著者 : 芹沢恵
「あなた」だったかもしれない人たちの物語。代理祖父母派遣会社で「祖母」を演じる女性、折りヅルを使う遺産相続ゲームに挑む男たち…どこにでもいそうな人々が送る、ほんの少しだけ「普通」から逸脱した日常。シャーリイ・ジャクスン賞、全米図書館協会アレックス賞受賞作。
製薬会社の研究員マリーナ・シンは、ブラジルへの出張を命じられる。生殖医療に革命を起こすとされる新薬の開発状況を確かめ、また、現地で病に倒れた同僚の死の詳細を知るためだ。気が進まないながらブラジルのマナウスに飛んだマリーナは、アマゾンの奥地にある極秘研究施設に赴く。そして、昔の指導教授スウェンソン博士との再会をきっかけに、熱気と謎に満ちた密林のなかで、過去の挫折や後悔と向き合うことになるがー『ベル・カント』のオレンジ賞受賞作家による、驚異と希望の物語。
寒風が肌を刺す1月、デントン署管内はさながら犯罪見本市と化していた。幼い少女が行方不明になり、売春婦が次々に殺され、ショットガン強盗にフーリガンの一団、“怪盗枕カヴァー”といった傍迷惑な輩が好き勝手に暴れる始末。われらが名物親爺フロスト警部は、とことん無能な部下に手を焼きつつ、人手不足の影響でまたも休みなしの活動を強いられる…。大人気警察小説第5弾。
冬のデントン市内で起きた事件の数々は、大半が未解決のままだった。少女誘拐の容疑者は不在となり、売春婦を狙う殺人犯はいまだ野放し。マレット署長の小言には無視を決め込み、モーガン刑事の相次ぐ失態はごまかしてきたが、それも限界だ。どでかい失策に州警察本部の調査が入るわ、“超能力者”が押しかけるわでデントン署は機能不全の瀬戸際、フロスト警部もついに降参か!?
メイン州の名家ジョーンズ家の娘ミランダは、一族の運営する美術史研究所で鑑定作業に従事している。彼女の元に、フィレンツェでやはり美術品鑑定の事業を手がけている母親のエリザベスから至急の呼び出しがかかった。ミランダを待っていたのは最近発見されたブロンズ像で、ロレンツォ・デ・メディチの愛人として“黒婦人ーダークレディ”と称されたその女性の像を、ミランダはミケランジェロの未発見の作品と鑑定する。だが国立研究所が像は贋作と発表したため、彼女は面目を失ってしまう。
フィレンツェから戻って傷心の日々を送るミランダに、今度は美術史研究所所蔵のダヴィデ像が盗まれたという知らせが追い討ちをかけた。ダヴィンチの弟子の作とされるそのブロンズ像を盗んだのは、表向きは画廊のオーナーだが、実は美術品を専門とする泥棒で、野性的な魅力を持つイタリア人のライアンだった。ところがそのダヴィデ像も贋作であることがわかり、結局ミランダとライアンは、複雑な感情を胸に協力して二つの贋作事件に当たることになるが…。待望のロマンティックミステリー。
5月。くつろいでいたウェルズのもとに、情報提供を申し出る一本の電話が入った。出向いた彼を待っていたのは、悪徳警官として知られるワッツ警部補が、以前組織の制裁殺人に手を貸したことがある、という情報。ウェルズは勇んで取材を開始したが、その矢先、謎の暴漢に襲われ、逆に相手を殺す仕儀となってしまう。正義を求めてさまよう敏腕記者の苦悩。サスペンス溢れる第4弾。
情報屋のケンドリックから数枚の写真を見せられたのは、八月の暑い盛りのことだった。上院選立候補中の議員がSM行為?ウェルズは慎ましく情報提供の申し出を断ったが、翌日ケンドリックは死体となって発見された。失職の危機に瀕したウェルズは、職業生命を賭けて卑しき街をさ迷うが…。夏の終わりに、彼が到達した真実とは?アメリカ探偵作家クラブ最優秀ペイパーバック賞に輝く第三弾。
マンハッタンにその年最初の雪が舞った夜、ウェルズは一人の著名な海外通信員に出会った。何やら奇妙な連帯感を覚えたあげく、ホテルまでつきあい、つぶれるまで呑んだが、翌朝、相手は謎の闖入者の手で殺されてしまう。酩酊して耳にしたエレノアという名を手がかりに、通信員の過去に分け入る敏腕記者ウェルズー。彼が見た、愛と裏切りの記憶とは?傑作ハードボイルド第二弾!
晩秋のグランド郡で同じハイスクールの生徒が3人、相次いで自殺を遂げた。『ニューヨーク・スター』の記者ジョン・ウェルズは単身取材に赴くが、一人娘をやはり自殺という形で喪っている彼には、苦いインタヴューの連続となる。だがそんなウェルズの前に、事件はやがて、意外な真実を明らかにしていった…。敏腕記者の苦汁に満ちた闘いを描く、話題のハードボイルド第一弾。