著者 : 瀧羽麻子
とびきりピュアでキュートな初恋純情小説! 毎朝六時半のラジオ体操ではじまり、「いただきます」の声を合図に、ほかほかの朝食が食堂のテーブルに並ぶ。京都の左京区の学生寮で四年間なじんだ生活は、山根が大学院生になった春からもつづいている。寮には、生物学科の安藤や電気電子工学科の寺田、たまに顔を出す数学科の龍彦も含め、趣味と研究を偏愛しすぎるゆかいな仲間ばかり。山根も例外ではない。工業化学科でエネルギーを研究しつつも、花火をはじめ何かが燃える様子を見ているだけで気持ちがたかぶり、「爆薬担当」とからかわれるほどだ。当然、異性のことなんて頭の片隅にもなかったのだがーー。 糺の森を訪れたその日、突然の雷雨に浮かび上がる満開の山桜の向こうに、白いワンピースを着た女のひとがいた。ずぶ濡れになった山根は熱を出し、熱が下がってからもなにやら調子がおかしい。そして、龍彦のガールフレンドの花にたやすく言い当てられる。「山根くん、もしかして好きなひと、できた?」。花は言う、もう一度“姫”に会いたければ、下鴨神社に毎日参拝すべしーーと。 葵祭や五山送り火、京都ならではの風物を背景に、不器用な理系男子のみずみずしい恋のときめきを愛おしく描いた長編、初恋純情小説の決定版! 【編集担当からのおすすめ情報】 好きになった相手の一挙一動に心が大きく揺さぶられ、頭のなかのすべてがそれで満たされたあのときの記憶。初めて恋をしてしまった主人公・山根のぎこちなさは、きっと誰もが身に覚えのある初恋の記憶と重なるはずです。ぜひ山根くんのまっすぐな恋に、あたたかなエールを送ってください! *本作は、「ダカーポ最高の本!2010」で“女子読み恋愛小説”第1位に選出された『左京区七夕通東入ル』の姉妹編で、どちらの作品からでもお愉しみいただけます。
七月のある日「郵便」を発見したぼくの胸がきゅんとするやりとりーー(「郵便少年」森見登美彦)など、夏をテーマに大島真寿美、瀧羽麻子、藤谷治、森見登美彦、椰月美智子が競作。きらきらの刹那を切り取る
中堅化粧品会社・白雪堂に新卒で入社した峰村幸子。看板ラインの「シラツユ」販促キャンペーンチーム担当となった。だが、シラツユの売上は下降線、峰村が先輩の槙さんに相談しながら考えた企画は他のメンバーには理解されない。就職浪人中の彼氏との溝も深まり、さらには情報漏洩疑惑や合併の噂まで聞こえてきて…。眼前にそびえる壁を自然体で乗り越えようとする峰村の姿に頑張る気力が湧いてくる、お仕事小説の白眉。