著者 : 深沢仁
互いが、互いにとって‶非日常″。 そんなふたりの距離は近づくか? 春の宿、夏の墓参、秋のドライブ、 そしてーー冬の宿。 それぞれの季節に一度ずつしか 会うことのなかったふたりの一年を描いた、 絵画のような恋愛小説。 自分を裏切った恋人ともうすぐ旅行に出かけるはずだった女、その恋人の代わりに旅に同行することを申し出た男。なぜか承諾してしまった女は、それまで見ず知らずだった男と春の宿で一夜を過ごすことになるーー。 春の宿、夏の墓参、秋のドライブ、そして冬の宿。火葬場での出会い以来、それぞれの季節に一度ずつしか会うことのなかったふたりの一年を四章仕立てで描いた、絵画のような恋愛小説。 『眠れない夜にみる夢は』の著者の新境地的傑作。
静寂のなか、ゆっくりと息をする。 あの人はなにをしているか、と考える。 ちょっと憂鬱で、でも甘い。 まったくありふれてはいないけれど、 わたしたちの近くで起きていそうな 煌めく五つの人間関係。 『この夏のこともどうせ忘れる』の作者が贈る、 夜の作品集。 三人は同じ日の夜に出会い、恋に落ちた。俺は彼女に。彼女はあの男に。そして、あの男が恋をした相手は俺だった。なぜ俺なのか、とあの男に訊いてみた。健やかな馬鹿がタイプなのだという。それって悪口じゃないのか? それはともかく俺たちの一方通行の三角関係は、しかしそれほど時間を置くこともなく、べつのものへと姿を変えていった(「明日世界は終わらない」)。さまざまな登場人物たちが織り成す、ひとことでは言い表せないような繊細な人間関係を描いた、この作者ならではの珠玉の五編を収録する。 ■目次 「なにも傷つけないように、おやすみ」 「明日世界は終わらない」 「不自由な大人たち」 「家族の事情」 「砂が落ちきる」 あとがき