著者 : 田中融二
1997年、人類は星々に対する情熱を失い、宇宙開発計画は長い中断の時期に入っていた。星にとり憑かれた57歳のもと宇宙飛行士マックス・アンドルーズは、そんな世界で無為の日々を過ごしていた。しかし、木星探査計画を公約に立候補した女性上院議員候補の存在を知ったとき、彼の人生の歯車は再び動き始める。もう一度、宇宙へー老境に差しかかりつつも夢のために奮闘する男を、奇才ブラウンが情感豊かに描く古典的名作。
子供たちを守るため、すべてを捨てる決意を胸に、SIS(イギリス秘密情報局)局員、バーナード・サムソンは、何度も危地脱出の手を借りたプロの運び屋「スウェーデン人」と密かに接触。だが運び屋は、ハンマーでめった打ちされた無惨な死体となって発見される。やがてこの事件は、かつてのベルリン国境脱出劇の真相へと、直接つながってゆく…。訳稿じつに1万枚。最高最長のスパイ・ストーリー、いま感動の最終話。
ベルリン国境で命を落とした妻への復讐を誓う義弟ジョージがワルシャワで失踪。彼のものと記されたホルマリン漬けの手首が、SIS(イギリス秘密情報局)局員バーナード・サムソンの元に送られてきた。さらに東に置かれた秘密組織「デリウス」が連絡を絶ち、調査に赴いたサムソンの眼前で、リーダーの牧師が爆死する。-冷戦終結に「希望」はあるのか…?最後の本格スパイ・ストーリー「新々三部作」迫真の第二部登場。
それは世界一ロマンチックな飛行機だった。第二次大戦の発端となった英仏の対独宣戦の直後、大西洋横断航路の豪華飛行艇パンアメリカン・クリッパーは、ニューヨークを目ざし、サウサンプトンを離水する。だが、同機の機関士エディ・ディーキンは妻を誘拐され、その生命と引換えに不可解な要求を受けていた。さまざまな乗客の思いを乗せて、クリッパーは嵐の大西洋上空を飛ぶ。
クリッパーを不時着させろ!エディはようやく知った。誘拐犯たちは、乗客の一人で護送中の凶悪犯を奪回しようとしているのだ。-母国を離れるイギリス人ファシスト政治家の一家、その娘に恋する逃亡中の宝石泥棒、アメリカ人劇作家と駆け落ちする人妻、それを追ってきた夫、ナチから逃れ亡命するユダヤ人科学者…。彼ら乗客の人生の落ち着く先は、そしてクリッパーの運命は?
英秘密情報局局員サムソンの妻フィオーナの裏切り、KGB高官の亡命、莫大な公金紛失事件、そして東西の暗闘の渦中で消されたいくつもの生命…。過去十年にわたり発生した、これら一連の事件の黒幕は誰か。深謀を巡らし、仕掛けられた“シンカー作戦”とは。ベルリンの壁崩壊の真相がいま…。-’83年の『ベルリン・ゲーム』以降計七冊。訳文総量8100枚。巨匠レン・デイトンの最高傑作、史上最長のスパイ・ストーリー遂に完結。
実業家エードリアンは、突然、衆人環視のレストランで連れの男を撃ち殺すと、車で逃走した。ところがその直後、こんどは当人が自宅の書斎で射殺体となって発見されたのである。現場にはなぜか、別居中の妻ローレルが居合わせていた。「たぶんわたしは夫殺しで起訴されると思いますの」若く美しい未亡人ローレルから弁護を依頼されたペリイ・メイスンは、この奇妙な二重殺人の謎を解く鍵がエードリアンの私生活にあると睨んだ。彼はギャングと交遊があり、さらに汚職事件で告発されそうになっていたのだ。しかし、ローレルにも強力な動機があった。離婚を間近に控え、エードリアンはローレルを遺産相続人のリストから外そうとしていたというのだ。真相がつかめぬままメイスンは予備審問にのぞむが、そのとき新たな事件が…。無実の罪をはらし、真犯人を暴きだす弁護士ペリイ・メイスンが15年ぶりに新シリーズで復活した超話題作。
自らが所属する英秘密情報局に追われる身となったバーナード・サムソン。最愛の町ベルリンに吹く風もいまは冷たく、裏切りと謀略の世界に棲む彼にとって、心を許せる者は幼馴染みしかいない。一連の謎と混沌を解く鍵を握っているのは、東に寝返ったバーナードの妻フィオーナ。彼女の出現で事態は思わぬ展開を…。-名手デイトンの世界的ベストセラー、新三部作『フック/ライン/シンカー』待望の第2弾。
英秘密情報局局員バーナード・サムソンは陰鬱な日々を送っていた。3年前、妻フィオーナがモスクワに亡命して以降、局の同僚や友人の目は冷たい…。そして発覚した莫大な公金紛失事件。妻はこの一件にからんでいるのか?警告を無視して、サムソンは真相を探る決心をした。ワシントン、ロンドン、ベルリン…そしてカリフォルニアで…。-ベストセラー3部作『ゲーム/セット/マッチ/』に続く新3部作『フック/ライン/シンカー』第1弾。
ベルリンの富裕な銀行家の子として生まれたペーターとパウリのヴィンター兄弟は、若くして第一次世界大戦に従軍する。だが、過酷な戦争が終わった時、彼らが忠誠を誓った皇帝は退位し、第一級の強国だったはずのドイツ帝国は崩壊した。社会主義革命の暴動、大インフレの中、ヒトラーのナチが登場し台頭していく。-20世紀前半のドイツを舞台に、二人とその家族の波瀾の生涯を描く。
父の事業を継いだペーターの妻はユダヤ系アメリカ人だった。ナチに逮捕された彼女の釈放をかちとるべくペーターはアメリカへ渡る。一方パウリは父の庇護を失い、ゲシュタポの弁護士となった。第二次世界大戦が勃発し、ペーターは連合軍情報部の連絡員となって故国に潜入する。-とうとうたる歴史の流れを克明に辿りながら、揺れ動く時代に生きた人びとの姿を重厚に描く長編小説。