著者 : 美浜ヨシヒコ
死闘の果てに強敵を退け、タリアン領を攻略したロルフたち。次に向かう戦場は霊峰ドゥ・ツェリン。ヨナ教団の重要拠点である。その地には、教団の私兵集団、済生軍が居た。加えて王国からはティセリウス率いる第一騎士団、さらには次いで強力な第二騎士団までもが投入される。霧が立ち込める神の山を舞台に、過去最大の戦いが始まるのだったー。敵と味方の夥しい血が流されていく戦場で、ロルフは漆黒の剣を振るう。彼の前に次々と立ちはだかる、未曽有の強者。だが彼もまた、一人ではなかった。新たに挙兵した魔族の仲間たち。理不尽へ反抗するべく蜂起した、王国の反体制派。そしてロルフを信じる友。志を同じくする者たちは集い、そして戦う。世界を変えるために。「必ず帰って来る」隣に並ぶ戦友と共に、信じる道を切り拓くー!圧倒的人気のWEBファンタジー、覚悟と運命の第五巻!
領都アーベルの攻略に成功し、ロルフは魔族軍にあって将軍の任を拝命した。しかし、彼は人間。これまで魔族を虐げてきた種族であることに変わりはない。わずかに揺らぐロルフの周囲。そしてロルフも、妹・フェリシアとの激闘でゆらいだ決意を自覚していた。そんな彼のもとに一通の手紙が届く。その差出人は、かつて彼が助けた女性・フリーダ。そこには、ロルフがいた第五騎士団の団長・タリアンの悪行が書かれておりー。彼は、何のために戦うのか。正義のためか。弱き者のためか。それともー。「怖い思いをさせて済まない。もう大丈夫だ。俺はここにいる」助けを求める少女を背に、ロルフは漆黒の刃を振りぬくー!過去を断ち切り、運命に立ち向かう彼を待つものとは。
魔族であるというだけの理由で、それを邪悪と断ずるロンドシウス王国。その常識に抗い続けた、魔力を持たない“煤まみれ”、ロルフ・バックマン。運命に引き寄せられ、ついにロルフが手にした“煤の剣”は、彼にこの世界へ抗う力と、とある固い決意をもたらす。自らが信じる正義のためー魔族とともに、ロンドシウス王国を倒す。辺境伯の領都・アーベルを制圧するための作戦をリーゼたち魔族とともに開始するロルフ。だが、彼は知らなかった。ロルフたちに差し向けられた領軍の中に、第五騎士団最強の魔導師にして彼の妹、フェリシア・バックマンがいることをー。「…本気で、人間を裏切るんですか?魔族に寝返るんですか?」「人だからこうするんだ。信じるもののために立ち向かうのが、人だと思うから」かつては自分を慕っていた妹ー。避け得なかった悲しき戦いが、いま幕を開ける。
あらぬ冤罪で第五騎士団を追放され、魔族領に隣接する辺境へと派遣されたロルフ。しかし辺境で待っていたのもやはり、神に棄てられた者へ対する差別の日々だった。その中で彼は、自分と同じ“煤まみれ”と蔑まれる魔族の奴隷少女、ミアと出会う。何故この罪なき子供が悲しみを強いられているのか。魔族は本当に滅ぼすべき邪悪なのか。ミアと過ごす毎日は、ロルフの心の中に、ある決意をもたらす。そして赴いた魔族領で彼が見たものとは。至った覚悟とは。「俺に約束を守らせないつもりか?そうはさせるか。そうはさせるものかよ」人間と魔族の終わりなき抗争。謂れなく流される血。正しき人たちの零す涙。非情な運命を許せぬロルフが手を伸ばした時、その手に握られていたものはー。「さあー決着をつけよう」神に棄てられ、蔑まれ続けた“煤まみれ”の、世界への叛逆がついに動き出すー!
知勇ともに優れた神童・ロルフは、十五歳の時に誰もが神から授かるはずの魔力を授からなかった。彼の恵まれた人生は一転、男爵家を廃嫡、さらには幼馴染のエミリーとの婚約までも破棄され、騎士団では“煤まみれ”と罵られる地獄の日々が始まる。しかし、それでもロルフは悲観せず、ただひたすら剣を振り続けた。そうして磨き上げた剣技と膨大な知識、そして不屈の精神によって、彼は襲い掛かる様々な苦難を乗り越えていくー!騎士とは何か。正しさとは何か。守るべきものとは何か。そして彼がやがて行き着く未来とはー。神に棄てられた男の峻烈な生き様を描く、壮大な物語がいま始まる。