著者 : 田口ランディ
2011年3月11日、東北でものすごい地震が起きた。 「どうしていつも、ぼくらを脅かすようなことばかり言うの? ぼくらはここで生きているんだよ」 未来へのあたたかい光と希望に、 あなたもきっと涙するーー。 福島へ転校した少年リクの勇気と成長の物語 2011年3月11日の大震災後に、福島へ転校した小学校5年生の少年リク。 引っ越した町には、人影がなかった。道路にも校庭にも誰もいない。 外で遊びたい。思いっきり自転車でかっ飛ばしたい。 そんなリクが白の王国で出会ったのは、子供を対等な人間として扱ってくれる大人たち、 山で生きる野生の動物、そして……。
尽きせぬ煩悩に効く物語。 「恋愛」にざわつくあなた、坐ってみませんか? 薄幸の美女りん子に救いを求められた40代の作家よう子。心を閉ざしたままのりん子をもてあましていた時、アメリカからやって来た女性の禅マスターに導かれて坐禅をすることに。二人の内面が交差し、失われた恋や、家族の死、コンプレックス、若さへの執着……女の悩みが露呈していく。心には煩悩が渦巻くばかり。足の痺れの先に、光は見えるのか。
苦しみのない人なんて、いない。それでも、私たちは生きている。介護、原発、死刑、犯罪、いじめ…複雑化する現代社会のなかで、いのちきらめく一瞬を見つけて、生きていく。“人生”が凝縮された掌編集。
「福島の今を見てみたい」作家の羽鳥よう子は警戒区域“ゾーン”に足を踏み入れた。この世とあの世の中間、宙づりになった場所に懐かしささえ覚えるがー(「ゾーンにて」)。癌に冒された青年が福島から避難した牛飼いの少女と出会い、自らの生と向き合う「牛の楽園」など、極限に生きる命の輝きを描く四篇。
あの日、彼女は何を見たのだろうー。ともにUFOを呼んだ6人の運命は、1人の少女の失踪で狂い始める。6人の数奇な人生が再び交錯したとき、世界は静かに揺らぎ始め、目の前の現実が崩れ始めるー。
「シは有限の極み。上のドは神の世界。知覚できないものの世界をガムランが開く」。失踪した友人から届いた三枚の絵葉書が、“私”をバリの深奥へと導く。宗教と音楽とむせかえるような自然。不思議な青年オダ。「ニュピ」にはミツコに会えるかもしれないという謎の言葉の意味は…?『7 days in BALI』として発表された傑作長編を大幅改稿。
フォルクローレ・デュオを組む、とてつもなく食えない僕ら。ある冬の日、病院での仕事の依頼が入る。そこには特別な観客が待っていた。ふと訪れる日常の一瞬の奇跡が、世界をやさしく包みこむ、十の物語。