著者 : 犬塚理人
横溝正史ミステリ大賞・優勝賞作家、渾身のリーガルミステリ!ごく普通の一般人である二宮智樹はある殺人事件の裁判員として裁判に参加することになる。その裁判では、美容師の男が若い姉妹を殺害した事件が裁かれることになっていた。智樹ら裁判員の多くが美容師の有罪へと意見が傾くなか、八木麻衣子と名乗る若い女性だけは美容師の無実の可能性を訴える。だが評決になって、麻衣子は一転して有罪へと意見を変え、美容師には死刑判決が下る。裁判から数か月後、智樹は麻衣子とつきあうようになり結婚を申しこむが、なぜか麻衣子はそれを拒む。折しも美容師の事件の控訴審が開かれ、麻衣子は再び美容師の冤罪の可能性に言及していた。その矢先、麻衣子は忽然と姿を消す。彼女はなぜ姿をくらましたのかー。
耐えがたい苦痛と絶望に苦しむ終末期の患者に尊厳ある死を迎えさせるー。積極的安楽死が認められているスイスで、若き医師、絵里香・シュタイナーは、自殺幇助団体“ヒュプノス”のメンバーとして活動していた。絵里香は東京で、高齢の癌患者が何者かに青酸カリでの自殺幇助を受けて亡くなったというニュースを目にする。この事件にかつて“ヒュプノス”にいた日本人医師・神永が関わっている可能性があると聞いた絵里香は、その真相を確かめるため、日本へ渡る。だが、“ミトリ”を名乗る人物による連続自殺幇助事件が発生し…。読む者の倫理と感情を揺さぶる究極のミステリサスペンス。
14歳の少年が少女を殺害、眼球を少女の親に送りつけた、20年前の女児殺害事件。その犯行映像が突如、闇オークションに出品された。当時の捜査関係者なら犯行映像を持ち出せたはずー人事第一課監察係の白石は捜査を開始する。カード会社で督促の仕事をする江梨子は、1本のクレーム電話をきっかけに、ある男の悪行をネットに晒した。動画は警察が動くほど話題となり、かつてない満足感を覚えた江梨子は、悪人を“炎上”させ懲らしめる“自警団”サイトにのめり込んでいく。“自警団”でも積極的に活動する少年・龍馬と、サイト管理人の弥生と親しくなった江梨子。3人は、次の獲物を決める。近頃、犯行映像流出騒動で話題の元少年Aだ。龍馬の活躍で元少年Aの素性を突き止めるも、事態は思わぬ方向へと転がっていき…。第38回横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞作