著者 : 田中一江
地球は恐るべきバガーの二度にわたる侵攻をかろうじて撃退した。容赦なく人々を殺戮し、地球人の呼びかけにまったく答えようとしない昆虫型異星人バガー。その第三次攻撃に備え、優秀な艦隊指揮官を育成すべく、バトル・スクールは設立された。そこで、コンピュータ・ゲームから無重力訓練エリアでの模擬戦闘まで、あらゆる訓練で最高の成績をおさめた天才少年エンダーの成長を描いた、ヒューゴー賞/ネビュラ賞受賞作!
三年にわたる苛酷な訓練で、つねに戦績表のトップを守り続けてきたエンダーは、バトル・スクールはじまって以来の最年少で竜隊の指揮官となった。だが、集合した隊員をみて愕然とした。ラーンチイ・グループから直行してきた戦闘未経験者がほとんどで、数少ない古参兵もエンダーより年下の者ばかりだったのだ!厳しい戦いの訓練をくぐり抜け、やがて人類の運命を握る存在へと成長していくエンダーの活躍を描いた傑作。
偶然はいった古書店で大学院生アリエルがめぐりあったのは、ずっと探していた『Y氏の終わり』という一冊の本。それは、主人公のY氏が人の心のなかでくりひろげる冒険を描いた、呪われているとされる伝説の小説だった。読み進むうちに、小説のなかの出来事は、過去に実際におこったことなのではないかとアリエルは疑いはじめる。そこに書かれた方法をためしたアリエルは、人の心のなかにはいることができるようになる。しかし、本を狙う男たちに追われ、旅に出ることに-。わたしがここにいる理由って?世界はどういうふうにできたの?この世界で、愛するとはどういうこと?長い旅を続けるうちに、アリエルが抱きつづけてきた疑問がひとつずつ解き明かされていく。ミステリの興奮、SFの思索、ファンタジイの想像力-イギリスの新鋭作家によるジャンルを越えた話題作、待望の邦訳。
犬人間のタクシー運転手が殺された。しかも、口から大量の花を生やした奇妙な状況で。捜査にあたる女刑事シビルは、テレパシーで被害者の最期の意識にアクセスしそこで読み取ったボーダという少女の行方を追いはじめる。だが、それはのちに街を騒がせる「花粉侵入」事件の、ほんの序章でしかなかったー混血種やロボットが闊歩する未来世界を舞台に、英SF界の寵児が特異な感覚で描いた傑作サイケデリック・ノヴェル。
時は2220年。植民衛星ローターの天文学者ユージニアは、太陽からわずか2光年のところに未知の恒星を発見した。おりしも地球からの独立を望んでいたローターの指導者ピットは、秘密裡に太陽系脱出を計画。独自に開発したハイパー・アシスト駆動を利用して、衛星の住民ごと新世界へ旅立った。だが、人類の新たな故郷になるはずのこの星ーネメシスは、やがて太陽系におそるべき打撃をもたらすことになる災厄の星だった。
平穏な軌道を描いていると思われたネメシスは、実は太陽に向かって直進しつづけていた!太陽系に達するのは5000年後だが、人類の避難はすぐにも始めねばならない。だがローターの独立に拘泥するピットは、この事実を地球に報告することを拒否。対立するユージニアとその娘をネメシス系の衛星エリスロに追放してしまう。しかし、そこには新たな驚異が…巨匠アシモフが未来史の設定を離れて描いた最後の本格宇宙SF。
長い眠りからさめたジュナは、目の前の自分の姿に息をのんだ。頭髪は消え去り、鉤爪が生え、肌は鮮やかなオレンジ色だ。いったいなぜ?わたしは異星の熱帯雨林で死にかけていたはずなのに…ジュナを救い、その身体を改造したのは、密林に住む原住民テンドゥだった。人類のたびかさなる調査でも発見できなかった異星種族が、ついにその驚くべき力を現わしたのだ!見知らぬ緑の星にとり残されたジュナの運命は…。
ジュナの生存を絶望視した仲間たちは、宇宙の彼方へ去ってしまった。いつか地球に戻る日まで、テンドゥと共に生きるほかない。そう決意したジュナだったが、異質な皮膚言語を操るテンドゥの生態にとまどうばかり。しかもテンドゥは、地球人に森を焼かれた憎しみをジュナにまともにぶつけてきた…『ヴァーチャル・ガール』の著者トムスンが、二つの種族の出会いと交流を情感ゆたかに描きあげた、ファン待望の長篇第二作。
ヴァートとは、新手のドラッグ。効用によって色分けされた羽を口のなかに差し入れて喉奥をなでれば、眼前にヴァート世界が出現する。マンチェスターの片隅でヴァート浸りの日々を送るスクリブルには、呪わしい過去があった。謎の黄羽でトリップし、妹をヴァート世界に置き去りにしてしまったのだ。最愛の妹を取り戻したい一心で、スクリブルは絶望的な探索を続けるが…A・C・クラーク賞に輝く、新鋭の超話題作。95年には最優秀新人賞にあたるジョン・W・キャンベル賞を受賞。
軍楽隊の演奏が山場にさしかかったとき、ふいにトロンボーン吹きの軍曹が射殺された。数日後、今度は同姓の大佐が墜死を遂げる。曰くありげなこの事件に挑むのは四人。新聞記者、詩人、弁護士、中国人ーいずれ劣らぬ個性派が、ドミノの卓を囲みながら謎の核心に迫っていく。革命の記憶さめやらぬ1922年のメキシコシティを舞台に男たちの闘いと友情を活写するユニークな冒険譚。
神話と伝承に彩られた惑星イマキュラータ。13歳の少女ペイシェンスは、幼いながらも有能な外交官兼暗殺者として、父とともに王家に仕える身だった。だが彼女には重大な秘密があったー。太古の予言はペイシェンスこそ人類の救世主であり、神を産む聖母になると告げていたのだ。父の死後、放浪の旅に出た彼女だが、その行く手には予言の成就をはばむべく恐るべき敵が待ちうけていた…。人気作家カードが描くSF冒険譚。
流刑惑星トリーズンで不死身として恐れられ、近隣各国をつぎつぎと征服しているミューラー人ー。遺伝子学者の末裔であるかれらは遺伝子操作で驚異的な再生能力を得ていたのだ。だが、その能力に異常をきたしたミューラー国の王子ラニックの胸が、ふくらみはじめてしまった。国を継げない身となった王子は、やむなく諸国遍歴の旅にでるが…。3千年前に流刑にされた科学者たちの子孫が住む惑星を舞台に描く傑作冒険SF。
動物が重要な役割を果たす物語は3000年前も今も同じくらい好まれている。したがって、ミステリ作家たちが動物にある種の愛着を感じ、彼らが登場する物語をたくさん書いたとしても不思議はない。犬、猫、鳥、ハムスター、蛇…。自らも大の犬好きで知られる女性作家パレツキーが、さまざまな語り口の多様な動物観と多岐にわたる短篇形式の精華を、膨大な作品郡の中から選び抜いた、動物好きには読み逃せないアンソロジー。
2220年、人類は太陽系の各惑星の衛星軌道上に巨大な人工衛星をいくつも築いていた。それぞれが衛星都市と呼ばれ、独立した国家として繁栄している。しかし人口はますます増加してゆき、つぎつぎと作られる衛星都市で、太陽系は過密の一途をたどっていた。そこで衛星都市ローターは、新たな故郷を求めて太陽系を離脱した。それから十数年の歳月が流れた…ローターに住む天文学者の娘、十五歳の少女マルレイネはふとしたことから、たいへんな事実を知った。ローターが新たなる故郷とした恒星ネメシスが、地球をめざして突き進んでいるというのだ。このままでいけば、たとえ衝突しなくても、ネメシス通過の影響で地球の気象は大きく変化する。人類発祥の星である地球が、死の世界になることはまちがいない。だが、マルレイネをさらに驚くべき事件が待ちうけていた…。巨匠アイザック・アシモフが、新たなる構想のもとに、宇宙へと進出しはじめた人類の姿をいきいきと描きだす傑作長篇。
幽霊退治ならまかせとけ!幽霊を捕まえるためならば、たとえ火の中、水の中、ヘドロやスライムだってへっちゃらさ。クリスマス・シーズンのニューヨーク、そのにぎやかな街なみの裏にひそむ恐るべき敵の気配を察知したゴーストバスターズは、ただちに活動を開始するが…最新のSFXとスリルにみちた展開で描きだす傑作映画の原作。
大正の末ごろ。秋田県・大館から東京・渋谷に住む大学教授・上野秀次郎博士の家に、1匹の秋田犬の子犬がもらわれてきた。「前肢をぐっと八の字に踏んばっているな。ハチと名づけよう。どうだね?ハチ公」その日から、上野先生とハチは、熱い信頼で結ばれることになったのだった…。秋田犬・ハチの生涯を通して、愛とは?信頼とは?と問いかける涙の感動物語!
8月も盛りのむし暑いニューヨーク。30年間勤めあげた警察を退職し、悠々自適の一人暮らしをしているクェンティン・ジャコビーに、知り合いを通じて、超高層ビルにある高級レストランの警備の仕事が舞い込んだ。ところが、その勤務第一夜に殺人事件が発生ー現場は密室状況で殺人者の嫌疑をかけられたジャコビーは、自らの手で真犯人追及に乗り出さざるをえなくなったのだった。著名なノンフィクション作家が覆面で発表した異色の本格推理登場!