著者 : 矢野徹
旅客機がハイジャックされ、操縦士のオハラはアンデス山中の高所に無謀な不時着を強いられた。機体はひどく損傷し、犯人らは死亡。かろうじて生き残ったオハラたち九名は、高山病に苦しみながらも救助を求め山を下り始めた。そんな一行を、突如銃撃が襲う。一体誰が、何のために?背後は峻険な峰々。絶体絶命の窮地に陥った彼らは、驚くべきアイデアでこれに挑むが…壮大な自然に展開する死闘。冒険小説史上屈指の名作。
目覚めると、ベッドには見知らぬ男の死体が。そして自分のいるのがどこで、いつの時代なのかさっぱりわからない。いったい何が起こったのだろう…。わたしはモーリン・ジョンソン・ロング。長命族の指導者ラザルス・ロングの母であり、その共同妻。植民星テラス・ターシャスにやってきてからというもの、自分の子孫に囲まれて優雅な生活を送っていたのに、昨夜からの記憶がない。わたしは必死になって記憶を探るが…。
『メトセラの子ら』で登場し『愛に時間を』『獣の数字』『ウロボロス・サークル』でも活躍する、ハインラインの作品中もっとも魅力的なキャラクターであるラザルス・ロング。本書はこのラザルス・ロングの母であり、共同妻のひとりでもあるモーリンを主人公とし、その生い立ちからいまに至るまでを綴ることで、「未来史」シリーズにふくまれるすべての作品を、見事に結合させた。SF界の巨匠、ハインライン最後の長篇。
宇宙居留地ゴールデン・ルールで気ままに暮らしていたおれは、ある日見知らぬ男から人殺しを依頼された。だが詳しい説明を受ける間もなく、男は目の前で射殺されてしまった。新婚の妻グエンと共に真相究明に乗り出したおれだが、逆に覚えもない殺人の容疑をかけられて逃げまわる羽目に…いったい誰がおれを罠にかけたのか。宇宙居留地から月世界、並行世界にまで舞台を移しながら、スピーディーに展開する冒険巨篇。
裸の背に白い翼を生やしたゾアたちは、時間流の中を自由自在に飛びまわる。その一人ユリズンは、過去に手を加えて自らの理想郷を創りだそうと企て、18世紀の詩人ウイリアム・ブレイクを巻きこんで大規模な歴史改変を開始した。ブレイクの妻ケイトはこの計画を知るや、愛する夫を取り戻すためユリズンに必死の戦いを挑む。かくして壮大な時間戦争の幕が切っておとされた…謎とロマンに満ち溢れた、時間SFの新たな名作。
あたしの名前はフライデイ。職業は戦闘伝書使ー秘密文書を正確かつ迅速に運ぶのが任務。でも、この仕事は危険がいっぱい。先日も謎の武装集団に捕えられ、手ひどい拷問を受けたばかりだ。はやく休暇を取って、ニュージーランドに住む3人の夫のもとに帰りたい。だけど、彼らはどう思うだろう。あたしが遺伝子操作で作られた人工人間だと知ったら…ハインラインの著作中、最も魅力的なヒロインが活躍する傑作長篇。
黄色い煉瓦のオズの国、『ガリバー旅行記』の小人国…。多元宇宙を旅するぼくらが見たものは、かつて親しんだ小説そのままの世界だった。本の中の世界はみんな宇宙のどこかに実在していたのだ。だが、どんな宇宙に逃れても、邪悪な異星人は執拗にぼくらを追ってくる。ぼくら一家に安住の地はないのか?そんな時、ぼくらの前に思いもよらぬ人物が現われた…。巨匠が最大の情熱を傾けて描き上げた力作長編、ここに完結。
「あたしのパパが作ったタイム・マシンを見てくださる?」-ぼくの決死のプロポーズに、彼女は笑ってそう答えた。だがそれは単なるタイム・マシンではなくー。多元宇宙を自在に往来できる連続体飛行機だった。この画期的発明を狙う謎の異星人に新婚早々殺されかけたぼくらは、この飛行機を駆って時空を超えた逃避行へと旅立ったのだが…。円熟期を迎えたハインラインの力作長篇、待望の文庫化第一弾。全三巻完結。
GS二重惑星王国の王女が暗殺された。遺体につきそって、王女の母星グラス・ワールドを訪れたムナカタ大尉が見たものは、惑星全土に広がる大草原とそこを悠然と走る車輪付き巨大帆船だったー。だが、その地で何者かがムナカタたちを襲う。王女暗殺は宮廷内部の犯行なのか?犯人を追って、二重惑星のもう一方の星へ飛んだ連邦宇宙軍。だがそこで彼らを迎えたのは、仇敵エリミネーターだった。快調SFシリーズ第6弾。
五十万年前に太陽系を訪れ、なにに使うかもわからない奇妙な物や不思議な建造物を残したまま、いずこかへ消え去った謎の異星人ヒーチー。金星の地下都市スピンドルに住むウォルサーズは、そのヒーチーの残したトンネルに観光客を案内して生計をたてている。めったに来ない大金持ちの観光客をつかまえたウォルサーズの命がけのトンネル・ガイドを描く「金星の商人」ほかの連作を収録する巨匠ポールの人気シリーズ番外篇。
ロサンゼルス近郊の原子力発電所が、テロ集団に襲撃された。犯人たちは放射性物質を強奪し、さらに原子力物理学者と職員数名を誘拐ー。そこにはライダー主任刑事の妻スーザンも含まれていた。愛する妻を救うべく、必死の捜査を続けるライダー。一方、盗んだ放射性物質から核爆弾を製造したテロ集団の首領モロは、これを使用してカリフォルニア州全域を壊滅させると通告してきた。核テロリズムの恐怖を描く冒険サスペンス。
火星の開発調整地域で見つかった二人の男の死体は、全身きれいにボイルされていた。その死人のひとりは“ジャンク屋”と呼ばれる臓器密売業者だったー。一方、異星からの謎の侵略者・エリミネーターの正体を追い求め、壮絶な死をとげたゴドー中尉の敵討ちをすべく、シン・ムナカタは情報部への転属を願い出たが…。違法な臓器売買と連邦宇宙軍内部にただよう不正の気配。やがて、ムナカタのまえに巨大な敵が現われた。
憧れの地球連邦宇宙軍に海兵隊員として入隊したシン・ムナカタ。だが、弱冠19歳のムナカタの初陣は悲惨だった。火星のポイントに偵察訓練に出た小隊は正体不明の敵の攻撃を受け、ムナカタ以外全滅してしまったのだ。ただ一人生き残ったムナカタ、その生還は絶望的と思われたが…謎の敵・エリミネーターの正体を追うムナカタと、彼を支える宇宙最大の民間総合危機管理請負業者〈ホーリー・スォード〉の活躍を描く。
惑星間戦争以前、人類は宇宙進出に燃え多くの惑星を開拓していった。テラ2もそんな植民星のひとつである。だが、人類の存在すら危機的状況に落としいれた惑星間戦争のため、地球からの船は途絶えーそして、500年の歳月が流れさった。植民グループごとに成立した都市国家は、苦難の開拓時代を経て、成熟の時を迎えつつあったが、植物戦争を契機として、異変が起きた。都市国家のひとつECが隣国のニロスを統合し、圧政下のニロスでは、救国戦線を中心としたレジスタンスが展開していた…。連邦宇宙軍の活躍を描く新シリーズ、開幕。