著者 : 結城充考
時は天明、戦なき泰平の世。篠山藩右筆の娘・リクは退屈な藩邸暮らしを嫌い、自分らしさを探し求め、剣術の稽古に明け暮れていた。そんなリクに舞い込む縁談話、相手は山田家の養子となったばかりの三輪源五郎だった。当時、罪人の斬首を担当する山田浅右衛門は首斬りの一族として忌み畏れられていた。ゆえに父や藩は反対し、すぐに断ろうとするが、源五郎の剣技を目にしたリクは、その深い度量に惹かれていく。
生命工学と情報技術を独占して見幸市を統治する大企業・佐久間種苗を襲った細菌テロは、百名超の研究員を殺害する。市境警備隊から微細走査官に異動した来未由は、ABID(アブソルート・ブラック・インターフェイス・デバイス)によって遺体の心象空間を走査、事件直後の現場の様子を調査していく。また佐久間種苗の内情を探る元刑事の尾藤は、テロの背景に人工知能にまつわる機密の存在を知る。一方、高層民の少女コチが所属する電気連合組合から命じられたのは、テロで命を落とした組合員から或る記憶装置を回収することだった。『プラ・バロック』『躯体上の翼』の著者が、令和日本に放つサイバーパンク巨篇。
時は天正六年(1578年)。伊勢国を治める織田信長の次男・北畠信意は隣国、伊賀国への侵攻を計画していた。それをいち早く察知した伊賀国人たちは、侵攻の根城であった丸山城を強襲し焼き払う。しかし、これは大いなる戦の序章に過ぎなかった…。若き伊賀武者、新弥兵衛は幼馴染キヌへの思いを秘めつつも、剣術を極め任務にまい進するが、伊賀国の未来を憂う名主たちの思惑は決して一枚岩ではなく…裏切りの内通者、甲賀者の暗躍など予想外の事態が動き出すなか、強大な敵が間近に迫っていた!
片目にナイフを突き立てられた元都議会議員の毒殺死体が発見された。臨場した捜査一課殺人班・入間祐希は毒物専門の殺し屋・蜘蛛が拘置所を脱走していたことを知る。過去の因縁から執拗にイルマを追う蜘蛛は、彼女の自室に侵入、二十四時間後に死に至るという毒薬を打ち込む。指示に従わなければ一人の少年が死ぬという。少年の命を守るため、イルマの孤独な闘いが始まった。
大学の研究室で教授一名が死亡する爆破事件が発生した直後、同じ管内にある超高層ビルで人質を取った立て籠もりが発生。警視庁捜査一課の入間祐希は激しい攻防の末、犯人を確保するが、四名が惨殺されていた。その後、科学系出版社で第二の爆発が。爆発物には“ex”と書き残されていた。イルマは“ex”の猛追を開始するが…。それは壮絶な復讐戦の幕開けだった。
都内でIT関係者を狙った連続毒殺事件が発生。警視庁捜査一課殺人班・入間祐希は新興IT企業のCEO佐伯亨に目をつける。佐伯を尾行中、中国黒社会の殺し屋に襲撃され、激しいカーチェイスの末、イルマは重傷を負う。入院中のイルマに「蜘蛛」を名乗る正体不明の男が命を狙って接近し…。獣のような鋭い嗅覚と追跡力で女刑事が疾走するバトルヒロイン警察小説!四ヶ月連続刊行第一弾!
署の交通安全イベントの最中に、突然現れた痩せこけた少女。保護されて間もなく亡くなった彼女は、ほぼすべての歯を折られていたー。警務課所属のクロハは、県内で続発する未成年者変死事件との関連を探り始める。被害者たちの体や衣服に残された子供の指紋が意味するものは?犯人の底知れぬ悪意に孤高の女性警官が立ち向かう、「クロハ」シリーズ長編第三弾!
大学の物理学研究室で発生した爆破事件の現場に急行していた警視庁捜査一課の入間祐希は、同じ管内で発生した大手電気通信企業の超高層ビル立て籠もり現場に行き先を変更した。犯人は元傭兵の斉東克也、手製の武器で武装し五名を惨殺していた。イルマも斉東の攻撃に遭い負傷するが、身柄確保に成功。しかし、イルマは同時に発生した二つの事件の関連を疑う。直後、科学系出版社の編集部で第二の爆発が。犯人に繋がる唯一の手掛かりは、爆発物の送り状の末尾に記された“ex”という文字のみ。“狼のような”イルマだけが犯人の足跡を嗅ぎ取り、追走を開始するが…。
東京湾に浮かぶ新日本瓦斯開発株式会社の天然ガス掘削プラットフォーム“エレファント”。大型台風が迫る夕刻、不審な転落事故が発生し、作業員一名が死亡。暴風域に入る前に単身、現着した警視庁捜査一課殺人班の入間祐希は、事故現場で爆発物の存在を嗅ぎ取る。施設に残った社員11名に事情聴取を進めようとするが、国家のエネルギー政策を担うプロジェクトを円滑に継続させようとする企業側と衝突。嵐が吹き荒れる中、外部との通信がダウン、さらに作業服を着た不法入国者と思われる謎の男が札束を抱えて爆死した。薬物、拳銃、金ー作業員たちの裏の顔が浮かび上がってきた時、ついに爆弾魔の狂気が暴走を始める…。
“共和国”の緑化政策船団の護衛のため、航空上の脅威となる人狗に対抗する生体兵器として生み出された対狗衞仕の員。数百年を戦いと孤独のうちに費やした彼女は、情報の涸れ果てた互聯網上を彷徨う中で、cyと名乗る人物に呼びかけられる。豊かな知識を所有する彼との対話に喜びを見出す員。だが、共和国が散布する細菌兵器の脅威が、cyに迫っていた。硬質な叙情に満ちた本格SF。
組織捜査を逸脱する行動が問題視され、所轄署の警務課に異動になったクロハ。内勤中心の日々は単調だが、ようやく慣れ始めた。しかし、身元不明で傷だらけの少女が保護され、未成年の不審死が連続するなか、クロハのもとにも、存在しないはずの少年に関する、「奇妙な噂」がもたらされる。独自調査をはじめるクロハだったが、彼女は常に誰かに監視されているような気がしてならなかったー。
都内某所で、IT企業経営者の毒殺死体が相次いで発見される。警視庁捜査一課殺人犯捜査第二係所属の入間(イルマ)祐希は、関係者の証言からIT企業「シェヴロン・グループ」代表取締役・佐伯亨に目をつける。だが、尾行中に何者かが佐伯を襲撃、猛追するイルマと激しいカーチェイスに。襲撃犯は中国黒社会の刺客、「低温」だった。命拾いした佐伯は、「蜘蛛」に接触し…。肥大化する暴君・佐伯、殺人機械・低温、正体不明の生ける屍・蜘蛛。己の鋭い嗅覚がイルマを導いた先は、都会の戦場だったー。型破りな女刑事が牙を剥くアクション警察小説、誕生。
友人をかばい、犯罪集団に追われる身となった17歳の少女・ジョウ。決死の逃避行の中、彼女はかすかな希望を胸に、最後の賭けに出るー。疾走感120%!ノンストップ・ハードボイルド・ミステリー。
緩やかに衰退する“共和国”の生体兵器として造られ数百年にわたり、戦いと孤独を生き抜いた少女。彼女は、初めて“誰か”の為に願ったー緑化政策船団211隻、すべて、私が墜とす。黄昏ゆく世界を硬質な抒情で描く本格SF。
パーキング・エリアで、人の指先が発見された。事故?それとも…。自動車警邏隊の女性警官クロハは、ネット上に手がかりを残して消えた一人の男の存在に気づく(表題作)。夜の幹線道路で起きた凄惨な衝突事故。運転手はともに死亡していた。現場の痕跡からクロハが見抜く衝撃的な真実とは?(『雨が降る頃』)。『プラ・バロック』以前のクロハの活躍を描くシリーズの原点。