著者 : 芝村凉也
半四郎が国許の少年藩士だった頃、上役の娘・志津を怪物・オオヒトから救い、その勇敢さは村人の語り草となっていた。志津は家老筋の名家に嫁ぐが、姑のいじめにあい、非業の死を遂げる。なぜそこまで追い込まれたのか。志津の不幸を解せぬ半四郎に、藩を捨てる原因となる事件が降りかかる。
本所南割下水に住まう御家人、三日日左門の屋敷の近所に元旗本の青砥家の兄妹が越してきた。父の不祥事により、禄を減らされお役を取り上げられた二人はお家の再興を願うが、妹の智与の美貌に目をつけた無法の集団が蠢きだすー。紛うことなきサンピンなれど、頭も腕も天下一品。気が向かなければ動かぬが、ひとたび動けば華麗に蹴飛ばす、圧巻の無頼漢、三日日左門の活躍を描く、注目の新シリーズ!
江戸に怪蛇が出没。老人・聊異斎は来る大きな変異の兆しだと仄めかす。男を殺して逃げた女が身を隠した奥山の見世物小屋では、大蛇を抱えた妖艶な巫女の舞が催されていた。女の不幸な境遇を透視できるという巫女・斎姫女。複雑怪奇な「蛇」の謎が次第に露わになる。半四郎の妖刀が火を噴く!
定海藩では守旧派の首魁たちによる横暴が目立つようになり、さらに天候不順による飢饉が襲いかかろうとしていた。一方、江戸において藩を憂うも為す術のない筧忠兵衛には、神原采女正や浅井蔵人との避けようのない立ち合いのときが迫っていた。定海藩の運命と忠兵衛の運命、すべてが決着を迎える。書き下ろし長編時代小説第十五弾、堂々のシリーズ完結編。
藩主後見役に任じられた元藩主の樺島直篤が隠居所に篭ったまま動く様子を見せないため、定海藩は混迷の渦中にあった。筧忠兵衛は、いまだ失意の中にいる紗智に田宮伴内自刃を報せに行き、冷たく拒絶される。そんな中、謎の投げ文によって、南町奉行所臨時回り同心の岸井千蔵は一連の事件が天明の鬼六一家の企てであったことを掴むのだが。書き下ろし長編時代小説、怒涛の第十四弾。
怪異と闘う己の特殊な力を、奇妙な老人・聊異斎に促され、度々繰り出すものの、死に別れた郷里の女・志津を思い出しては哀しみに胸を引き裂かれる浪人・半四郎。刺客・桟崎を神がかり的な技で倒し、結界に守られた魔物を妖刀・鬼鍛刀で斬る!しかし江戸は強烈な妖気に取り囲まれ始めていた。