著者 : 胡淑ぶん
太陽の血は黒い太陽の血は黒い
===== おれは見たんだ。 太陽がゆっくりゆっくりゆっくりと緑色に変わっていくのを。そして黒い血が流れ出てくるのを…… 台北の浮薄(クール)な風景に、傷の記憶のゆらぎをきく、新たな同時代文学への試み。 ===== すべての傷口はみな発言することを渇望している──。 戒厳令解除後に育った大学院生のわたし李文心と同級生小海。ふたりの祖父をつなぐ台湾現代史の傷跡。セクシュアル・マイノリティである友人阿莫の孤独。台北の浮薄(クール)な風景のなか、忘却の誘惑にあらがい語りだす傷の記憶が、短編をコラージュするかのように紡がれる。気鋭の作家による新たな同時代文学への試み。
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