著者 : 矢沢聖子
死者の頭蓋骨から生前の顔を蘇らせる復顔彫刻家イヴ・ダンカン。その腕を買われて数々の難事件を解決してきたが、ある日何者かがイヴを拉致する。犯人の要求は殺された息子の「顔」をイヴに取り戻させること。その裏には歪んだ愛と恐るべき計画が隠されていた。公私にわたりイヴを支えてきた刑事ジョーは決死の捜索を行うが、封印された過去が暴かれ…。ロマンティック・サスペンスの最高峰!
わたしが動物の言葉を理解できることは、誰にも言ってはいけない。幼いマーガレットは、父から絶え間なく虐げられ、その真実を知った。以来、家を飛び出し、森の獣たちに見守られ成長した彼女だったが、悲劇は再び起きた。18歳のとき、秘密が漏れ、彼女の力に目をつけたマフィアに拉致されたのだ。地獄の日々から逃れて3年、平穏を手に入れたマーガレットの前に、謎の男ラシターが現れる。同じマフィアに囚われた恩人を助けるため、協力してほしいという。冷徹で強引なやり口の一方、彼の官能的な瞳には抗いがたい魅力も宿り…。新ヒロインが活躍する、「イヴ・ダンカン」関連作!
時は1895年。世間が名探偵シャーロック・ホームズの活躍に沸く中、苦虫を噛み潰す男がいたー彼の名はアローウッド。ホームズと同じ私立探偵だが、残念ながら回ってくるのはホームズには頼めないような曰くつきの依頼ばかり。助手のバーネットも機嫌の悪いボスにやきもきする日々だったが、ある日美しきフランス人女性が「兄が失踪した」と助けを求めてくる。それは最悪な殺人事件の始まりでー。
生まれつき盲目だったケンドラは、最先端の手術によって視覚を得た。奇跡を起こしてくれた医師と10年ぶりの再会を果たした直後、彼は何者かに連れ去られてしまう。ケンドラは、一流犯罪コンサルタントのアダムとともに行方を追うが、捜査中、ある男の他殺体を発見するーその被害者もまた、ケンドラに視力を与えたプロジェクトに参加していた。すべての真実を明らかにするためケンドラは自身を餌に黒幕をおびき出そうとするが、その行動がアダムの怒りと激情に火をつける。ついに二人は、固く守ってきた一線を越えてしまい…。
被害者はみな黒髪に白肌の美しい女。冷たくなった唇には真っ赤な口紅がほどこされー麗しき白雪姫を連想させる死体を次々と残し、世間を震撼させた通称“白雪姫殺人事件”。未解決のまま20年の歳月が流れたが、いまふたたび同じ手口と思われる他殺体が発見された。しかもご丁寧にもその体内には“白雪姫殺人事件”の当時の新聞記事の切り抜きが。これは残忍な模倣犯のしわざなのか、それとも…?恋人のFBI捜査官ジョンとの結婚を控える女刑事テイラーはさっそく捜査に乗り出す。だが魔の手はテイラーの背後にも迫っていた。
誰が言い出したのか、その土地は呪われた〈ジプシーが丘〉と呼ばれていた。だが、僕は魅了された。なんとしてでもここに住みたい。そしてその場所で、僕はひとりの女性と出会った。彼女と僕は恋に落ち、やがて……クリスティーが自らのベストにも選出した自信作。サスペンスとロマンスに満ちた傑作を最新訳で贈る。(解説:真瀬もと)
街のチンピラが京劇場で殺された。捜査にあたった北京市公安局・王警部補は古美術品の盗掘、密輸出と殺人事件との関連を追うが…。チャイニーズ・マフィアから警察幹部、さらには共産党へと真相に迫る一人の刑事が職務の狭間で懊悩する姿を描く。天安門事件を遠景に中国の闇社会が舞台のクライム・ノベル。
カリフォルニア州リトルサイゴンで出会った二人の女。戦火のベトナムを逃れてアメリカに渡ったアインと、ユダヤ系アメリカ人のジェイナ。二人にあるのは悲惨な過去と、成功を夢みるたくましい生命力だけ。そして、夢を実現させるべく二人は手を組む…。したたかに生きる女たちの痛快エンタテインメント。
どこからか彼に囁く声がする。手を早く洗え、と。平凡な事務弁護士である男は、女の喉に触れた指に力をこめる。あの声を沈黙させるためにー深夜のフラットで独身女性が絞殺された。無惨にも屍肉の一部を切りとられて。ロンドン警視庁のブランチ女性警視と連続殺人鬼との壮絶な戦いを描くサイコ・サスペンス。
17歳の時に無実の罪で投獄されたエディが、15年ぶりに出所してきた。そして自分が投獄された理由を探るうちに、またしても知らぬ間に麻薬がらみの犯罪に巻き込まれてしまう。複雑にからんだ過去と現在の犯罪の糸をときほぐした時、エディの前に現れた思いがけない真実。MWA賞次点の傑作長編サスペンス。
闇の中で大きく目を開けて、目の前の光景を想像した。二メートルを超える太った雌の大蛇が、ゆっくりととぐろを解いている。骨まで凍りつき、身体に氷の芯ができたようだ。部屋は不気味なほど静かだった。-悲惨な死を遂げた父の謎を追う美人犬訓練士キャサリンの身に危難が…。アガサ賞受賞の傑作。
美人の女性警部の前に、猟奇殺人事件の死体がー。パディントン駅から遠からぬハムステッド・ヒースで、その腐乱死体が発見された時、なぜかMI5と英国公安部が動きだした。スコットランドヤードのブランチ・ハンプトンが捜査を進めていくとそこにはー。複雑な過去が鮮かに甦る傑作長編推理。
「あなたが父を殺した。なぜ、なぜ行かせたんです?教えてください」少年の声は歓呼にかき消されていた。人人は立ち上がって、喝采を送りつづけている。だが、少年は2度と昔の彼に戻ることはないのだ。-湾岸戦争の「大勝利」に酔う先進諸国の読者に贈る、汚い台所を描いた傑作戦争小説。
神はいかなる過ちを罰するために中東の地に資源を、そしてその地の人民に悲惨な運命を与え給うたのか。エリトリアで起きた戦争は内乱寸前のソ連、経済破綻に喘ぐ米国、石油ショックの日本にリンケージして、世界大戦へと突き進んでいく…。大佐フォーガティは無言で死地に向かって旅立っていった。
EC委員会ーそれはタフな男たちが国家の利害を賭けて血みどろの闘争を繰広げるジャングルだ。西ドイツとラテン諸国の相互不信、イギリスと大陸諸国の覇権争い、さらに雑多な民族と宗教が牙を見せ合う。名門ながら冴えない英下院議員モートンがブリュッセルに出向を命じられた時から彼の運命は歴史の歯車に巻き込まれはじめたのだった…。
愛する息子ニッキーが自殺した。それも何の前兆もなく。私がジョギングから上機嫌で帰宅したとき、夫のベンがうつろな顔で私に悲報を告げたのだ。ニックの命を奪ったのは、クロムウエル大学の古色蒼然とした権威の陰に蠢く、何か恐ろしい秘密ではないかー。母として女性検事として、私は単身大学に乗り込んだのだった。そこで見たものは。
7月の夕暮れのカイロ。アラブ人テロリスト・グループが合衆国国務次官一行を襲った。が、襲撃は失敗。かわりにアメリカ人の親子マリア・マイケルズとジョーイが誘拐された。マリアはニューヨーク・マフィアのドン、パードレの一人娘だった。合衆国大統領は早速関係者を招集、事態の収拾にのりだすが、一向に進展をみない…。無能な政府に業を煮やしたパードレはついに直接行動に打って出る。部下をひきいてホワイトハウス襲撃を決定したのだ。