著者 : 睦月ムンク
王国を守る生贄の「人形姫」として育てられた王女コーデリアは、幼い頃失明して以来、専属朗読師の青年レイヴェルを心の支えに生きてきた。しかし生贄の儀式も間近のある日、レイヴェルの魔術によって国が滅ぼされてしまったと知る。優しい彼が何故…?絶望するコーデリアに“女神”が救いの手を差し伸べた。視力を与えられ、一年前に戻った彼女は、レイヴェルが起こす災厄を必ず防ぐと決意する。たとえ彼を殺してでも。悲劇の運命を書き換えるためにー!
新歓コンパで行ったカラオケ店には、生首が転がっていた。「お客様、もしかして、視えてます?」話しかけてきた店長・花宮からここで働くよう誘われた和仁。この店は、この世にとどまっている霊を集めて、あの世に送り出す場所らしい。花宮も「視える」人間のはずだが、常に和仁の傍にいる土色の男の霊については詮索してこない。ここで働くことにした和仁だが…?
ときは平安、華やかなりし京の都のそこかしこー夜の暗闇や澱みには、人ならざるものたちが跋扈していた。陰陽寮の新米役人・大江春実の夢は、立脈な陰陽師になること。しかし未熟者ゆえ、その道のりは遠そうだ。さて頻発する怪事件の調査のため、左大臣の豪邸に遣わされた春実は、自分の式神がほしくなった。さっそく召喚したところ、現れたのは飄々とした美形のあやかし・雪羽。両者の能力差は歴然としており、あっという間に敗北した春実は、雪羽の食事がわりに自らの寿命を提供する羽目に。こうして世にも奇妙な凸凹コンビが誕生したのだが…。
楽器販売店をクビになり、衝動のまま仙台に向かった惠理は「あやしバイオリン工房」と書かれた看板を見つける。そこには男性店主の他に、伝説の名器ストラディヴァリウスの精が棲んでいた!?店主以外の人には見えないはずのバイオリンの精・弦城の姿が見える惠理は、成り行きで、工房に持ち込まれる不思議な事件に巻き込まれる羽目に…。心温まるあやかし事件簿。2017年ノベル大賞佳作受賞作!