著者 : 清水知佐子
弘を頼ってハルビンに行った栄光は、独立運動に関わり父と親しかった錫、良絃の実父・相鉉らと出会う。栄善は智異山の家に母が来たことで、兄の満州行きを知る。西姫は仁川の良絃を気遣い、平沙里の屋敷に連れ戻した。永八が死んで平沙里の来歴を知る人も少なくなり、代々続く家同士の因縁も新しい世代に払拭されていく。南姫は延鶴の配慮で晋州の参判家に身を寄せ、尚義は女学校を卒業した。自分の意思が希薄だった人生を悔やみ、明姫は周囲を驚かせる行動に出る。それを機に集まった海道士やカンセら山の男たちは、スパイを捉えたとの知らせに緊張感を高めた。そうした中、とうとう皆が待ち望んだ日を迎える。
「家族」がきゅうくつなあなたへ。凛々しい娘、美しいおじさん、珍妙なおばさん。軽快な3人が送る、最高にイケてて、時々泣ける“これから”のホームコメディ!2023年韓国読者が選ぶ若い作家第1位。韓国でドラマ化決定の話題作!
日常にひそむ不安や欲望、家族の中で抱く孤立感。生きあぐね、もがく女たち。現代女性文学の原点となった呉貞姫の作品集。朝鮮戦争を体験した著者の幼少期が反映された「幼年の庭」「中国人街」のほか、三十代の内面の記録だという六編を収録。繊細で詩的な文章は、父の不在、家族関係のゆがみ、子どもや夫への愛情のゆらぎに波立つ心を描き出す。それは時代の中で懸命に生きる人の肖像でもある。
日中戦争に行き詰まった日本は仏領インドシナに進駐し、朝鮮人への抑圧も増している。拘束される日が近いと予感する吉祥は智異山周辺の独立運動組織の解散を決めた。新京で自動車整備工場を営んでいた弘は妻の軽率な行為から夫婦共に密輸容疑で朝鮮に連行された。これを機に工場を畳んだ弘は単身、満州に戻るつもりだ。統営に弘を訪ねた栄光は、栄善夫婦を通じて父・寛洙につながる人たちと交流を深める。平沙里では鳳基老人が世を去ったが、錫の母ら女たちは健在だ。崔参判家を巡る人々の運命は、世代を超えて複雑に絡み合っていく。他方、ハルビンで偶然に燦夏と出会った仁実は、十余年ぶりに緒方と再会する。
17歳の美少女オ・イェスルは、ある日突然10年後にタイムスリップし、27歳の自分に出会う。しかし、夢に描いた自分とはかけ離れた、情けない姿になっていて…。この10年に何があった?その10年は取り戻せる?NETFLIX韓国ドラマ原作。
独立運動の資金を得るために寛洙が中心となって計画した晋州での強盗事件には、吉祥も陰で協力していた。平沙里の村人の間では、社会の変容から世代間に齟齬が生じ、家族が揺らいでいる。学校を追われて家出した寛洙の長男・栄光は、東京で進む道を模索していた。日本の傀儡政権・満州国が建国され、間島の独立運動に対する圧力も強まり、活動家たちは活路を探っている。そんな中、一時は東京に滞在していた仁実がハルビンに姿を現した。彼女を捜し続けていた緒方次郎も、新京で職を得ていた。新京で自動車修理工場を経営する弘の元には、異父姉の任や密偵だった金頭洙が訪ねてきて、不気味な影のようにつきまとう。
シングルでも結婚でもない、 女2猫4の愉快な生活 単なるルームメイトでも、恋人同士でもない。 一人暮らしに孤独や不安を感じはじめたふたりは、尊敬できて気の合う相手を人生の「パートナー」に選んだ。 小説家チョン・セランも絶賛した韓国で話題の名作エッセイ、ついに日本上陸! 1. 分子家族の誕生 「ひとり力」マックスの人 この人ならどうだろう 他人という見知らぬ国 私をとりこにした望遠居酒屋 二種類の人間 そのマンションを逃すな 太陽の女 結婚まで考えた 小心者に媚びる者 借金上手な人になれ 私を成長させたのは八割がローン 内装の総責任者になる 2. 結婚していないからわかるんですが 「自炊生活」が「シングルライフ」になるのはいつ? 何も捨てられない人 巣のような君の家 家の妖精ドビーの誕生 二つの人生を合わせる けんかの技術 「ティファールの戦い」と誕生日の食卓 猫たちの紹介 3. わが家の『キャッツ』 大家族になった 母から譲り受けたもの 上手にご馳走になる方法 クリスマスプレゼントの交換 新年初日 幸せは、バターだ! 五百ウォンコンサルティング 私たちは別世界に住んでいる 家庭の平和をお金で買う 家内と主人 都会の呑んべえ女たち 私たちの老後計画ーハワイデリバリー 望遠スポーツクラブ 男の人がいればよかったと思う時 4. 私の第一保護者 私たちはお婿さん かなり近い距離 ひとりで過ごした一週間 破壊王 一緒に住んでよかった 望遠洞生活と自転車 私たちが別れるなら 家族ともっと大きな家族 今、そばにいる人が私の家族です 訳者解説
晋州で起きた同盟休校という形の抗日運動が弾圧され、西姫の次男・允国、漢福の長男・永鎬らが拘束された。永鎬が同盟休校を主導したことで、漢福一家と平沙里の人々の関係は一転する。そんな中、村で殺人事件が起き、満州行きの準備をしていた弘が巻き込まれた。一方で、恵まれた境遇に育ったことに嫌悪感を抱いていた允国は、釈放後に自分の行くべき道を探そうと、新たな一歩を踏み出した。それは西姫に苦痛を与える行動でもあった。ソウルでは任明姫が夫・趙容夏から逃れようともがき、身も心もずたずたにされながらも、ついに自分の殻を破る行動に出た。東京の緒方次郎は柳仁実への思いに苦しんでいた。
二人の息子の母親になった西姫は、穏やかさを得たようにも見えるが、内に秘める生来の激しさと誇り高さゆえに、吉祥との間の溝は埋まらない。崔参判家奪還のため、趙俊九を丸裸にする策謀を西姫に託された孔老人は、この仕事にのめり込む。そこには九泉(環)も一枚かんでいた。その九泉が龍井に現れ、西姫は母を奪った男の素性を知る。独立運動で重要な役割を担う九泉との再会は、吉祥にも大きな影響を与え、ある行動に導く。彼らの周辺には、密偵・金頭洙の怪しい影が見え隠れしていた。一方、龍の息子・弘を育ててきた月仙は不治の病の床にあり、龍との長く切ない関係も終わりを告げようとしている。
第二部に入った物語の舞台は朝鮮から豆満江を越えた満州の地、間島だ。趙俊九の支配から逃れて移住した西姫は、この地で商売をする月仙の叔父・孔の助力を得て財を成していた。奪われた崔参判家の土地と財産を取り戻すことだけを考える西姫と、平沙里から同行してきた吉祥、龍らの間には微妙な距離が生まれる。幼い頃から続く李相鉉との愛憎も、西姫にとっては自らを奮い立たせる力の源となった。利己的な愛ゆえに孤独感にさいなまれる西姫は結婚相手を決めようとしていたが、それすらもまた、自分の目指すところに向かうための手段でしかないのか。十九歳になった西姫が異郷で奮闘する。