著者 : 莫言
2012年のノーベル賞受賞後、最新作。 2011年から2020年までに書かれた短篇12篇収録 左鎌/遅咲きの男/偏屈者/消えた財布/モーゼを待ちつつ/詩人キンシプー/従弟寧賽葉/地主の目つき/大浴場・赤ベッド/天下太平/明眸皓歯/松明と口笛
抗日運動、内戦、中華人民共和国誕生、文革、改革・開放、姦通、駆け落ち、死姦、身売りー激動の現代中国史を背景に繰り広げられる、八歳まで母乳しか受けつけずに育った混血男児・上官金童とその母、そして八人の姉たちの数奇・摩訶不思議な運命模様。
わたしの本のどれか一冊だけでわたしの文学の風格をお分かりになりたかったら、『豊乳肥臀』をお読みいただきたいー構想十年、執筆九十日。母の死後、一気呵成に書き上げられた、ノーベル文学賞作家渾身の大傑作。これぞ中国!これぞ文学!
ノーベル賞作家莫言の代表作で、五つの連作中篇からなる長篇小説『赤い高粱』の後半三篇を収録。日中戦争下の中国山東省高密県東北郷。日本軍を奇襲した祖父らだったが、その報復により村は壊滅するー。共産党軍、国民党軍、傀儡軍、秘密結社がからむ生と死、性と愛、血と土、暴力と欲望の凄烈な物語。
中国の寒村での庶民の生と死を凝視し、暴力という秘儀体験と生命のはかなさを饒舌な文体で濃密に描く。荒涼たる大地ではいつくばうように生きる人々。自らが何者かを知らず、自らの居場所を知らず、自らの行く手を知らない人々にとっての幻と希望とは何か。現代中国文学の旗手が文革期農村を描いた小説二篇は、「マジックリアリズム」と呼ばれる著者の作品世界を知る上で恰好な作品である。本邦初訳。
土俗的、神話的な作品を生み出す現代中国の代表的な作家の、諧謔にみちたエッセイ。犬は何でもわかっているが、容易に心の内を明かさず馬鹿な振りをしている。さまざまな犬たちとそれに関わる体験が、苦い笑いを醸し出す。
1989年6月4日「血の日曜日」事件以来、事実上、発表禁止とされた莫言は、黙示録的小説「花兵を抱く女」をひっさげて、二年ぶりに文壇復活を遂げた。-地域共同体も血縁共同体も崩壊に瀕している現代中国農村の状況を的確に描き、新しい中国文学の胎動を伝える待望の第2短篇集。
解放軍青年将校が村に残した若い妻に抱く性的妄想と、この妻と村の青年との不倫を描く問題作「金髪の赤ちゃん」をはじめとする、“中国のガルシア・マルケス”といわれる莫言の魅力を余すところなく伝える待望の短篇集遂に刊行。