著者 : 真野泰
マザリング・サンデーマザリング・サンデー
あの秘密の裏道を通って、わたしは本当の人生を漕ぎはじめる。一九二四年春、メイドに許された年に一度の里帰りの日曜日(マザリング・サンデー)に、ジェーンは生涯忘れられない悦びと喪失を味わう。孤児院で育ち、帰る家のない彼女は、自転車を漕いで屋敷を離れ、人目を憚らず恋人に逢い、書斎で好きなだけ本を読む。そこに悲報がーー。のちに著名な小説家となった彼女の、人生を一変させた美しき日をブッカー賞作家が熟練の筆で描く。
ラスト・オ-ダ-ラスト・オ-ダ-
現代イギリス文学界の旗手が描く過ぎた日々の記憶と、現在が行きかう濃密な作品世界-’96年度ブッカー賞受賞作。亡き友の最後の願いを叶えるため、四人の男は海へ向かう。挫かれた夢、嫉妬や裏切り、そして美しい思い出…とむらいのドライブが進むにつれ明らかになる、それぞれの人生と関係。
時間のなかの子供時間のなかの子供
一瞬の隙に幼い娘が消えた-絶望の果てにバランスを失っていく妻と夫、危うい喪失感のうちに浮び上がる「もうひとつの記憶」…。倒錯的な美意識と痛烈な諷刺。イギリス文学界の奇才が、90年代の「暗黒郷」を幻想的に描く。ウィットブレッド賞受賞。
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