小説むすび | 著者 : 琴葉かいら

著者 : 琴葉かいら

公爵に恋した空色のシンデレラ公爵に恋した空色のシンデレラ

清貧のシンデレラにはわかっていた。 愛だけでは身分差は超えられないと。 社交界デビューを間近に控える牧師の長女コーラは、 若きハーロウ公爵の舞踏会へ出席できることになったーー 折しも自宅に誤配された返送先不明の空色のドレスをまとって。 それは、彼女の境遇では到底買えない高級なシルク地の上等品だった。 いざ舞踏会が始まり、コーラを最初のワルツの相手に選んだのはなんと、 夏の海のような青い瞳が美しい、ハーロウ公爵デクラン! コーラはたちまち彼に惹かれるが、みずからの素性は明かせなかった。 貧しい牧師の娘が公爵と結婚できないことはわかっていたから。 でも、このおとぎばなしの続きを味わいたい。あともう少しだけ……。 そう願ったが、その空色のドレスは私のものと主張する令嬢が現れーー 長年、母の看病や妹たちの世話に忙しくしてきたコーラ。貧しさゆえただ一度のチャンスと臨む社交界シーズンに、天の恵みのように受け取ったドレスが恋の波瀾を巻き起こします。しかも空色のドレスの持ち主は、デクランの第一の花嫁候補と目される令嬢で……。

終わらない片思い終わらない片思い

愛のままには生きられない。 私はただの政略結婚の道具だから。 許婚が事故死し、ランツァは心から嘆くも、親の決めた政略結婚から 解放されたことにほっとしている自分に後ろめたさを感じていた。 そんなある日、今度は亡き許婚の兄ステファノとの結婚を命じられる。 彼とは、大人になってからまともに会ったこともないのに。 病を患う父を安心させるためにも、ランツァは従うほかなかった。 1年後の結婚式の日、祭壇でようやく顔を合わせたステファノは、 驚くほど端整な顔だちで、大人の魅力をまとい、きらきら輝いて見えた。 そう、ランツァは幼き日から、本当はステファノが好きだったのだ。 だが、人知れず頬を染めるランツァに、彼は事務的に告げた。 これはあくまでも形だけの結婚で、寝室は別だ、と。 大スター作家レベッカ・ウインターズが描いた、愛なきロイヤル・ウエディングと切ない片恋の物語。もどかしい二人のロマンスに加えて、ヒーローの亡き弟との兄弟愛が優しい筆致で綴られた本作は涙なくして読めない名作です。

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP