著者 : 真梨幸子
父が遺してくれた家に、見知らぬ家族が住み着いた。しかも我が物顔で。「居候の女性が出て行ってくれません」。悩める十六歳から大洋新聞の「よろず相談室」に届いた一通の人生相談。掲載された回答から導かれた予想外の悲劇とは。投書される誰にでも起こりうる身近な事件が、大きな殺意に繋がっていく。
小学生の頃のクラスメイトからかかってきた一本の電話。「覚えている?会おうって約束したこと」。その声から蘇る、憧れだった美少女の顔。それはノストラダムスが人類滅亡を予言した一九九九年七月の出来事だった(「一九九九年の同窓会」より)。他人の不幸は蜜の味。甘い六篇が詰まった著者初の短篇集。
落合美緒は、順風満帆な人生から一転、鬱々とした生活を送っていた。ある日、パート先の同僚のイチハラが、大量殺人事件を起こしたと聞く。彼女とコンビニで会った夜に事件を起こしたらしい。イチハラが言っていた言葉「…成功したかったら、失敗するなってこと。…」を思い出し、かつてないほどの興奮を感じた美緒はあることを思いつき、昔の恋人で編集者である土谷謙也に連絡を取るがー。失敗の種類は人それぞれ、結婚、家族、会社ー様々な人間の失敗談から導き出される真理。美緒は一体何を思いついたのか、そして事件の真相は?
あの女さえ、いなければー。篠田淳子は中学時代の同級生、佐竹純子が伊豆連続不審死事件の容疑者となっていることをニュースで知る。同じ「ジュンコ」という名前の彼女こそ、淳子の人生を、そして淳子の家族を崩壊させた張本人だった。親友だった女、被害者の家族、事件を追うジャーナリストのアシスタント…。同じ名前だったがゆえに、彼女たちは次々と悪意の渦に巻き込まれていく。
カンタベリーへの道中、同じツアーの参加客が各自、とっておきの不思議な話を披露し合うことに。そこで見え隠れする男と女の接点。疑心暗鬼に陥った時、人は欲望をどこまで自制することができるのか?5つのパワースポットを軸に交錯する幸せと不幸をあぶり出した、イヤミスの臨界点!
一九六二年、西新宿。十二社の花街に建つ洋館「鸚鵡楼」で惨殺事件が発生する。しかし、その記録は闇に葬られた。時は流れて、バブル全盛の一九九一年。鸚鵡楼の跡地に建った高級マンションでセレブライフを送る人気エッセイストの蜂塚沙保里は、強い恐怖にとらわれていた。「私は将来、息子に殺される」-それは、沙保里の人生唯一の汚点とも言える男の呪縛だった。二〇一三年まで半世にわたり、因縁の地で繰り返し起きる忌まわしき事件。その全貌が明らかになる時、驚愕と戦慄に襲われる!!
連続結婚詐欺&不審死事件の容疑者ー稀代の毒婦、佐竹純子。こんなとき“彼女”なら、どうするだろう?「そんなの簡単だよ」親友だった女、被害者の家族、事件を追うジャーナリストのアシスタント…。彼女たちは同じ名前だったがゆえ、悪意の渦に巻き込まれていく。
ライターの収入だけでは満足な生活を送れない久保は派遣会社から紹介された職場で働き、糊口を凌いでいた。マニュアル作成の仕事を受けた彼だが、派遣の仕事との両立が難しくなる。折しも16年前の殺人事件が再注目される時、窮地に陥った久保の脳裡にあの光景が重なる。かつてない閉塞感を最大圧縮した凄絶作品!
1768年。革命前の爛熟したパリで、女の惨殺死体が発見された。かつて美貌の青年侯爵サドとの醜聞で、パリ中に名を知られた娼婦をいったい誰が殺したのか。パリ警察で、放蕩貴族を監視する特殊任務につく私服警部マレーは、事件の真相を探るべく、奔走するが…。歴史ロマン×警察小説の革命的融合!ベストセラー『殺人鬼フジコの衝動』の著者の原点にしてライフワーク作、登場!
女性誌「フレンジー」の人気連載小説「あなたの愛へ」。その同姓同名の主人公が自分だと思い込んだ川上孝一は、思い余って著者の榛名ミサキを刺してしまう。それに端を発して起こる、デパ地下惣菜売り場での異物混入事件、ネットでの企業中傷事件、そして郊外マンションでの連続殺人ーだが、その背後には謎の女マイコの存在があった…。現態人のささやかな狂気と、連鎖する因縁の果てに明かされる驚愕すべき真実とは?『殺人鬼フジコの衝動』の著者が仕掛ける、もうひとつの罠。
この小説は自分のことを書いていると思いつめた男の危険な行動(「エロトマニア」)、マンションの惨劇がフラッシュバックして襲いかかる女の苦脳(「デジャヴュ」)、何者かが人の記憶操作をしていると勘繰った女の疑念(「ゴールデンアップル」)-正常な日常が歪んだ世界へ徐々にずれてゆき、狂気が複雑に絡み合う。人が壊れゆくその瞬間をじわりとあぶり出し、どろりとえぐり出す、渾身の連作短篇。
一家惨殺事件のただひとりの生き残りとして、新たな人生を歩み始めた十歳の少女。だが、彼女の人生は、いつしか狂い始めた。人生は、薔薇色のお菓子のよう…。またひとり、彼女は人を殺す。何が少女を伝説の殺人鬼・フジコにしてしまったのか?あとがきに至るまで、精緻に組み立てられた謎のタペストリ。
「週に三度、他の男とセックスすることを習慣にして」いる主婦・麻美。彼女の不倫相手が、次々と身体全体に瘤のようなものを作って原因不明の死を遂げる。彼女自身の肉体にも異変が起こる。女同士の憎悪や嫉妬、母娘で繰り返される愛憎劇。一見幸せな主婦の誰にも言えない秘密とは…。