著者 : 矢樹純
中学一年の薗村海斗は、最近は学校に来なくなってしまっている同級生・桶屋太市、同じく同級生の女子・烏丸未夢と、オンラインゲームを通して交流を深めていた。ある日三人は、廃園になった遊園地“ハピネスランド”で撮影されたと思われるある動画を見てしまい、その動画が一体何なのかを突き止めるため、ハピネスランドに侵入することに…。思わぬ方向へ展開していく事件を追いながら、海斗たちは少しずつ真実に近づいていくー。少年少女たちの瑞々しい感情と友情を描き出す傑作青春ミステリが誕生!
母娘二人だけのドライブの帰り道、青沼柊子は峠の展望台で、暴行の現場を目撃する。暴漢は柊子たちを逃がすまいと車の前に立ち塞がるが、構わず柊子がアクセルを踏むと、サイドミラー越しに、男の影が崖下へと転落していくのが見えた。あの男は死んだのか?思い悩む柊子だが、県警捜査一課の刑事を務める夫の哲司には、正直に話せない。すると翌日、マンションのポストに告発文めいた脅迫状が投函されており…。私のせいで、父は死んだー。血の因縁が浮かび上がらせる、二十年越しの真実!次々と身の回りで起こる不穏な出来事に、刑事の妻・柊子は追いつめられていく。愛する家族を護るため、彼女が取った行動はー!?
息子を溺愛し、学校や近隣でトラブルを繰り返す母親。家から一歩も出ず、姿を見せない息子。最愛の息子は本当に存在しているのかー歪んだ母性が、やがて世間を震撼させるおぞましい事件を引き起こす。
昨年、夫の孝之が事故死した。まるで二年前に他界した義母佳子の魂の緒に搦め捕られたように。血縁のない母を「佳子さん」と呼び、他人行儀な態度を崩さなかった夫。その遺品を整理するうち、私は小さな桐箱の中に乳児の骨を見つける。夫の死は本当に事故だったのか、その骨は誰の子のものなのか。猜疑心に囚われた私は…(『夫の骨』)。家族の“軋み”を鋭く捉えた九編。
強迫性貯蔵症という、がらくた集めが生きがいの少女・陶子の前に現れた、心理カウンセラーの桜木。だが彼も「普通ではない衝動」を抱える人間であった。陶子の治療で訪れた狗島で起こる、凄惨な首なし殺人事件。事件の解明とともに明かされる島の哀しい歴史とは。「普通」からはみ出た二人が、隠された島の謎を追う、感動のミステリ!!