著者 : 田中渉
水に触れると人は昏睡してしまうー謎の「新水化」現象により、人類は絶滅への道を緩やかに辿っていた。その事態の打開に選ばれたのは、「かみつき」だった。かつて人の形をしながら、人を襲い、咬み、食い、人々をパニックに陥れ、忽然と消えていった“変異体”たち。そんな、死なない「かみつき」に、人類再生の鍵が隠されていた。そして、捕獲者はいまだゼロ、生還率10%以下というこの危険な任務に就いた男がいた。自分の人生に絶望していた彼は、死に場所を探すようなつもりで探索を始める。しかしそんな彼の目の前に、「かみつき」は現れた…。SFなのか、ホラーなのか、それともこれは予言なのか。2014年度もっとも静かな衝撃を呼ぶ問題作が登場!
出会いは、最悪だった。コンビ漫画家、絵門千明は、相方の麻生藤太と立ち寄ったバーで、二人連れの女性客の一人、梶山真智子とちょっとした口論になった。ふたりには、バツイチで子持ちの共通項がある。翌朝。最悪の目覚めを迎えた千明。自宅マンションの呼び鈴が鳴る。そこには、昨夜のバトル相手、真智子の姿があった。「なんで…」お互いに言葉が出ない。真智子は、千明の自宅マンションの一つ隣りに越してきたのだった。30代男女を主人公に描く、「ラブコメ」シリーズ第二弾。
二十五歳花屋の店長・松田真紀恵は、恋をする暇もなかった。朝五時に花市場に仕入れに行き、一日の労働を終える頃にはすでに夜の九時。店の片付け→夕食→お風呂が済むと、もう起床時間までわずかに五時間しかない。遊びに行くことはもちろん、流行りのドラマを見ることもできず、友達と長電話することはおろか、ペディキュアはいうに及ばずマニキュアを塗る時間もない。そんなわけで、性格はきついわ、男っぽい言葉遣いながらものすごい美人なのに、もう一年十一か月も恋をしていない。ところが、恋の神様はやっぱりどこかにいるものでー。
おそらく半径500メートル、いや1キロを見渡してみても「一番かっこいい」と思われること間違いなしの超美形男子高校生・永峰達也は、ある日、通学途中に清楚な美少女を見かける。「か、かわいい…」しかし、そこは、120%妄想男の達也。「告白」→「メアドの交換」→「初デート」→「それから…」の脳内シミュレーションのみが日々バージョン・アップされ、声をかけるまでに1年半経過。さらに、そこから手を繋ぐこともできない状態が1年も続いた(ああ、もう、じれったい!)。ところが、ひょんなことから、ふたりは「ともに物語を書く」という共通の趣味があることに気付くー。読書好きの少年少女・元少年少女必読の一冊。
これからずっと私のこと、おなかの中で馬鹿にしてもかまわない。だから、お姫様だっこしてほしい。愛しさとせつなさと心強さがぎゅっと詰まった30すぎてからのラブコメディ。
イズミが、センスは悪いがお金は持ってる“獲物”とハワイに飛び立とうしたその時、アロハシャツの不思議な男が現れた。「この人、結婚詐欺師ですよ!」イズミの体は硬直、フィアンセ候補はパニック、周囲からは思っいきり好奇の目…。そして我に返ったイズミを、絶対あり得ない運命が待っていた。読み進むうち、どんな人との出会いもこよなく大切に思えてきます。シリーズ第2弾。
新大橋で号泣したことそれぞれ1回。幸せのブーケをつくること3回。フリオ・イグレシアスの曲連続80回。「愛のカセットテープ」片面残り時間5秒。脳内除夜の鐘108回。コソコソ筆談やりとり22回。電話を待つこと144時間。浅草花やしき園内ヘリコプター爆走7周。上野動物園内モノレール泣きながら3往復。本気でキスしたいと思ったこと、1回。死ぬほど笑いあえたこと、1回。ドキドキ×うるうる×キュンと切なく圧倒的にハッピーな結末が束になってやってくる。目眩むラブコメ大作戦。
ある日突然、ピアニスト健太は謎のアロハシャツ男ヤマキに声をかけられ、天国の本屋に短期バイトとして連れてこられた。そこで彼は、ある女性ピアニストに出会う。一方、飴屋の娘香夏子は商店街復興のため、花火大会開催に向け奔走していた。そこで彼女は「その花火を見ればふたりの恋は成就する」という伝説の花火師に出会う。天国と現世。ふたつのストーリーが同時進行するなか、花火大会当日、ついにある“奇跡”が訪れるー。竹内結子主演映画話題のベストセラー原作、待望の文庫化。奇跡のラブストーリーを彩るカラーイラストも多数掲載。
1997年、東京。彼女にふられて2年のデザイナー・守山享。バツイチでベトナムから帰国した北村朋子。女癖の悪い美容師・今野新一。大学時代に親友だった3人は、偶然の再会から奇妙な共同生活を始める。しかし、彼らはそれぞれ「秘密」を抱えていた…。大人になりきれない男女が、迷い悩みながら、本当の恋と友情を見つけていく、珠玉のラブストーリー。
七通の手紙が彼女のもとに届いた。差出人はすべて不明。手紙は決まって、縦書きの便せんに水性のボールペンで書かれ、最後のページがきれいに一部切り取られていた。やがて、八通目の手紙が託された。そして、それが最後の手紙だった。80年代前半・長野。90年代後半・東京、そしてアメリカ西部。ふたつの時代が出会い、そして、今、静かに響きあう。『天国の本屋』シリーズの著者が描く、絶対零度の最新恋愛小説。