著者 : 熊野寧々子
レイラは母亡き後、横暴な義父に虐げられ続けてきた。ついにはビジネスの道具として、多額の金と引き替えに、見知らぬ男性との結婚を決められても、彼女は逆らえなかった。結婚すれば義父から逃げられる。相手は誰でもかまわない…。強欲で好色な老人を想像していたレイラは、現れた相手を見て、目が釘付けになった。たくましくてセクシーで、なんて魅力的。大富豪ジョス・カーモディーわたしはこの人の妻になるの?思わず胸がときめいたが、彼はレイラを蔑んだ目で睨みつけた。“金のためなら、誰にでも身を委ねる女だ”とでも言いたげに。
失読症を抱えるルーシーは定職につくこともままならず、これまで恋愛もうまくいったためしがなかった。愛する人は誰もが私から去っていくー母の眠る霊園の管理人をしながら、そんな思いに囚われていた。だがある日、ルーシーは姉の職場で社長のマイケルと出会い、ひと目で激しく惹かれた彼女は、誘われるまま夜をともにした。ハンサムでセクシーな彼の情熱はルーシーをとりこにしたが、永遠の愛や約束を、彼に求めるつもりはなかった。思いがけず、マイケルの子を宿したと知ったあとでさえ…。
シドニーの心と体には、何かおかしなことが起こっていた。隣に座ったアレクシオが、あまりにハンサムで、すてきすぎたからだ。今、自分が利用している航空会社の経営者がどうしてここに?しかも、もっと信じられないのは、彼から夕食に誘われたことだ。世界じゅうの美女が結婚したくて追いかけるような男性が、なぜ野暮ったい格好をして、眼鏡までかけている私を?夜明けがきたら、さっさと捨てられるに決まっているわ。待って。食事に誘われただけで、なぜそれ以上のことを想像しているの?アレクシオがシドニーの体に視線をやり、セクシーな笑みを浮かべる。その表情は、ディナー以外の目的があると雄弁に物語っていた…。
レイラは母亡き後、横暴な義父に虐げられてきた。狭い部屋に閉じ込められ、食事もろくに与えられない。ビジネスの一環として、多額の金と引き替えに、見ず知らずの男との結婚を決められても、レイラは逆えなかった。結婚すれば、義父から逃げられる。誰とだってかまわない…。強欲で好色な老人を想像していたレイラは、現れた相手を見て驚いた。たくましくセクシーで、危険な雰囲気をたたえた男性。この人が、多国籍企業経営者ジョス・カーモディー私の夫なの?不覚にも胸がときめいたが、彼はレイラを蔑んだ目で見ている。“金の為なら、誰にでも身を委ねる女なんだろう”とでも言いたげに。