著者 : 船木裕
もう二百年以上も前から、オーウェンズ家の女たちは町で悪いことがあると罪を着せられてきた。苔むした家、女たちが作る不思議な調合薬、不気味な黒猫たち。事故で幼親を失ない、伯母たちにひき取られたサリーとギリアン。学校では友達から“魔法使い”と恐れられ、イジめられ、孤立した二人はいつもこの家の“魔力”から逃れ、自由になりたいと願う。奔放な妹は家を出、慎重な姉は孤独な青春を送り、やがて結婚する。二人の女の子を産み、育てている姉の元に数年ぶりに妹が帰ってくる。しかし彼女の車には男の死体が積まれていた…。
かつては力ある魔道師ナカールのもとで栄えた都市カシュマラー。だが、そのカシュマラーもいまは大国ヘロデに征服され、市中にはヘロデ軍の傭兵として警備にあたるダルタル人があふれていた。そんななかで、子供だけを狙う連続誘拐事件が発生した。恐慌をきたす市民たちをよそに、カシュマラーの元軍人たちは、〈将軍〉と呼ばれる人物を中心に地下抵抗組織リヴィング党を結成し、政権の奪回をめざして画策をはじめた…。
リヴィング党の首魁〈将軍〉が暗殺された。犯人は、魔道師ナカールの城に隠れ住んでいる〈魔女〉だった。しかも〈魔女〉は、市中を騒がせている誘拐事件にもかかわっているらしい。彼女はいったい何をたくらんでいるのか?いっぽう〈将軍〉を失ったリヴィング党は、新たな指導者のもとでカシュマラー奪還に向けて最後の闘争を繰り広げようとするが…。都市の支配権をめぐる熾烈な争いを描く、人気作家入魂の意欲作。
人間の心の奥底にある邪悪な領域ーシャドウズ。作家のブレイクは、その謎を解明すべく心霊治療家マシアスに近づくが、しだいに奇怪な幻影に悩まされはじめる。一方、潜在意識を研究する女性科学者ケリーも、シャドウズの恐るべき力を垣間見ていた。ブレイクと共に研究を進めるケリーは、やがて邪悪な目的を持ってシャドウズを操らんとする陰謀を知る。だが彼女の努力も空しく強大な力は解き放たれ、未曾有のパニックが英国全土に襲いかかった。気鋭のホラー大作。