万全の警備態勢を整えるが、海埜はある絶対的な不安の原因に気づいてしまったー。緊張の中、幕があがる!(「ドンキホーテ・アラベスク」)舞台で渦巻く疑念があなたを幻惑する書き下ろしミステリ中篇集。
若き天才女性ヴァイオリニストの凱旋コンサート会場からこつ然と消えた、時価数十億の伝説の名器。突如容疑者と化した1800人の観衆。場内の不満が最高潮に達したとき、チャイコフスキーのあのメロディがー真犯人は?そして犯人が用いた、驚くべき犯行手口とは!?書下ろし表題作はじめ、全ページに美しい旋律が鳴り響く、珠玉の3篇。
10歳の少女が両親と訪れたのは、不思議な現象が次々と起こる街だった。そこで奇怪な殺人事件が。(「不可能アイランドの殺人」)動物園でのピアノ・コンサートの最中に象が暴れ出し、飼育員が死亡した。事故と思われた出来事の、驚くべき真相とは?(「インペリアルと象」)2つの怪事件に「芸術探偵」が挑む!
この男、警視庁捜査一課の係長なのに、事件を解決する気、まったくなし!思いつきで部下をこき使い、暴言と居眠り三昧。それでいてなぜか検挙率100%の大〓見(おおべしみ)警部。下ネタ大好き、ブルドッグのような容姿の「警視庁最悪の警部」が、“本格ミステリーのお約束”を薙ぎ倒し、踏み躙りながら難事件を次々解決!?著者のミステリーへの愛と造詣に満ち溢れた抱腹絶倒の連作集!
「警視庁最悪の警部」大〓見(おおべしみ)に殺害予告かーついに神の鉄槌がおりる!?本格ミステリーの聖域を踏み荒らした男が帰ってくる。今度は、本格ミステリーからさらに芸術の世界まで生き贄に。常に話題作を生み出す著者が、ミステリーへの強すぎる愛と、芸術への深すぎる造詣をこれでもか、と注入して生まれた痛快にしてご意見無用、巧緻にして油断大敵な怪しき力作!
弁当配達のボランティアで老婆・カエと出会った、大学生の総司。家族を失い、片目の視力を失い、貧しい生活を送るカエは、愛し合いながらも結ばれなかった男との思い出を語り始める。その悲しい恋物語には、総司の人生すら一変させる、壮絶な秘密が隠されていた。衝撃の結末が待ち受ける、長編純愛ミステリー。
懲戒免職処分になった元警視庁の敏腕刑事が作成した“完全犯罪完全指南”という裏ファイルを入手し、完全犯罪を目論む4人の殺人者。「春は縊殺」「夏は溺殺」「秋は刺殺」「冬は氷密室で中毒殺」。心証は真っ黒でも物証さえ掴ませなければ逃げ切れる、と考えた犯人たちの練りに練った偽装工作を警視庁捜査一課の海埜刑事はどう切り崩すのか?一体彼らはどんなミスをしたのか。
仏・ランス大聖堂の南塔から男が転落、地上八十一・五メートルにある塔は密室状態で、警察は自死と断定した。だが半年後、再び死者が。被害者の共通点は死の直前、シャガールの花窗玻璃を見ていたこと。ここは…呪われている?壮麗な建築と歴史に隠された、事件の意外な結末。これぞミステリー!『最後のトリック』著者による異形の傑作。
平和な休日、婚約者が突然怒り狂う。路上では外国人に殴られ、ファミレスでは麻薬取引現場に遭遇。ついに凶悪テロの首謀者として手配される。原因は全て言葉の聞き間違いと勘違いだった。古の人々が崇敬し畏怖した言葉に宿る「霊力」が現代人を陥れようとしているのか。驚愕の言葉トリック・ミステリに震えよ!
「読者が犯人」というミステリー界最後の不可能トリックのアイディアを、二億円で買ってほしいースランプ中の作家のもとに、香坂誠一なる人物から届いた謎の手紙。不信感を拭えない作家に男は、これは「命と引き換えにしても惜しくない」ほどのものなのだと切々と訴えるのだが…ラストに驚愕必至!
本格ミステリーの古典から最先端までを、上から下から、後ろから、そして真正面から、斬新に独自の視点から痛快に切りまくるミステリー・ファン垂涎の異色作。生け贄となったのはーノックスの十戒、アリバイ崩し、密室殺人、逃走経路の謎、叙述トリック、レッドヘリング、図像学、ヴァン・ダインの二十則、後期クイーン問題、正確な死因、お茶会で特定の人物だけを毒殺する方法、二十一世紀本格、「見立て」の真相、バールストン先攻法にリドル・ストーリー、警察小説、歴史ミステリーおよびトラベルミステリー、さらには多重解決ー。初心者からマニアまで大〓(べし)見警部が満足させます!
天賦の才能に恵まれ、華麗な私生活を送る世界的テノール歌手・藤枝和行。念願のジークフリート役を射止めた矢先、婚約者が列車事故で命を落とす。恐れを知らぬ英雄ジークフリートに主人公・和行の苦悩と成長が重ね合わされ、死んだ婚約者との愛がオペラ本番の舞台で結実する。驚嘆の「芸術ミステリ」、最高の感動作。