小説むすび | 著者 : 竹長吉正

著者 : 竹長吉正

石井桃子論ほか (第二)石井桃子論ほか (第二)

発売日

2021年8月12日 発売

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現代日本の「子どもの文学」をいろどった作家、作品の魅力を探る、第二弾! 石井桃子、宮沢賢治、金子みすゞから、打木村治、詩人の永瀬清子、絵本作家の中谷千代子、赤羽末吉、林明子、ベートーヴェンの伝記まで、作家と作品を幅広く紹介。 また、「動物」を切り口にした独自の視点での作品論も自由に展開! *  *  *  この本は現代日本児童文学への視点を示したものです。まず石井桃子、そして宮沢賢治、金子みすゞへとやや広がって行き、さらに詩人の永瀬清子、小説家の打木村治へと広がって行きます。児童文学論の本になぜ永瀬や打木を取り上げるのかと不思議に思う人がいるかもしれません。打木は調べればわかります。永瀬は詩人ですが、この本で述べることは彼女の詩の中に児童文学的要素が色濃くあるからです。  終わりは二本。ベートーヴェンについての伝記二冊、そして馬に関する絵本を数冊取り上げています。児童文学に関わりをもって長い間過ごしてきたわたくしは、人間よりも動物の方に興味関心を持つようになりました。  まずは猫です。漱石の『吾輩は猫である』ではありません。石井桃子の『山のトムさん』です。そして、『おひとよしのりゅう』の竜です。『なめとこ山の熊』の熊です。最後の第十一章に出てくる三匹の馬です。動物の登場するこれらの作品を読んでいたら、児童文学とは子どもばかりが登場する作品ではなく、動物の好きな大人読者が夢中になる「動物主体の作品」なのかなと思うようになりました。  石井桃子の『山のトムさん』を読んでいると、まさに猫好きになります。それから、第五章の中谷千代子の絵本『くいしんぼうのはなこさん』の文章は石井桃子が書いています。牛のハナコは大威張りのわんぱく娘で、とても愉快です。そして、宮沢賢治の『なめとこ山の熊』は母熊と子熊のほのぼのとした風景を浮かび上がらせますし、片や金子みすゞの詩「町の馬」は叱られ叱られ荷物のお魚を曳いて町へ帰って行きます。  ベートーヴェンの伝記が出てくるのは突発的で、まさに火山の噴火が起きたようで読者は「あれっ!」と驚くでしょう。読者の皆さんも大好きな音楽家の話です。ベートーヴェンの音楽はよく聴くが、彼の伝記は知らないという子どもがいるのではないでしょうか。そのためにこの本でベートーヴェンの生涯を学んでください。  最終は馬に関する絵本のことです。堀内誠一の馬の絵本は「まぼろしの絵本」です。いったい、どのようなものでしょうか? 期待を込めてぜひ、この本を読んでください。そうすると、「まぼろしの馬」が皆さんの夢の中にきっと出てくるでしょう。 (「はじめに」より) *  *  *

石井桃子論ほか石井桃子論ほか

発売日

2020年1月20日 発売

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現代日本の「子どもの文学」をいろどってきた作家、そして作品たちーー。 【第一部 石井桃子論】では、『迷子の天使』、『ふしぎなたいこ』、翻訳『たのしい川べ』の三作品に着目した石井桃子論を展開するほか、書簡のやりとりを公開。 【第二部 石井桃子の周縁】では石井と同時代を生きた佐藤春夫、中勘助、野上弥生子、早船ちよ、瀬田貞二を紹介する。 【第三部 現代日本児童文学への窓】では、太田博也、西沢正太郎、安藤美紀夫、中野みち子、皿海達哉、日比茂樹、高橋秀雄、竹下文子、さくらももこなどの作家論を収載。 *  *  *  この本は、現代日本児童文学へのわたくしの見方を示したものです。石井桃子への敬愛の念を込めているのはもちろんですが、北川千代や野上弥生子、それにあまり詳しくは述べられませんでしたが、佐藤春夫、中勘助、早船ちよなどについても敬愛の念は変わらず、存在します。(中略)  現代日本児童文学はこれからも、どんどん間口を広げて発展していくと思います。  本書を手に取っていただき、現代日本の「子どもの文学」について、こんな見方ができるんだとか、こんな作家がこんな作品を書いていたんだと開眼していただけたら、著者として大変うれしく思います。(「はじめに」より) はじめに 【第一部 石井桃子論】 第一章 『迷子の天使』論 第二章 『ふしぎなたいこ』論 第三章 『たのしい川べ』論─中野好夫と石井桃子の翻訳─ 第四章 北川千代と霜田史光、そして石井桃子 第五章 随筆「のんびりしたような世界」 第六章 随筆「子どもにうったえる文章」 第七章 石井桃子からの手紙─書簡三通を巡って─ 第八章 二つの石井桃子論 【第二部 石井桃子の周縁】 第一章 十九世紀のイタリアと佐藤春夫「いたづら人形の冒険」 第二章 中勘助と、ある詩人 第三章 野上弥生子の児童文学 第四章 早船ちよの人生と作品 第五章 瀬田貞二についての講演 【第三部 現代日本児童文学への窓】 第一章 太田博也 第二章 西沢正太郎 第三章 安藤美紀夫 第四章 中野みち子 第五章 皿海達哉 第六章 日比茂樹 第七章 高橋秀雄 第八章 さくらももこと竹下文子 あとがき 主要文献 写真解説

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