著者 : 琴葉かいら
そばにいるのに愛されないのは、 あまりにさみしい……。 社交界デビューしたばかりの19歳のエヴィには、 数多の紳士に言い寄られても、とうに心に決めた相手がいた。 親友の兄で11歳年上のジェームズ。やがて伯爵となる彼が、 遠い国へ旅に出ると知って、エヴィは勇気を出して恋心を打ち明けた。 彼が鮮やかな緑の瞳でエヴィを熱く見つめーー熱烈なキスをくれるとは 想像もせずに。驚きと喜びに舞い上がるエヴィ。だがその手を握った彼は 翌朝、求婚を心待ちにしていたエヴィに何も言わず、旅立った。 エヴィは泣き暮らし、心に誓った。もう誰も愛さないし、結婚もしないと。 2年後、舞踏会でしつこく言い寄ってくる男に襲われかけたエヴィは、 相手の足を撃ち難を逃れたが、悪評が立つ前に形だけの結婚をすることに。 花婿に名乗りを上げたのは誰あろう、帰国したばかりのジェームズだった! Kindleのベストセラー作家にしてRITA賞ファイナリストという実力派M・ウィリンガムがシェイクスピアの『じゃじゃ馬ならし』にインスパイアされて執筆した作品! 傷心からじゃじゃ馬となったヒロインの、初恋の伯爵との切ない愛なき結婚の行方は?
銀の匙をくわえて生まれたのに、 私は社交界からこぼれ落ちた……。 親の反対を押し切って駆け落ち同然に結婚したエマは、 社交界に身を置けなくなり、実家の援助も受けられずに暮らしてきた。 4年前に夫を亡くし、今、エマの生活は困窮を極めていた。 子供を学校にやるのはおろか、新しい靴を買ってやることさえできない。 そんなある日、エマはダンディな侯爵ハントと出逢い、 高潔で知的で優しい彼にまたたく間に惹かれていった。 やがて、跡継ぎが必要な彼から結婚を提案され、エマは胸を高鳴らせた。 ところが、折しも母からハントの“最新の愛人”と揶揄されたうえ、 自分の父親が誰なのか本当は不明だと知ったエマは、ハントに告げた。 「私、あなたと結婚はできません」彼の名を汚すわけにいかないから……。 Amazonの読者レビューで高い評価を受ける本作は、社交界からこぼれ落ちて社会の片隅に生きるヒロインの物語。ダンディな年上侯爵ヒーローは、彼女の灰色の地味な服を見て、社交界に出入りしていないと悟りつつも、自分の求める妻にふさわしいと確信し……。
二大巨匠による贅沢なアンソロジー! 甘くせつないシークレットベビー物語2編。 北米ロマンス界の重鎮ダイアナ・パーマーが描いた衝撃作が初再版されます! 複雑に絡み合い、もつれ合う人間模様や恋模様。英国の大スター作家シャロン・ケンドリックの大ヒット作と合わせて、読み応えあるシークレットベビー・アンソロジーをお贈りします。
公爵様と踊った思い出を胸に、 明日から私は家庭教師になる……。 駆け落ちして伯爵家を勘当された母のもとに生まれたアンナ。 今は亡き母が手持ちの宝石を売って行かせてくれた学校で教育を受け、 明日からは家庭教師として一生働くつもりだった。 だが今夜、伯爵令嬢である親友マリアの計らいにより、 アムスコット公爵家で催される舞踏会に代理出席することになったーー すてきなドレスをまとい、“レディ・マリア”の名を借りて。 思いがけず、アンナは主役の公爵ジェームズにダンスを2度申し込まれ、 さらにはキスもされて、こう告げられた。「明日、君の家を訪ねる」 だめよ! 私はレディ・マリアではないし、明日からは働く身なのだから。 公爵への恋心を封印し、アンナは慌てて舞踏会をあとにした! 真夜中に逃げるように去った魅力的な“レディ・マリア”に求婚するため、公爵は翌日に家を訪問し、気に入った女性がレディ・マリアではなかったことを知ります。やがて公園で再会を果たす二人ですが、公爵と家庭教師は普通は友人にさえなりえない関係で……。
清貧のシンデレラにはわかっていた。 愛だけでは身分差は超えられないと。 社交界デビューを間近に控える牧師の長女コーラは、 若きハーロウ公爵の舞踏会へ出席できることになったーー 折しも自宅に誤配された返送先不明の空色のドレスをまとって。 それは、彼女の境遇では到底買えない高級なシルク地の上等品だった。 いざ舞踏会が始まり、コーラを最初のワルツの相手に選んだのはなんと、 夏の海のような青い瞳が美しい、ハーロウ公爵デクラン! コーラはたちまち彼に惹かれるが、みずからの素性は明かせなかった。 貧しい牧師の娘が公爵と結婚できないことはわかっていたから。 でも、このおとぎばなしの続きを味わいたい。あともう少しだけ……。 そう願ったが、その空色のドレスは私のものと主張する令嬢が現れーー 長年、母の看病や妹たちの世話に忙しくしてきたコーラ。貧しさゆえただ一度のチャンスと臨む社交界シーズンに、天の恵みのように受け取ったドレスが恋の波瀾を巻き起こします。しかも空色のドレスの持ち主は、デクランの第一の花嫁候補と目される令嬢で……。
愛のままには生きられない。 私はただの政略結婚の道具だから。 許婚が事故死し、ランツァは心から嘆くも、親の決めた政略結婚から 解放されたことにほっとしている自分に後ろめたさを感じていた。 そんなある日、今度は亡き許婚の兄ステファノとの結婚を命じられる。 彼とは、大人になってからまともに会ったこともないのに。 病を患う父を安心させるためにも、ランツァは従うほかなかった。 1年後の結婚式の日、祭壇でようやく顔を合わせたステファノは、 驚くほど端整な顔だちで、大人の魅力をまとい、きらきら輝いて見えた。 そう、ランツァは幼き日から、本当はステファノが好きだったのだ。 だが、人知れず頬を染めるランツァに、彼は事務的に告げた。 これはあくまでも形だけの結婚で、寝室は別だ、と。 大スター作家レベッカ・ウインターズが描いた、愛なきロイヤル・ウエディングと切ない片恋の物語。もどかしい二人のロマンスに加えて、ヒーローの亡き弟との兄弟愛が優しい筆致で綴られた本作は涙なくして読めない名作です。
この子の髪も瞳も、あなたにそっくり。 それなのに、血のつながりを疑うの? 看護師のミアはある夜、たくましくて魅力的な男性ブリンと出逢い、 パーティの喧騒から逃げてきた者同士意気投合し、一夜を共にした。 だが翌日には彼が異国へ渡ってしまい、それきりとなった。 3年後、ミアはあの夜に授かった娘を独りで産み育てていた。 小さくてかわいい、私に生きる目的を与えてくれた大切な娘。 父親にそっくりなのに、父親のことを知らない娘……。 ところが彼女の住む地域が嵐に襲われたとき、救急救命士として ドクターヘリで現れたのはなんと、忘れもしないブリンだった! 思いがけない再会にミアは戸惑いながらも、娘の存在を彼に告げたーー 予期せぬ反応に打ちのめされるとも思わず。「僕は親子鑑定を要求する」 劇的な展開の『愛し子がつなぐ再会愛』(I-2813)で鮮烈な日本デビューを飾ったルイーザ・ジョージによるシークレットベビー・ロマンスをお届けします! ヒーローが頑なに娘との親子鑑定をしたがるのには、じつは深い事情があって……
誰からも望まれないのなら、 私は独りで、この子を産む。 フィオナは凶暴な父から逃れるべく、遠くを目指して家出した。 道中、湖で沐浴していると背後から声をかけられ、振り返った瞬間、 相手を見て驚愕するーー1年前まで相思相愛だったブランドン! よりにもよって、ここが彼の領地だったなんて……。 かつて二人は双方の父親に交際を反対され、逢い引きを重ねたが、 不幸にも氏族間で争いが起き、秘密の恋は終わったのだった。 フィオナのせいで氏族に犠牲が出たと考えるブランドンは今、 瞳に怒りの炎を燃やしてこちらを鋭く見据えている。 そのとき、フィオナが地面に置いておいた布包みから赤ん坊の声が響き、 彼女は告げた。「ブランドン、あなたの息子を紹介するわ」 美しい赤ん坊にほほ笑みかけられたブランドンは思わずほほ笑み返しますが、はたと、これは罠ではないかとフィオナの意図を勘繰ります。けれども、赤ん坊の腕にはブランドンや彼の兄と同じピンク色の卵形の痣があり、この子は確かに自分の息子だと悟るのでした。
〈奥様が帰宅されました〉 伯爵は手渡された紙を、握り潰したーー ロンドンの路地裏の下宿屋に暮らすパーディタは、 3カ月前に市場町で旅一座に拾われ、経理や衣装管理の仕事をしている。 じつは彼女にはそれ以前の記憶がない。“パーディタ”も仮の名だ。 ある日、仕立屋で用事を済ませ、急ぎ自宅に足を向けたつもりが、 なぜか下宿屋ではなく大きな屋敷に帰り着いてしまった。 「お、奥様」驚き顔の執事に中へ招き入れられ、彼女は混乱した。 奥様って……? 私は何者でもない、名もなき路地裏の住人だけれど。 しかし、どこか見覚えのある部屋に通されてしばらくすると、 怒った男性ーーエピング伯爵が雷のごとく飛び込んできて言い放った! 「君への要求はただ1つ。私たちの子供がどうなったかを話すことだ!」 伯爵の顔を見たとたん、彼が夫だとわかったパーディタこと、エピング伯爵夫人メアリー。“私たちの子供”と聞いて、自分に子供がいたのかと彼女は驚きますが、怒濤のごとく押し寄せた感情に心が乱れ……。リージェンシー・ロマンスの大スター作家による傑作!
灰かぶり娘と公爵家子息の“友情”が、 永遠の愛に昇華するはずもなくーー 1771年フランス。孤児のリラはラングドック公爵家のメイドとして、 12歳の頃から働いてきたが、使用人たちにいじめられてきた。 つらいときに救いとなったのは、公爵の子息バスティアンの存在だった。 リラはいじめられるたびにかばってくれる彼を密かに慕うも、 身分違いも甚だしい恋などこの世界にはありえなかった。 そんなある日、公爵の書斎に呼ばれたリラは、驚きの事実を告げられる。 彼女はさる伯爵の、出生時に死んだと思われていた娘と判明したという! しかも父親同士の取り決めで、将来バスティアンと結婚するのだ、と。 だが、弾みかけたリラの心に、バスティアンの冷たい言葉が突き刺さった。 「君との結婚は私の計画にはない。私が結婚するのは、元使用人ではなく、 非の打ちどころのない評判の高貴な女性でなくては」 心の拠り所だったバスティアンからの容赦ない言葉に深く傷ついたリラ。彼が国外に旅立ってしまったため、その日を最後に二人が会うことはありませんでしたーー4年後に、彼が公爵となって帰国するまでは。気鋭の作家パーカー・J・コールが放つ、濃厚で情感豊かな灰かぶり物語!
助産師のヒーラは医師の夫レオと4カ月前から別居していたーもうすぐ臨月を迎えるというのに。原因は、年の離れた妹を亡くしたレオが罪悪感に囚われ、ヒーラがあなたの力になりたい、話をしてほしいと言っても、妻である彼女にさえ心を閉ざし、人生から閉め出したことだった。居を移したヒーラは、彼が迎えに来ることを密かに期待したが、非情にも時間だけが過ぎていく。独りで出産するしかないのね…。ところがあるとき、ヒーラが手伝うクリニックに2週間限定で、膝が震えるほど美声でハンサムな医師が来たという噂が。話半分で聞きながら診察室に入ったヒーラは目を疑った。「レオ?」
昼間は秘書。午後5時からは恋人。 傲慢なボスとの、偽りの恋……。 秘書のアビーが高名な富豪弁護士グレイの下で働き始めて1年。 ボスは傲慢で実に扱いにくい反面、とても優秀で魅力的な男性だ。 そんな彼が求める秘書であろうと、アビーはしかつめらしい服に 眼鏡とひっつめ髪のスタイルで、まじめに働いてきた。 だがある日、ボスの予定帳に書かれた取引相手の名に、激しく動揺する。 二度と会いたくないと思っていた、卑劣で薄情な元恋人……。 やむをえずグレイに事情を話し、もうここにはいられないと告げると、 ボスは僕たちが公然と同棲すれば、相手は手出しできなくなると言う。 二人で寝食をともに……? 戸惑いを見せるアビーに、彼は釘を刺した。 「ベッドの心配なら無用だ。君は僕の好みじゃないから」 アビーは客用寝室を与えられ、グレイと一つ屋根の下で暮らし始めます。彼から、地味なスーツをやめ、髪を下ろして眼鏡も外すよう言われて従うことに。さらに、二人が恋人同士であることをまずは職場の人間に信じさせなければならないと、オフィスでキスを……。
花嫁を醜いほうの娘にすり替えるとは、 我が氏族を侮辱するつもりか! 女子修道院に暮らすイリサは突然、非情な父の命令により連れ戻された。 「お前は結婚することになった。相手には花嫁が、私には同盟が必要だ」 政略結婚の相手はマクミラン氏族の支族長、ロス・マクミラン。 視界を遮るようなベールをかぶせられ、式に臨んだイリサが知ったのは、 相手方からは、花婿本人ではなく代理人しか現れなかったこと。 そして、本当はイリサの姉が花嫁になる約束だったが、どういうわけか 日陰の妹である自分が代わりに差し出されるという事実だった! 修道女のような私に、美しい姉の代わりなんて務まらないのに……。 一方のロスは、醜いと噂のイリサをあてがわれたと知って憤慨した。 やがて、目の前に連れてこられた花嫁がベールを脱いだとき、 ロスと氏族の者は一斉に息をのんだーー花嫁の、その無垢な美しさに! じつは左腕が不自由なイリサは、冷酷無慈悲な父からお荷物扱いされて修道院に送られていたのでした。それなのに、今度は都合よく連れ戻され、騙し討ちのようにマクミラン氏族の花嫁にさせられた真相は? そして夫となったロスの、妻に対する意外すぎる反応は?
なぜ、今になって戻ってきたの? 娘にどう告げようーー父親はあなただと。 セバスチャンーー? フェリシティは我が目を疑った。 16年前、自分を捨てて消えた恋人が、目の前にいる。 今や世界的ホテル王となったセバスチャン・デュボワーー 忘れえぬ初恋の人が、16年ぶりに村を訪れたのだった。 フェリシティは胸を締めつける痛みをこらえた。 この16年、いったいどこにいたの? ああ、どんなにあなたが恋しかったか! セバスチャンは結婚指輪はしていなかった。恋人はいるのかしら。 ききたいことは山ほどあった。でもその前に話すべきことがある……。 「私、子供がいるのーー私たちの子よ」 かつて愛した男性との予期せぬ再会に、驚愕し、怯えるヒロインをかたわらでなだめる愛娘は、まさかその男性が自分の父親とは知るよしもなく……。気鋭の新作家レイチェル・スチュアートが16年越しの愛の形を描く、感動のシークレットベビー物語!
落ちこぼれの私では貴族の妻になれない。 どんなにあなたを愛していても。 ダンスは壊滅的に下手、流行のドレスや装飾品には興味なし、 お茶会で気のきいた会話もできないーーレティは母の悩みの種だった。 そんな彼女は、誰にも言えない秘密の二重生活を送っている。 男性に扮し、医師として村の人々の命を日々救っていたのだ。 そんなレティのもとに、診てほしい妊婦がいるという手紙が届いた。 患者の兄は、レティの初恋の人アンソニー卿だった。 医師を続けたいなら、淑女の私を知る彼に会うのは危険すぎる。 男装を見破られたら、家族までとんでもない醜聞に巻き込んでしまう。 でも、苦しむアンソニー卿の妹を見捨てるわけにはいかない。 それに何より、彼に会いたい気持ちを抑えておけなくて……。 エレノア・ウェブスターの邦訳デビュー作をご紹介します! 男装してまで医師として人々に尽くすヒロイン。戦争で体と心に深い傷を負うヒーロー。二人は不器用ながらも距離を縮めていきますが、村の名医が実は彼女だったと知られた瞬間、すべては壊れーー。
男性が怖い。肌を重ねずにすむならと 受け入れた婚約だったけれど……。 時は1813年。“壁の花”“氷のレディ”と陰口をたたかれている 伯爵の娘レジーナは、許婚との結婚式に臨もうとしていた。 男性恐怖症に悩まされる彼女が、親の決めたこの婚約を受け入れたのは、 当面は形だけの結婚で床入りの必要はないと許婚に言われたからだ。 ところが式の当日、祭壇の前に許婚は姿を現さなかった。 置き去りにされた花嫁として世間の白い目に耐える覚悟をしかけたとき、 彼女の前に現れたのは、ハンサムなキャムフォード子爵ダルトンーー 7年前に一度だけ会ったことがある、許婚の親友だった。 彼は驚きざわめく参列者たちを尻目にレジーナを連れ出すと、言った。 「私と結婚してほしい。でも、君を誘惑しないという約束はできない」 端整な顔立ちで頼りがいのある子爵と、かつては天真爛漫だったのに今は壁の花と化した伯爵令嬢の切なくも美しい恋物語。開くことをやめてしまったつぼみのようなヒロインの心を、子爵はどう溶かすのでしょうか? 日本デビュー作『領主様の家庭教師』の関連作。
忘れられなかった初恋の人に、 妻をあてがう立場となって再会しーー 結婚仲介人として生計を立てるアメリアは、 新しい顧客である美しい令嬢を連れて、舞踏会に出席した。 そこで彼女は独身主義者と悪名高いストーン公爵と再会する。 社交界デビューの年、アメリアは彼にひと目で惹かれたが、 ひどく冷たくあしらわれ、初恋は無様に砕け散ったのだった。 あの公爵も、ついに花嫁を探すことにしたということ? アメリアが顧客の令嬢を紹介すると、意外にも彼はとても優しく、 その紳士的な態度はお目付役のアメリアに対しても同様だった。 公爵は令嬢を気に入っているようだわ……。喜ぶべきことなのに、 なぜか彼と目が合うたび、その熱いまなざしに心がざわめきーー。 アメリアがストーン公爵に手ひどい失恋をしてから数年。再会時、公爵は彼女を覚えてすらいませんでした。顧客の幸せを願い、公爵との結婚を後押ししようとするアメリアですが、それが実現しそうになったとき、まだ自分が公爵を愛していることに気づくのです。
子爵が乙女の唇に残した 永遠に消えない、キスの刻印。 18歳のルーシーは、遠方の父親から思いも寄らぬ手紙を受け取った。 なんと彼女を結婚させるというのだ。ずっと年上の、中年男と! 婚約を社交界公認のものにするため、彼女は無理やり盛装させられ、 婚約者となる男とともに、華やかな舞踏会に連れていかれた。 と、二人の間に割って入ったハンサムな男性がいた。ロックリー子爵だ。 彼はルーシーを静かな庭園に連れ出すと、優しく慰めた。 「君は無垢で、若すぎる」そう言いながらも、甘いくちづけをして……。 ルーシーは、子爵こそ私の愛する人と悟ったが、このキスによって 婚約は破談になり、ルーシー自身も欧州に身を隠すことになる。 1年後、美しい淑女となって戻った彼女に、ロックリー子爵はーー ヒストリカル・ロマンスのベテラン作家ヘレン・ディクソンによるみずみずしい初恋の物語をお贈りします。美しい大人の女性となり再び子爵とめぐり会ったルーシーですが、実は彼と元婚約者との間には因縁があることがわかり……。波瀾万丈なロマンスの行方は?
恋人はおろか、愛人にもなれない。 ましてや、彼の妻になど。 家庭教師のフランシスは自らを戒めていた。彼に惹かれてはいけない。 初仕事として派遣されたのは、遠く離れたスコットランドの領主の館。 主であるラクランに、ロンドン社交界の作法を教えることだった。 伯爵令嬢の婚約者がいながら、貴族のしきたりには無関心な彼を、 ダンスや求愛のレッスンを通して完璧な紳士に仕立てあげるのだ。 若い女教師の指図などおとなしく聞くはずもない傲慢な領主は、 フランシスと踊りながらも投げやりで、誘惑的な冗談でからかってくる。 野性的な美貌を持つこの男性に、軟弱なワルツなど似合わないーー 彼には、情熱的な愛こそふさわしい。握られた手を強く意識しながら、 フランシスの胸は疼いた。それを私が知ることは、決してないけれど。 ミシェル・ウィリンガムのすばらしいデビュー作をお届けします! 悲しい過去を乗り越えるため、男爵の娘ながら家庭教師として身を立てる健気なヒロインと、氏族のために伯爵令嬢を妻に迎えることが決まっている領主の許されぬ愛。圧巻の読み応えをお約束します。
ハイランドに、優しい愛などない。 愛は、乙女を一瞬で焼き尽くす野火。 破産寸前の没落貴族を父に持つペニーは、将来を悲嘆していた。 いずれ私は、金持ちで好色な老人と結婚させられるのだろう、と。 事実、父は娘を借金の形に売ったが、相手は意外な人物だった。 ラクランーー海運業で莫大な富を築いたというハイランドの氏族長は、 恐ろしく背が高く、屈強で非情な目をした無口な男だった。 ペニーは怯えながら彼を見上げ、はっとした。この人を知っている! 幼い頃、ただ一人心を許し、慕っていた年上の優しい少年。 突然消えてしまった彼が戻ってくるなんて……私を妻にするために? だが、夫となったラクランに、少年の面影や優しさは微塵もなかった。 彼はまるで復讐するかのように、夜ごと激しい情熱をペニーにぶつけ……。 HQロマンスとヒストリカル・スペシャル、二足のわらじで活躍する話題の覆面作家ミリー・アダムズがお贈りするのは、ワイルドなハイランダーとの愛なき結婚ロマンス。情熱的な筆致で綴られる感動作を、どうぞお見逃しなく!