著者 : 神護かずみ
心優しき青年はなぜ殺されなければならなかったのか?新潟県警に勤務する鈴山澪は地元のテレビ番組で、特殊詐欺対策啓蒙コーナーを担当している。恋人を詐欺被害で亡くしている共演者の麻子は、ある日、生放送で未だに捕まらない犯人への憎しみを口走り、その発言が炎上する。一方、大雪の日に認知症の高齢女性を保護して表彰された、澪も知る青年が消えた。その件に絡んで自宅待機となった澪は行方を探し、富山の海岸で変わり果てた姿を目にする。防犯映像には暴力団との交際が噂される刑事が…警察組織に背を向けて事件を追う澪は、いつしか、封印した自らの過去に踏み込んでいくことに。
企業のトラブル請負という仕事をめぐって最愛の恋人・雪江と師を続けて亡くした西澤奈美は心の整理がつがす空虚な日々を送っていた。そんな彼女が親しみを寄せるタバコ屋の上井久子がオレオレ詐欺に遭う。久子を慰める術を持たない奈美だったが、自分が入居する雑居ビルのオーナーから隣のビルに入った怪しげな会社が詐欺集団ではないかという見立てを聞き、密かに証拠をつかみ匿名で警察に通報する。しかしその後、逮捕を逃れた残党の影がちらつき、たびたび襲撃を受けるように。奈美は、彼女が育った児童養護施設の後輩で雪江を慕っていたという松井の協力を得て久子を騙した犯人を突き止め、ついには自ら拉致されて敵地に辿り着くという無謀な賭けに出る…。
大手医薬品メーカーに仕掛けられたデモを鎮めるべく市民団体に潜入した西澤奈美。そこでリーダーから同志として紹介されたのは、恋人の雪江だった。新ヒロイン誕生!江戸川乱歩賞受賞作。
櫻咲き乱れる春、江戸で次々と奇妙な死体が見つかった。彼らの背中からは揃って自慢の刺青が消えていたのだ。失くなっていたのは見事な龍の画。この頃、男の一人は龍に魂をとられると怯えていたという。話を聞いた石燕は、鏡花と怪事の源を探り始める。やがて浮かび上がってきたのは、ある彫師の存在。だが、いつもは石燕に協力を頼んでくる塗楽が、この件にだけは関わるなと告げて姿を消し…。急展開の妖怪活劇、第3弾!
江戸に作られた富士塚から夜ごと奇妙なうめき声が聞こえる。その噂と前後して吉原で大火が起き、ある大見世の楼主が焼死した。現場では火を噴く巨大な輪の怪と、蛇と蛭のような座頭と法師が目撃され……。
近頃、江戸の日本橋で囁かれる“骨きり”なる怪事件がある。夜ごと町人が何者かに襲われ、骨だけとなって見つかるのだ。ある夜、町絵師・鳥山石燕を塗楽という瓜実顔のご隠居が訪ねてきた。骨きりを封じるために、石燕の画の力を借りたいというのだ。しかしその老人の正体は、妖怪の棟梁なるあやかしで…。霊筆をあやつる若き絵師が、妖怪たちと江戸を騒がす怪異を断つ!新たな伝奇・妖怪エンタテインメント、ここに誕生。