著者 : 結城みちる
別れの夜に天使は宿り別れの夜に天使は宿り
テディーは密かに産んだ息子をひとりで育てている。あるとき訪れたホテルで元夫のギリシア富豪アリストとでくわし、激しく動揺した。もう会わないはずだったのに、今ごろなぜ?じつは4年前の離婚の前夜、くすぶる最後の情熱を燃やすようにテディーはアリストと肌を重ね合わせ、妊娠したのだった。彼女の息子をひと目見るなりすべてを悟ったアリストは、子供には両親のいる家庭が必要だと主張し、再婚を迫るが、テディーの心は虚しく揺らいだ。彼がほしいのは息子だけ。わたしが今も彼を愛していることに気づきもしない…。
不実なシチリアの貴公子不実なシチリアの貴公子
リアは、数週間ぶりに恋人ジャコと会えた喜びに胸躍らせていた。世界を飛び回る富裕な実業家の彼が、帰宅早々、仕事の電話があると寝室に引き揚げてしまっても、幸福に満たされていた。赤ちゃんができたのーそう告げたら、彼は喜んでくれるかしら?待ちきれず寝室へ向かったリアはしかし、ドアの前で凍りついた。「愛してるよ、フランチェスカ」私の知らない女性の名を、甘く囁く彼。リアは絶望し、黙って彼の前から姿を消した…。1年後、生後まもない息子とリアの侘び住まいに、侵入者がー。
天使を抱いたシンデレラ天使を抱いたシンデレラ
二人の兄が相次いで王位を捨てたため、シェルダーナの末の王子クリスティアンは急遽、妃を迎えなければいけなくなった。だが、国の存続にかかわる一大事とわかっていても、独身貴族を楽しんできた彼には、王家にふさわしい相手が思いつかない。そんなときパーティで、5年ぶりに思いがけない人物と再会する。王子の身分を明かさぬまま別れを告げた、かつての恋人ノエル。クリスティアンは、気まぐれにふらりと彼女の家を訪ねてみた。するとそこには、自分そっくりの幼い男の子の姿が…。
PREV1NEXT