著者 : 笹本稜平
あの野郎、想像を絶する凶悪犯かもしれないぞー 伊予ヶ岳の山頂付近で発見された若い女性の死体。事故死あるいは自殺と思われたが、彼女が最近までストーカー被害に遭っていたことがわかる。千葉県警生活安全隊の山下正司は、彼女の死への関与を疑うが、ストーカー加害者は名家の御曹司で、事情聴取にも妨害が入る始末。さらに、その家族が銃撃されたという通報が入り、混迷は極まる。次に狙われるのは、そして、事件の中心にいるのは、誰なのか?
資源探査会社に勤める郷田裕斗は、海底油田の探査のために北極の基地にいた。仲間は同僚や、アメリカ人の準石油メジャーのオブザーバー、海洋学者、そしてカナダ系イヌイットたち。ある日、北極海の水中で核実験が行われる。だが、郷田たちはまだそのことを知らず、いつの間にか孤立していたのだった。通信機器による外部との連絡は取れず、リード(氷の割れ目)は増え続け、燃料と食料も刻一刻と減る中、ついに精神に異常をきたす者まで現れて…。大国の思惑と駆け引きに巻き込まれた郷田たちは、氷の世界で生き残ることができるのか。
神奈川県警管内で発見された腐乱死体が碌な捜査もされず自殺として処理された。不審に思った宮野が独自捜査をすると、その直後、何者かに襲われてしまう。鷺沼たちはカリスマ投資家の男に目を付けるが、その裏には政官界の巨大な権力が控えていた。
余命僅かな登山の師の想いを胸に、たった一人でヒマラヤ最難関・標高8000m超のマカルー西壁に挑む!空中にせり出す“死の壁”を越え、クライマーの頂点に立てるか!?圧巻の山岳小説「ソロ」シリーズ堂々完結!
唐沢龍二は、恋人の吉村久美子に誘われて大学の奇妙な会に入る。会の名は「グループ・アノニマス」。一見映画論を語っているようでいて、唐沢の理系の知識を利用して爆弾テロを目論む活動組織のようだった。怪しげなアノニマスから距離を取る唐沢はやがて久美子と破局し疎遠となる。1年後の1998年。東京都西神田のビルで自爆テロが発生した。死亡者でもある実行犯は久美子だという。アノニマスのリーダー・ハンクスこそが真の実行犯で、久美子は利用されただけだと唐沢は気付くが、いち大学生に地下に潜ったハンクスを捕まえることは容易ではなかった。やがて、警視庁公安部の捜査官から唐沢に声がかかる。地下に潜った組織壊滅のための切り札として、公安捜査官にならないかというのだ。公安捜査官となった唐沢だったが、アノニマスのスパイという風評や、危うい捜査はいくつもの敵をつくってしまい…。警察小説の旗手が放つ公安物語!
長野県警山岳遭難救助隊に所属する桑崎祐二は、鹿島槍北壁からの下山途中、谷あいに倒れている人物を発見する。すでに死亡していたその女性の首には、索条痕と吉川線があり、他殺死体だと認められた。しかし桑崎らをヘリコプターに収容する直前、雪崩が発生し、死体は飲み込まれてしまう。桑崎は、死体を発見する前日、同じ場所で不審な三人組を目撃していた。さらに三月の気温の上がる時期にもかかわらず、死体は完全凍結していた。三人組と女性との関係は?なぜ死体は凍ったまま発見されたのか。吹雪の北アルプスでの壮絶な捜索行。その果てに明かされた真実とはー。
サンズイ(汚職)事案担当の警視庁捜査二課刑事・園崎省吾は、ある大物政治家のあっせん収賄容疑を追及していた。鍵を握る秘書の大久保は、過去に準強制わいせつやストーカー規制法違反を疑われた札付きだった。司法取引を持ちかけられ、大久保と待ち合わせた園崎は、すっぽかされた上、同時刻に妻と息子が何者かに轢き逃げされた。園崎は大久保の関与を疑うが、逆に自らが重要参考人として呼び出され…。警察のなかにも敵がいた。園崎の孤独な戦いが始まったー!
マンションで転落死と思われる男性の死体が発見された。死亡した男は、大物政治家が絡む贈収賄事件の重要参考人だった。さらには政治家の公設第一秘書、私設秘書も変死。自殺として処理するように圧力がかかる中、葛木が極秘裏に捜査を開始すると、予想だにしない黒幕が浮かび上がってきて…。政治が真実を闇に葬ろうとするとき、所轄は警察の矜持を保つことができるのか?
山岳界で“ヒマラヤに残る最後の課題”と言われる一つ、ローツェ南壁の冬季単独登攀を達成し、トップクライマー入りした奈良原和志はアマ・ダブラム西壁に挑んでいた。次の挑戦の武器になる新製品のテストも兼ねているためソロを封印、登山経験もあるスポンサー企業ノースリッジの若手技術者柏田を伴ってのものだった。難しい登山ではなかった。だが落石で柏田が死亡、和志も大怪我を負う。そこへ追い打ちをかけるネット上の誹謗中傷と柏田の両親からの訴訟。気力を失った和志に、登山の師であり、癌で余命宣告を受けたにも拘わらず献身的なサポートを続ける磯村賢一は、リハビリに付き合う中、あえて“課題”のもう一つ、「冬のK2」をぶつける…眼前にヒマラヤの高峰群が広がる圧倒的な臨場感で贈る、ここでしか味わえない傑作山岳小説!
標高8000メートル峰が屹立するヒマラヤで、“魔の山”と畏怖されるナンガ・パルバット。立原祐二は、前人未到の冬季登頂に失敗、友人の倉本を失った。5年後、立原は、兄の雪辱に燃える倉本晴彦と共に、再び“魔の山”と対峙する。ロシアのパーティの不穏な動き、牙を剥く過酷な天候…。頂に立つのは誰か。
東京地方検察庁特別捜査部検事の芦名誠一は、アフガニスタンで起きた邦人殺害事件の背後に大物政治家がいたとの情報を得て現地に飛んだ。合わせて、捜査一課の中原と公安の沢木警部も現地入りし捜査に協力することに。地元警察はテロだというが、芦名たちは被害者を狙った殺人事件だと推察し捜査を進める。不安定なアフガニスタン情勢、アメリカの関与、政権からの圧力ー。指揮権が発動される前に真実を解明すべく、芦名たちは持てる力を結集し事件に挑む!
三年前に新宿で起きた傷害致死事件の容疑者と目される男が横浜のマンションの一室で死体となって発見された。男は、大手金属加工機メーカーの創業者一族の御曹司・木崎乙彦。警視庁捜査一課特命捜査二係の鷺沼友哉は、事件の真相を明らかにしようと乙彦の周辺を洗い直していくが、捜査が進むにつれて見えてきたのは、一代で財をなした権力者が君臨する大企業の影。犯罪スレスレの捜査で犯人に肉迫していく鷺沼と宮野のはみだし刑事コンビが辿り着いた真実とはー!?大人気警察小説『越境捜査』シリーズ第5弾!
贈収賄事件を追っていた城東署の強行犯捜査係長・葛木邦彦と、警察庁のキャリア組である邦彦の息子・俊史の父子。しかしあと一歩のところで黒幕の国会議員が射殺され、真相は闇に葬り去られてしまう。警察に政治家から様々な圧力がかかるなか、城東署管内で轢き逃げ事件が起こる。目撃者の証言により、事件はすぐに解決するはずだったが、容疑者が大物衆議院議員の息子と判明。捜査はまたもや警察VS.政治の様相を呈してきて…。
江東区で立て籠もり事件が発生した。犯人は三年前まで特殊犯捜査係(SIT)に所属していた元警察官・西村國夫。膠着状態が続く中、葛木の携帯に西村から着信が。「この国の警察を自殺に追い込みたい。警察組織の浄化を要求する」と言う。いったい何が犯人を駆り立てるのか。警察組織の闇が暴かれ、正義が揺らいだとき、葛木のくだした勇気ある決断とは…。大人気シリーズ待望の文庫化!
警視庁生活安全部少年育成課の国枝警部補が、夜のランニング中に轢き殺された。轢いたのは、上司である生活安全部長の車だが、その車は事件の二日前に盗難に遭っていたという。国枝が死の直前までかかわっていた児童ポルノサイト摘発の妨害が目的か…!?本郷岳志たち警務部監察係は内部犯を疑い、調査をはじめるが、事件には思わぬウラが…。
しがない私立探偵の“おれ”にとって最重要の顧客「山藤組」組長の山虎が、いきなり引退して堅気になると言い出した。本当なら事務所が潰れかねない大事だ。だが、案の定その裏には、とんでもない魂胆があるようでー。(表題作)ゴリラまがいの悪徳刑事に、金と女に目がない生臭坊主…個性的な面々とのやり取りも楽しい、ユーモラスで痛快な連作ミステリー!
あのルートを、たった一人で、しかも名もない日本人が登れるわけがないーアラスカからヒマラヤへ、数々の難壁に初登攀の足跡を残してきた新進気鋭のアルパインクライマー奈良原和志が、そんな周囲の雑音をよそに、初めて目指した8000メートル峰が世界第四位のローツェ、しかも最難関の南壁ルートだった。そこは伝説的な登山家トモ・チェセンの“疑惑の登頂”の舞台として、いまも世界の登山界で語り継がれる因縁の壁でもある。心の通い合う仲間に支えられ、いわれない妨害を受けながらも、心の師であるトモの初登頂の真実を証明すべく、和志は自らの限界を超えて世界屈指の壁に立ち向かうが…。