著者 : 芹澤恵
リリアン28歳、人間嫌い。自己肯定感はかなり低め、将来への希望もない。そんな彼女が旧友から世話を頼まれた10歳の双子は、興奮すると“発火”する特異体質だった!?涙と笑いで“リアル”に描く、ほろ苦い愛情と友情の物語。
学生時代に恋に落ち結婚した研究者の妻レイチェルと、幸せな日々を送っていたエイダン。アンドロイド開発に携わる妻は多忙ながらも、夫と一人娘クロエを愛し家族を大切にしてきた。しかし彼女はある日突然病に倒れ亡くなってしまう。喪失感から立ち直れずにいる二人の前に現れたのは、生前のレイチェルが持てる力の全てを投じて開発した自分に瓜二つの人間型ロボット「iレイチェル」だった。死を予感した者が伝えたかった家族への思い。それを託されたアンドロイドは、遺された者との「対話的交流」を試みる。心を静かに揺さぶられるAIと人間の愛の物語。
スイスの町で、ドイツ語教室に通いはじめたアメリカ人のアナ。教室や町に満ちるよくわからない言葉と、彼女に誘いをかけてくるわかりやすい男たち。わからない言葉を盾にして、かたくなに秘密と憂鬱を抱えこむアナは、嘘をついて男たちと情事を重ねるが…。詩人作家が独特の文章で孤独をつづった文芸長篇。
今宵も人手不足のデントン署において、運悪く署に居合わせたフロスト警部は、強姦・脅迫・失踪と、次々起こる厄介な事件をまとめて担当させられる。警部がそれらの捜査に追われている裏で、マレット署長は新たに着任したスキナー主任警部と組み、フロストをよその署に異動させようと企んでいた…。史上最大のピンチに陥った警部の苦闘を描く、超人気警察小説シリーズ最終作。
マレット署長とスキナー主任警部の差し金により、デントン署を去る日が刻一刻と迫るなか、フロスト警部が抱える未解決事件の数は、一向に減る気配を見せない。疲れた身体に鞭打ち、わずかな部下を率いて捜査の指揮を執る警部に、異動を回避する妙案が浮かぶはずもない。法律を無視し、犯人との大立ち回りまで演じる、いつも以上に破れかぶれなフロストが最後につける始末とは?
初めて夫に欲望を感じた妻が夫の本心を知る「幸福」。不慣れな外国で出会った親切な老人との午後の行方は…「小さな家庭教師」。不穏なお迎えが老女を怯えさせる「まちがえられた家」。裕福な女が夫の一言で、貧しい女に嫉妬の炎を燃やす「一杯のお茶」。夫の友人の熱情を弄ぶ人妻を描く「燃え立つ炎」。小さな幸せを、思わぬ言葉で打ち砕かれる独身女性「ミス・ブリル」。大人社会そっくりの歪んだ人間関係にからめとられた少女たちの「人形の家」など、選りすぐりの十三篇。感情の揺れを繊細にすくいとり、日常に潜む皮肉を鋭く抉り出す、短篇の名手キャサリン・マンスフィールドの日本オリジナル短篇集。新たに発見された未発表原稿「ささやかな過去」収録。
若き科学者ヴィクター・フランケンシュタインは、生命の起源に迫る研究に打ち込んでいた。ある時、ついに彼は生命の創造という神をも恐れぬ行いに手を染める。だが、創り上げた“怪物”はあまりに恐ろしい容貌をしていた。故郷へ逃亡した彼は、醜さゆえの孤独にあえぎ、彼を憎んだ“怪物”に追い詰められることになろうとは知る由もなかったー。天才女性作家が遺した伝説の名著。