著者 : 紋田廣子
ソラルソラル
16歳のときギリシア・ケファリニア島のユダヤ人社会を飛び出した美貌の少年ソラル。たぐいまれなる美しさと野心を合わせ持つ少年は、「運命の女性」オード・ドゥ・モサヌと結ばれ、25歳の若さでフランスの労働大臣まで登り詰める。しかし自ら捨てたはずの出自と、西欧社会の間で苦悩し絶望に陥った彼は、やがて破滅への道を歩み始めるー。圧倒的に饒舌な語りと狂奔する熱情がからみあう傑作長編。アカデミー・フランセーズ小説大賞を受賞した名作『選ばれた女』へとつながる物語。
選ばれた女(1)選ばれた女(1)
1930年代なかばのスイス・ジュネーヴ。国際連盟事務次長の要職にあるギリシア・ケファリニア島生まれのユダヤ人ソラルと、大貴族ドーブル家の血筋を引く完璧な美女アリアーヌ。抜群の政治センスと類稀なる美貌とでその地位を築いたソラルは、社交界の貴婦人たちを虜にする現代のドン・ファンであり、ブラジルのレセプションで見初めたアリアーヌにも危険な恋を仕掛ける。「一つ賭をしませんか。もし三時間以内にあなたが恋に落ちなかったら、あなたのご主人を部長に任命しましょう」。ホロコーストの暗雲忍び寄るヨーロッパで、死の予感を秘めながら繰り広げられる反時代的な恋愛劇。人間の愛と欲を赤裸々に描いたその物語を縦糸に、アリアーヌの夫アドリアン・ドゥームが国際連盟で過ごす怠惰な一日、アドリアンの養母アントワネットのスノビスム、ドゥーム家の人々がソラルを招待するディナーの準備、国際連盟情報部長が開くカクテル・パーティー、女中マリエットのモノローグ、ソラルの故郷からきた5人の親類の狂騒など、魅力的なエピソードが織り込まれ、二人の恋は運命の深みへとはまっていく…。アカデミー・フランセーズ小説大賞受賞の恋愛大河小説。
PREV1NEXT