著者 : 田内志文
イギリスの作家、ジョージ・オーウェルが1945年に発表した小説。人間から搾取されてきた農場の動物たちが一斉蜂起して「動物主義」の旗のもと、誰もが平等な社会を築こうとする。飛び抜けた知識をもつ豚たちが自然と指導者の地位につき、働いただけの成果を与えられる動物たちは幸せな毎日を送っていた。しかし指導者の豚の間で権力争いが始まり、やがて一頭の豚が権力を一手に掌握する。彼は反逆を企てた者たちを処刑するなど恐怖政治を敷くようになり、あろうことか人間との接近を図るまでになるーー。『1984』で知られるオーウェルの寓意に溢れた小説を遺族が公認する形で初のカラー漫画化。〈平等な社会〉はなぜ独裁を許したのか、そして圧政を強いる権力に立ち向かうには何が必要なのか。「ソ連批判の書」という側面にとどまらない、さまざまな教訓に満ちた作品になっています。
ロンドンに暮らすセレスは、ひとりで8歳の娘を育てていたが、ある日、娘が交通事故で昏睡状態となってしまった。医師の勧めで、セレスは田舎にあるケア施設に娘を移すことにする。その施設の敷地には、『失われたものたちの本』という物語を書いた作家の古い屋敷があった。娘の看病を続けるセレスが限界を迎えた日、彼女は何者かに呼び寄せられるようにして屋敷の屋根裏部屋に入り込み、さまざまな本が呼びかけてくる声を聴いた。そこに突然現れた怪物に襲われ、屋敷から逃げ出すが、気がつくと知らない場所に迷い込んでいた。そこは魔女や人狼、巨人たちが存在する、美しくも残酷な世界だった。セレスは元の世界に戻れるのか?異世界冒険譚『失われたものたちの本』続編!
「幽霊語」を作る辞書編纂者の正義、儀式で絶命することを名誉とする一家の恥曝しな伯父、社会に辟易しデジタル・データになる告白をした息子と母親の葛藤、穏やかな日々を送る男が終身刑で消去された人生の記憶、生物園の檻で暮らす男と逢瀬を重ねる女、女王陛下と揶揄された少女の絶望と幸福の告白、空っぽの肉体をもつ新生児が生まれ始めた世界の恐るべき魂の争奪戦、合衆国から独立したテキサスの町「アメリカ」で繰り広げられる群像悲喜劇、逆回転する世界に生まれた僕の四次元的物語ー。現代アメリカの暗部と矛盾、恐れと欲望、親密さと優しさ。奇想天外な世界の住人たちのリアルな情動に息を呑む、驚異的作品集。
読書好きのバージャー氏が発見した“キャクストン私設図書館&書物保管庫”。初版本と手稿本を所蔵するその古びた図書館には、人々に広く知れ渡ったがゆえに“実体化”した物語の登場人物が住んでいた。アンナ・カレーニナ、オリヴァー・ツイスト、ハムレットなどが暮らす図書館の秘密を知ったバージャー氏が起こした、とんでもない事件とは…。アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞とアンソニー賞を受賞した表題作。異世界冒険譚『失われたものたちの本』のスピンオフ。触れた者に次々と怪奇現象が起きる奇書をめぐる中編。“キャクストン私設図書館”で“もっとも不可思議なできごとのひとつ”と言われる、かの名探偵シャーロック・ホームズにまつわる逸話を描く短編の、全4作を収録。非日常の世界に没頭する楽しみをじっくり味わえる、本や物語をテーマにした作品集!
仲間の命と引き換えに、新国王に身を差し出したメア。囚われた彼女は国民の前に引きずり出され、忠誠を誓わされる。逃げ場のない檻で執拗に拷問されるなか、国王暗殺を目論むクーデターが勃発。支配階級“シルバー”に潜む反国王派は、かつて追放された正統な王位継承者ーメアがともに戦ってきた元王子のカルを味方に引き入れようと企んでいた。交錯する疑惑と陰謀、疾風怒涛の第3幕!
これは、イギリスで絶滅してしまった熊に捧げる、大人のための寓話です。電灯もオイル・ランプもなかった時代、夜中に森を徘徊する悪魔だと恐れられた「精霊熊」。死者のための供物を食べたせいで、故人の罪を引き受けてしまった「罪食い熊」。サーカスが流行した時代、人間の服を着て綱渡りをさせられた「サーカスの熊」。19世紀、ロンドンの下水道に閉じ込められ、町の汚物や溜まった雨水を川まで流す労役につかされていた「下水熊」。-ブッカー賞最終候補作家が、皮肉とユーモアを交えて独特の筆致で描く8つの奇妙な熊の物語。
巨大迷路を抜け、砂漠を越えた先で、再びWICKEDに幽閉されてしまったトーマス。ひとりきりで隔離されてから26日目。やっとドアが開かれ、ミンホやニュート、エリスたちと再会する。そこで、自分たちは人類を滅ぼすフレア・ウイルスの人体実験サンプルだということを知る。再び逃げることを決意したトーマスたちは、自由を求めて脱出するものの、待ち受けていたのは最悪の運命だった…。大人気サバイバルアクション最終章!
罠に嵌められ、“王女”から一転、反逆罪で追われる身となったメア。自分の他にも奴隷の身で支配階級“シルバー”の不思議な力に目覚めた人々がいると知り、捜索に向かう。無慈悲な国王に先を越されれば彼らに命はないー。メアは仲間を守るために戦いの先頭に立ち続け、手を血に染めるたびに傷ついていく。だが周囲からは畏怖され、孤立を深めて…。革命を背負わされた少女の孤独な戦い!
スコットランドの出版社に、半年前に失踪したギデオン・マック牧師の手記が持ち込まれた。彼は実直な人間として知られていたが、失踪する直前に、神を信じないまま牧師になったことや悪魔と親しく語らったことを告白し、教区の信徒たちから非難されていた。手記には彼の生い立ちから、自分以外には見えない立石を発見したことや悪魔との出会い、そしてなぜそれを大衆の前で語ったのかがすべて記されていた。-出版者による序文、マック牧師の手記、そしてまた出版者が執筆したエピローグという独特の構成で描かれる、一人の牧師の数奇な生涯。スコットランドを代表する作家が、歴史、風俗、伝説、父子の物語などさまざまな要素を織り込んで綴ったブッカー賞候補作。
欧州を横断する豪華寝台列車、オリエント急行。雪で立往生した車内で、アメリカ人の老富豪が何者かに刺殺された。容疑者は、目的地以外一切の共通点を持たない乗客たち。医師、宣教師、大佐、外交官、メイド…。偶然乗り合わせた「世界一の名探偵」、エルキュール・ポアロは事件の解決に乗り出すが、彼らには強固なアリバイがありー。驚愕のトリックでミステリー史に燦然と輝く永遠の名作が、読みやすい新訳で登場!
ロンドンで弁護士業を営んでいるアタスンは、友人のジキルから遺言状を預かっていた。自分が死亡、3ヶ月以上行方不明、もしくは不在だった場合、恩人であるハイドに全財産を譲渡するという内容のものである。不審に思ったアタスンは、憎悪を抱かせるハイドを調べようとするものの、ジキルに止められてしまう。その後、街で殺人事件が発生してー。人間は一者ではなく二者から成るものである…善悪の二面性に焦点を当てた世界的名作。
MITに籍を置くジェレミーは、古代と現代ーふたつの「世界の七不思議」に奇妙な“パターン”があることを発見する。時代の異なるふたつの地図を重ねると、美しい二重螺旋を描くのだ。だが、このパターンから外れる構造物がふたつあった。この秘密に気づいたジェレミーは何者かの手で殺されてしまうが、謎を解く鍵をUSBメモリに忍び込ませていた。それを手にした双子の兄のジャックは答えを求め、コルコバードのキリスト像があるリオへと飛ぶ。そこで彼が見つけたのは、謎めいたピクトグラムが描かれた羊皮紙と精巧な歯車が詰め込まれたブロンズ製の蛇の頭だった…。『ソーシャル・ネットワーク』の著者が描く、人類の“起源”を辿る歴史冒険ミステリー!!
「世界の七不思議」に秘められた謎に導かれた植物学者のスローンとともに、ジャックはタージ・マハル、マチュ・ピチュ、そしてチチェン・イッツァを巡る。新たな発見は、同時に新たな謎を呼ぶ。行く先々で、謎の女戦士の執拗な追跡を受けながら、ジャックとスローンは七不思議に眠る謎を読み解いていく。それはやがてひとつに繋がり、ふたりが行き着いた先は世界最大級の陵墓、ギザの大ピラミッド。そこには人智を超えた秘宝とともに、神話的に語られる女戦士アマゾーンの末裔が待ち受けていた。ピラミッド地下に眠る人類の最古の“謎”を巡り、最後の死闘が始まる!!ふたつの「世界の七不思議」に秘められた謎を追い、ノンストップで繰り広げられるアクション&ミステリー巨編!
敷地内に洞窟がある気まぐれな金持ち夫婦に雇われ、“隠者”となった男(「隠者求む」)。古物店で見つけた手術道具を使って、博物館に展示された標本の蝶を蘇らせようとする少年(「蝶の修理屋」)。襲来した宇宙人に先生がさらわれたと信じて役所に押しかけ、調査を要求する子供たち(「宇宙人にさらわれた」)。あるきっかけで日常と異常の境界線を越えてしまった人々。ブッカー賞最終候補の著者が描く切なさと愛しさに満ちた10の物語。各短編ごとに『モンタギューおじさんの怖い話』のデイヴィッド・ロバーツのイラスト収録!
太陽フレアによって地上の大部分が破壊されてしまった現在。世界を救うため、WICKEDという機関を創設し、その鍵となるべく集められていたトーマスたち。巨大迷路を無事に脱出した次のステージは、灼熱の世界。白熱の太陽に照らされ、干からびた平地が延々と続いている中に放り出された彼らは、北に小さく見える街を目指す。はたして生き残ることはできるのかー。彼らの友情が、今試される!大人気、サバイバルアクション!
トーマスがふと意識を取り戻すと、思い出せるのは自分の名前だけ。見渡す限り広がる草原の先には、大きな壁が見えた。その外に広がるのは巨大迷路。夜になると閉ざされてしまう巨大迷路は、二度と同じ道順にならないという。月に一度、“グレード”に送り込まれてくる少年たち。迷路に隠された秘密を解くためにコミュニティを形成し、それぞれの役割を与えられていた。全世界が虜になったベストセラー、ついに登場!
自然科学の世界に魅了され、将来を嘱望される、若き科学者ヴィクトル・フランケンシュタイン。創出と生命の原因を突き止めた彼は、生命を持たぬものに魂を吹き込むことに成功する。しかし、想像を絶する怪物の姿を目にした途端、恐怖におののきその場から逃げ出してしまう。絶望の淵に突き落とされ、故郷へ戻ったヴィクトルを待ち受けていたものは、自分が創造した怪物の復讐だった。産業革命最盛期に執筆された傑作が甦る。
ある日、カナダの銀行に紫色の帽子をかぶった強盗がやってきた。彼はその場にいた十三人から“もっとも思い入れのあるもの”を奪い、去り際にこんな台詞を残した。「私は、あなたがたの魂の五十一%を手に、ここを立ち去ってゆきます。そのせいであなたがたの人生には、一風おかしな、不可思議なできごとが起こることになるでしょう。ですがなにより重要なのはーその五十一%をご自身で回復させねばならぬということ。さもなければあなたがたは、命を落とすことにおなりだ」その言葉どおり、被害者たちに奇妙なことが起こりはじめる。身長が日に日に縮んでしまったり、心臓が爆弾になってしまったり。母親が九十八人に分裂した男性もいれば、夫が雪だるまに変身した女性も…。いったい、なにがどうなっているのか?