著者 : 矢野徹
西暦2024年。世界人口は80億を越え、全世界は食糧不足と国際緊張にあえいでいた。コンピューターによれば人類滅亡の可能性は90パーセント以上。この危機を乗り越えるには、火星に植民するしかない。そこでアメリカは総力をあげて《マン・プラス》計画に挑んだ。苛酷な火星環境に適応させるため、人間をサイボーグ化しようというのだ。サイボーグ第1号は実験中に死亡し、すべては第2号であるロジャー・トラウェイの双肩にかかっていた。だがそのロジャーにも危険信号が…。ポールがサイボーグをテーマに人間と機械の新たな関係を描く力作SF。ネビュラ賞受賞作。
軍需品製造会社に勤務する平凡な経理課員ビルソンが、突如失踪した。同社の保安を担当するスタフォードは、早速調査を開始。その結果、彼の父親が1936年にサハラ砂漠で消息を絶った飛行家で、その父を中傷する新聞記事が、ビルソン失踪の原因らしいことをつきとめる。スタフォードは事件が会社と無関係と見て、調査の打ち切りを決定。だがその直後、何者かに警告の襲撃を受けた。事件の背後には、何か秘密が隠されているのか?スタフォードはビルソンの足どりを追ってサハラへ飛ぶ決意を固めた。冒険小説の醍醐味を満喫させる巨匠の会心作。
腕っこきの傭兵少佐、ダウ・ステーヴァーズは、たて続けに命を狙われる。やがて犯人から招待状が届き、乗り込んだ先は“重役会”という名で呼ばれる大シンジケートの幹部会だった。世界を支配しようと計画する彼らは、ダウの力を試させてもらったという。彼らが探している品を手に入れられる男かどうかを。その品こそ、人々を思いのままに操る力を持つ宝石、メサイア・ストーン。かつてヒトラーが手にしていたという幻の宝石なのだった。
木星の第3衛星ガニメデー太陽系最大の衛星に、いま、人類の本格的な植民がはじまる。宇宙船メイフラワー号にガニメデ植民団の一員として乗船したビル・ラーマーは、期待と興奮で胸がいっぱいだった。人口過密と食糧危機にあえぐ地球にとって、ガニメデ植民はその唯一の解決策なのだ。だがメイフラワー号の6千人もの植民団を一度に受け入れるには、ガニメデ植民地はあまりに小さすぎた。ビルの思惑に反してガニメデでの生活は、まず自分の土地を獲得することからはじまった…。ガニメデの厳しい自然環境を舞台に、1人の多感な少年の成長を瑞々しく描きあげる傑作SF!
本書はアメリカの人気SF雑誌〈ギャラクシー〉創刊30周年を記念して刊行された、ファン注目の記念碑的短編集の上巻である。編者はかつて2代目編集長を務めた作家フレデリック・ポール、フリッツ・ライバー、ロバート・シェクリー、コードウェナー・スミス、アルジス・バドリスなどの一流作家の作品を発表年代順に収録し、それぞれの著者による〈ギャラクシー〉誌にまつわる覚書を添えた。