著者 : 萩耿介
食われる国食われる国
2050年。日本の国力は低下し、海外資本が大量に流入。人口も減少し、かつて栄えた都市も今や廃墟と化していた。刑事である谷悠斗は池袋で発生した外国人拉致事件を追ううち、中国資本「未来集団」が経営するカジノに潜入することになる。不当逮捕された悠斗は民間刑務所に収監される。洗脳とも言える教育の果てに「未来集団」の一員として、日本国土の買収を繰り返すー。悠斗に、そしてこの国に希望はあるのか?荒廃が待つ未来の中に微かな光を示す傑作長編。
息の限りに遠吠えを息の限りに遠吠えを
時は一九世紀。一匹の子犬が愛玩犬として日本からアメリカへ送られた。その道中で出会ったのは、性格も肌の色も違う様々な人間たち。優しい人間、その人間を迫害する人間、他の動物を絶滅させようとする人間…。抗うことのできない歴史の流れの中で、弱者たちの命を懸けた反抗が、やがてこの世界に小さな希望を灯す。文庫書き下ろし。
グレイスグレイス
九州の地頭の子・五郎太は朝鮮出兵に叛逆し、妻子領民を殺された。後に五右衛門を名乗るこの男は追放され、絶望の旅路を彷徨う。マニラで出会った異端の神父、自由を求め舞う女、そして太閤暗殺へ。足裏に刻んだ「仏」の字を踏みにじり、それでも生きる男に訪れた恩寵とは。生の意味を問いかける傑作長篇。
極悪極悪
朝鮮出兵に叛旗を翻した罪で捕縛され、妻子領民を目前でなぶり殺しにされた五郎太。処刑されず追放され、絶望の彷徨が始まる。九州から、マニラ、京へ…。心に闇を抱えた男に恩寵は訪れるのか。罪深き所業の数々、おくに踊りの自由と熱狂、関白秀次との黙契。俗悪を蔑み、世の綺麗事を踏みにじり、祈りが尽きた最果てで、生の意味を希求した魂の物語。足裏に、「仏」の一字を彫りこんで、太閤暗殺におのれの証を賭けた執念の男を描く、暗黒の歴史小説。
PREV1NEXT