小説むすび | 著者 : 白川豊

著者 : 白川豊

木々、坂に立つ木々、坂に立つ

発売日

2022年7月22日 発売

ジャンル

南北分断と朝鮮戦争をめぐる若者群像 いつの時代も戦争で被害に遭わない若者はいない。戦地に送られ生死の境をさまよったあげく、除隊後も不安定な精神状態から逃れられないのだ。残され、ただ待ち続けた女性たちも例外ではない。 廉想渉につづき、韓国の現代文学への橋渡しをした大物作家の一人、黄順元は、廉想渉よりも十八歳年下で、南朝鮮に越南してきた。創作の質と量から見ても廉想渉に匹敵する大作家と言って差し支えない。性描写がかなり露骨であるのも当時の韓国小説としては異色である。本作を読み終えたとき、きれいごとではないどぎつい臨場感に圧倒された。戦場での苦しみは、消えることがない。日本文学ともまた違う、この時代の朝鮮文学によって、外国文学を読む意義と醍醐味を再認識したのもこの作品だった。(訳者) 【あらすじ】 戦争前はエリート候補のはずだった大学生3人は学徒兵に。一番不器用なドンホは最前線の歩哨に立って自殺。除隊後、飲み歩くヒョンテは娼婦の自殺幇助で収監される。ただ一人、ユングだけは養鶏業を始めて何とか生き抜いていこうとするが……。 第一部 第二部 「木々、坂に立つ」解説

張赫宙日本語文学選集張赫宙日本語文学選集

出版社

作品社

発売日

2022年1月31日 発売

“忘れられた”世界的作家の珠玉文学選 張赫宙は、かつては、魯迅と相並ぶ、アジアを代表する作家と称された。しかし、植民地期朝鮮の作家として日本語で活躍したため、張の文学は戦後社会に帰属先を失い、長い間、漂流してきた。現在、多文化、多言語における「近代」の急速な見直しが進められるなか、「世界文学」としてその作品は再び注目されはじめている。本書は、代表作「仁王洞時代」をはじめ、文学的な価値が高いものを中心に珠玉の短編を編む。 本書の特徴 1:張赫宙の主要作や代表作のうち、前著の『張赫宙日本語作品選』(勉誠出版)に漏れ、戦後において再刊・再録されることがなかった作品を取り上げ、張赫宙文学をより幅広く紹介することを意図した。 2:商業的目的や政治的意図からの選別ではなく、文学的に完成度の高い作品を取り上げ、全体が俯瞰できるように意図した。 3:張赫宙文学には植民地期の実態や実生活を知る資料的な性質の作品が多い。この点も編集の上で考慮した。 4:本書で紹介する作品は1934年から1941年の夏に至るまでのものである。張赫宙が朝鮮大邱で旺盛な作家活動をし、日本に移住して懊悩し、太平洋戦争の渦に巻き込まれる直前までの作品である。

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